軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

畏れ多くも…

 昨日の産経新聞7面・国際欄は読み応えがあった。中でも中国の衛星攻撃が、今後の宇宙開発は勿論、米中関係に重大な影響を与えるという記事は、注目すべきことであろう。冷戦中、米ソ間のSALTでは、互いに「偵察衛星」という目を取り除こうと躍起だったのだが、FOBSという衛星軌道上を飛行しながら地上を含む目標にミサイルを打ち込むシステムが開発されつつあったため、衛星を直接的に軍事目的に使うことは宇宙平和利用に反するとして、双方が妥協して中止したことがあった。
 今回の中国の衛星破壊行為は、軌道上を周回して「平和目的」に大きく貢献している各種衛星に対する脅威だとして、米国が反発することは必至であろう。
 中国軍部は、相当以前からこの種の実験をしていたのだが、すべて失敗に終わってきた。今回「たまたま?」実験に成功したのだろうが、それはコソボ紛争で、中国大使館がピンポイントで「誤爆」されたことが脅威だったのだろうと推察される。問題は、今回の軍の暴走行為?を、北京政府が掌握していなかったらしい点にある。
「私はこう見る」欄に、これについて阿部純一氏が細かく解説しているが、私も胡錦濤主席の「軍掌握」に疑問を感じている一人である。阿部氏は、霞山会主席研究員という肩書きだが、以前「中国の本当の実力」(ビジネス社¥952+税=写真)と言う著書を出している中国問題専門家で、私は彼の分析力を高く評価しているのだが、インターネット上では、それを裏付けるように、胡錦濤主席と曾慶紅副主席との間で熾烈な権力争いがある、といわれている。それらの情報を総合すると、北京政府は何時「噴火」してもおかしくないように思えるのだが、信憑性はとにかく、我が国は最悪の事態を想定してそれに備えておくべきではないのか?ところが野党の皆さんは、それより「柳沢発言」の方が重要らしいから、政党としては取り返しのつかない「大いなる誤算」になる様な気がするが・・・
 ところで、今朝の産経新聞の5面下に「北京五輪開会式出席皇太子ご夫妻に非公式打診」という見出しのとんでもない記事が小さく出ていた。私は以前このブログで危惧を示したのだが、やはり中国政府は北京オリンピック開会式に、わが皇太子ご夫妻をご招待していたのである。記事は「中国政府が平成20年の北京五輪開会式への皇太子ご夫妻の出席を、日本側に非公式に打診していることが2日、明らかになった。中国政府の王毅駐日大使らを通じ政府・与党に伝えられた。塩崎恭久官房長官は記者会見で『正式な招待はまだ来ていない。要人の出席については、非公式な場でさまざまなやり取りが行われている』と述べた」という短いものだが、とんでもない。天皇はじめ皇族方の政治利用そのものではないか。何で中国が主催するオリンピック開会式に、わが皇太子ご夫妻が出席されなければならないのか?ただでさえも問題が多いといわれているオリンピックなのに、危険を冒してまで出席さる必要はあるまい。最も儀礼上の「単なるご招待の打診」に過ぎない様だから政府は是非“丁寧に”お断りしてほしい。先日の韓国映画試写会に両陛下がご出席されたことに多くの国民は違和感を持っている。私は「ならば是非とも靖国に御親拝戴きたい」と敢えてそこに書いたのだが、皇太子ご夫妻が北京にお出かけになり、捏造された『南京虐殺』展示館に“ご招待”され、何らかのご発言でもあろうものなら取り返しがつかない。皇太子ご夫妻の北京ご訪問は『日本歴史に対する一大汚点』を生じかねないプロパガンダに利用される恐れなしとしない。どうも宮内庁にはその点について無用心な官僚が多い様だし、中には“それが目的で宮内庁に潜入?”している者もいる、と公言する者もいる。以前、中曽根首相が“中国の友人”を大事にして、靖国参拝問題を外交問題に発展させてしまったことを忘れてはならない。確かに現状の胡錦濤政権は不安定である様に見える。しかし、だからといって彼を支えてやる必要が日本国にあろうか?ましてや皇族を!それよりも、皇太子ご夫妻には、是非とも靖国神社にご参拝いただきたいと思う。
 評論家の黄文雄氏は「中国・日本包囲網」(海竜社¥1600+税=写真)に「日本人が中国にいくら善隣を求めても、この国には不変なものがある。それは中華思想と、有史以来、中原から時代とともに版図を拡大し続けてきた膨張主義である」「私がいちばん心配していること、つまり二十一世紀の日本の一番大きな問題というのはソフト面にある。日本人の精神面だ。日本の禍機(かき…災いの兆し)は、まさしくその精神的なものからくるのではないかと常に憂慮しているのだ」と書いている。
 私も、最近の皇室問題(特にメディアの報道)を思うとき、徐々に日本精神が破壊されつつあるように思われて気が気ではないのだが、今回の中国政府による「北京五輪成功と対日プロパガンダを狙った」皇太子訪中要請問題はその最たるもののような気がしてならない。畏れ多くも殿下には、君側の奸の謀計にくれぐれもご注意あそばされるよう、敢えてご忠告申し上げておきたい。