軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

社会常識が欠落した「医師?」

 麻生首相が19日、全国知事会議で地方の医師が不足している問題について発言した際、自身の体験を交えて「社会的常識がかなり欠落している人(医師)が多い。とにかく物凄く価値観が違う」と発言したことで、メディアがまたまた言葉尻をとらえて騒いでいる。医師会会長などが官邸を訪ねて「抗議」し、首相は訂正謝罪?したようだが、首相のキャラクターを知っている者は「場違いな発言だが、目くじら立てて大騒ぎするほどのものか!」と言い、一般的には「不適切発言」だと言う。首相も「一部には」と冒頭に付け加えておけば少しは衝撃力が少なかったのかもしれないが、そんなところが「漫画大好き人間」の麻生首相、いかにも“軽い!”と言うことだろう。

 以前6月に緊急入院した体験をここに書いたが、政府高官も、一度町医者に入院してみるがよい。老齢者が“ひしめく”病室の二十四時間看護、彼女達の日勤・夜勤の周期がどのくらいか、実地に見聞してみるがよい。
 二十四時間スクランブル態勢を維持している空自時代の体験からしても、看護婦さんたちの勤務体制には実に厳しいものがある。若いうちに苦労をしないで育った「出のいい方々」には、おそらく実感できないことだろう。

 しかし、この発言を今起きている種々の問題に絡めて言わせてもらうならば、例えば田母神前空幕長更迭事件での大臣や国会議員たちの“醜態”を見ていると、「社会常識が欠落している」のは議員のほうであり、いかにも仕事をやっているかのように国民の目には見えるているが、現実はそうともいえないのである。
 今朝の産経5面の阿比留記者のレポートを見ると「新国籍法改正案」について、「閣僚も議員も内容把握せず」、ある閣僚は「(サインは)流れ作業で法案の中身は分からなかった」というから、こういうのを「メクラ判」といい言語道断である。このように、国民が知らないところで全く信じられないことが進行しているらしい。

 閣僚や議員の仕事は一体なんなのだろう?TV討論でタレント達とのお遊びに現を抜かしたり、選挙資金調達に走ったり、不動産をごまかしたり、やっていることはまるで「虚業」ではないか!
 肝心要の法案に目も通さないでサインしただけというから常識以前の問題で、国会議員としての責任感欠如、任務放棄に近く、通常の会社組織では「罷免」に相当する。こんな行為を通常は「非常識」というのである。「メクラ判」押して仕事をした気でいる閣僚たちは即刻辞職すべきだろう。辞表を出さないのなら国民が「更迭」すべきである!

 先日、村山談話成立時の裏話が産経に出ていたが、今回も同様な無責任「閣議決定」のようで、そんな無責任な国会議員たちに国民は怒っているのである。麻生首相よ、首相の周辺には、こんな「社会常識欠落者」がいることもお忘れなき様に。

 数年前、人権法案の内容の「異常さ」に気がついて阻止したのも、今は浪人中の城内実衆院議員であって、彼の行動がなかったならば今頃日本は異常な事態になっていたやも知れぬ。今回も、彼が現役でこの法案に目を通していたら、こんなことにはならなかっただろうに、愚かなチルドレンが氾濫したおかげ?で全うな議員が激減した。あの「一世を風靡?した」チルドレン達は今何をしているのだろうか?高給を取って生活は安泰!国民が生活に追われている間に、恐るべき議員の劣化が進んでいるのである。これは国家の危機である。

 メル友の中に、国籍が日本ではない関係者が、政府部内は勿論、両院内に潜伏していて、メディアと連携して「田母神事件」「元厚生事務次官テロ」などで国民の関心をそらしておいて、そのスキにこの「悪法」を通過させようという工作ではないか?と言うのがあったが、なるほど、敵の戦術としては可能性はある。

 対馬の危機についても、河村官房長官は「わが国の安全保障に具体的な行動が起きたら(対策を)考えなければならない」とまるで他人事、「国防上の被害が出るまで、問題を放置するとも受け止められる答弁を行った」が、これじゃ「国を守る自衛官たち」の士気は上がるまい。こう見てくると「社会常識が“甚だしく”欠落している」のは、医師よりも「国会議員たち」のほうだと言わざるを得ないだろう。

 昔は永田町には「お山の大将」が蔓延り、サル山を形成しているなどと揶揄されていたが、今や私には「裸の王様」が列を成しているように見える。

 予想される半島危機、台湾問題、大陸の混乱、海賊退治、アフガンの混迷、アフリカでの虐殺、そして新米国大統領の誕生・・・など等、世界中の混乱を尻目に、定額支給だとか、選挙だとか、元事務次官殺害で、ただでさえも不足している警官を、公務として一私人の警護に当たらせるとか、自分達だけは「別世界の特別な存在」だとでも思っているような思い上がった行為は、指導者としては「不適切」なのではないか?
 不況、仕事なし、若者達に夢なし、麻薬の蔓延、テロ?などなど、これから年末にかけて、これまで以上に暗く物騒な世相が続くと予測できる。国民は「自己防衛」しなければならぬ。「事が起きてからしか」警察は出てこない?からである。

「常識が欠落」している裸の王様達には、この逆境を転換するのは無理かもしれないが、軽口を叩いている暇などない。自分達は仕事に精励しているのか?常識は欠落してはいないのか?と謙虚に反省し、国民に選ばれた者としての自覚を持って、選んでくれた国民に明るさと希望を与えるような施策を遂行するよう一肌脱いだらどうだ?と思う。

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