軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

欠落した「国家緊急事態法」

 昨日は久しぶりに都心に出て、私が所属している『史料調査会』の今年最後の講演会に参加した。講師は志方俊之元陸将で、志方先輩は退官後、帝京大学教授の傍ら東京都の災害担当参与も務めている。
 国家安全保障を担当した志方氏が、今や地方自治について研究中だというから面白い。中央集権であるべき、たとえば警察などの任務ついて、その不具合を具体的に指摘されたが、大変興味ある内容だった。1時間半に及ぶ講演は熱が入っていて、さすがに学生教育を担当しているだけあって、その体験を挿入する手法には感心した。
 たまたま今朝の産経新聞1面トップにに「長崎級の核攻撃シミュレーション」が出ていたが、「東京を直撃すると死者が50万人、負傷者は百万人出る」という。
 昨日の志方氏の講演では、学生たちに「東京に核ミサイルが打ち込まれると60万人が死ぬがそうなったらどうする?」と聞いたところ、学生たちは「通学が楽になる」と答えたらしく、会場の失笑を買ったが、私は若い学生たちのユーモアだろう、と敢えて考えることにしている。
 志方氏の安保に関する話の中心は、日本国憲法は「占領憲法」だったから、「国家緊急事態」に対処する基本が欠落しているというにあったが、独立後も数ある「基本法」の中に「安全保障に関する基本法」がないのは我が国ぐらいのものであろう。
 自衛隊も、がたがた言っても始まらないから、軍事行動上問題があるものについては「政府が解決したこと」にした「設想」で訓練、演習を継続してきた。だから栗栖陸将の「実際に起きた場合には超法規的行動を取る以外にない」との発言が出たのだが、それでも当時の政治家たちは栗栖氏を潰すことで糊塗してきた。国民も軍事に関しては自衛隊任せで、バブルに踊っていたのが実態ではなかったか?

 ところで、話は変わるが、昨夜のチャンネル桜の三輪氏の番組で、先日の「週刊金曜日」が主催した、日比谷公会堂での皇室誹謗劇問題について、2時間にわたる取材を放映した。つまり、三輪氏が「週刊金曜日本社」に乗り込んで、北村編集長に突撃インタビューを実施したのである。
 さすがに「言論界」の片隅を担うだけあって、北村編集長が受けて立った点は評価しよう。しかし、弁解?の内容は実にお粗末極まりなかった。質問の核心部分になると「一般的」な問題に逃げ、個人的な見解を優先していたが、三輪氏とでは役者が違い、落ち着かない様子が映し出されていたが、これは当然この出版社の編集方針と深い関係があって、彼が何とかこの場をごまかそうとしたからに他なるまい。
 週刊新潮の取材に対して、社長である佐高氏が「皇室などとは一言も言っていない」と強弁した点を追求されると「本人ではないから」などとしどろもどろであったが、このインタビュー全般を通じて、彼らが如何に「卑怯な人間の集まりか」が確認できた。言論・報道の自由を強調していたが、反社会的言論にまで自由があるとは国民は考えていない。彼らは自分に都合がいいように解釈している。今まではこの種インタビューは「左翼の十八番」であったが、これからはそうはいくまい。受身にたったときの彼ら「左翼」の頼りなさが浮き彫りにされていて見ごたえがあった。こんな番組が一般地上波で放映されたら、視聴率ナンバーワンになることは間違いない。
 他方地上波では、反社会的な「地方自治体の首長たち」が表面化して、次々に消えていっているが、大写しになる彼らの顔に共通するのが目に光がない(腐った魚の目)ことだろう。こんな連中が知事だとは笑わせるが、それを選んだのが県民なのだから始末に終えない。ところが驚いたことに宮崎県では実にこっけいなことが起きそうだが、宮崎県民もとことん舐められたものである。
 目黒区の税金「山分け」もひどい。返せば済むというのであれば警察は要らない!同じ目黒区選出の元文部大臣の夫人も「守銭奴」だ。「目黒」ならぬ「腹黒」ではないか!いやはや、教育基本法改正以前に、手本になるべき大人たちのこんな「悪行」は、怒りを通り越してただ呆然とするのみである。こんなことでは子供たちを指導する資格は全くなかろう。「核ミサイル直撃」でこんな連中が始末されるのだったらいいが、多分善良な市民が犠牲になるのだろうからやりきれない。
 危機対処、緊急事態対処など、安全保障の基本が欠落した「占領憲法」の成果が見事に結実し、戦後の日本人は人間が生物として生きていく本能までも退化させられた!としか言いようがない。
 2008年2月台湾総統選挙。5月「新総統」就任式。同月あのスパイ天国・暗殺国家ロシアの大統領選挙。8月北京オリンピック開催=実際は腐敗根絶派が相次いで殺害され(産経)胡錦濤政権に対する抵抗勢力が拡大しているからまだ予断は許さないが)。11月米国大統領選挙…と世界の政治環境が一変する。
 韓国やインドネシアでも大統領選挙が行われるが、この時期に我が国周辺で“何かが起きる”予感がしてならない。民度の低い政治家たちを戴く、極楽トンボ日本は、キリギリスのように食いちぎられるのだろうか?その時自衛隊はどうする?指示を待ち続けて座して死滅するか、それとも超法規行動を取るのか?そろそろ覚悟をしておく時期だろう。