軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

月刊誌が面白い・その2

 今朝の産経新聞トップは、「君が代伴奏命令『合憲』」と最高裁が初判断したというものだったが、ピアノ伴奏を拒否して戒告処分を受けた東京都日野市立小学校の女性教諭の名前が意図的に?消されていることが不思議でならない。18歳以下の未成年ならいざ知らず、53歳の成人女性なのに新聞は何故隠すのだろう?名前を出すと身分が判るというような、何か不都合なことでもあるのだろうか?
 彼女は判決後記者会見し「思想・良心の自由を認めない判決が出されたことに政治的意図を感じ、大きな憤りと司法への不信感を隠せません」と語ったそうだが、彼女の「良心」がどうであれ、「政治的意図」とは彼女の行為の方ではないのか?こんな不適格教諭を野放しにしていては、日野市にはいい子は育つまい。
 3面には小さく「中国TV局、初の自衛隊取材」とあったが、中国のフェニックステレビが3月に防衛省自衛隊を密着取材し、30分の特別番組を制作・放映する計画を進めているという。防衛省は「自衛隊の装備品や部隊運用など、機微に触れるものではないので取材を許可した」そうで、「自衛隊PRの絶好の機会と捉えている」という。PRすることに反対するものではないが、何故、今時中国に「自衛隊のPRをする必要」があるのか理解に苦しむ。
 我々が訪中してかの国の軍事施設を見学させてほしいと要請しても、いつも理屈をつけて拒否されている。当然わが方のTV局の取材についても協力するように、防衛省は中国側に要請してほしい。この手の取材は「ギブアンドテイク」が原則であろう。

 さて、今日は月刊誌に関する第二弾である。まず、「月刊日本」3月号の鳴霞女史の「チャイナ・ウォッチング」はいつものことながら興味深いのだが、今月は「今秋、胡錦濤国家主席を曽慶紅に譲る?」という題である。国内には「胡錦濤の地位を脅かす強い圧力」があり、「胡錦濤温家宝は大腐敗家族の実像」である。軍部では「戦車も戦闘機も闇で売買」されていて、既に「360機の戦闘機はアルミ合金の原料」になり、「1800台の戦車が売り飛ばされ」、「30万丁の銃器が盗まれ」、「戦略物資や燃料まで盗難」に遭い、中央軍事委員会、中国人民軍総参謀部などが、07年1月〜7月にかけて一斉調査を実施する、というのである。最も、私が以前北京の軍事博物館で見たMIG−19などの旧式戦闘機群は、彼らは有事には飛ばすといってはいたものの、殆ど飛行不可能な代物だから、おそらくこれら旧式機をスクラップとして処理しているのであろう。処理の仕方がイカガワシイかそうでないかは知らないが、その分「近代化」が進んでいると見るべきである。他方、近代化の象徴とでも言うべきはずのロシアから導入しているSU−27などの情報がこのところさっぱり聞こえてこないのは、「欠陥機だ!」として中露間で秘密交渉が続いているらしいというまことしやかな情報もあるから、この手の情報は今後継続して調査する必要がある。しかし、インターネット上でも、こと中国軍関係のこの手の情報が、面白おかしく氾濫しているのは事実である。
 次に「軍事研究」3月号だが、今月号の特集は「自衛隊特殊部隊と日米韓対テロ作戦」である。それぞれの専門家が、米国、日本、韓国について分析していて興味深い。ところで元パイロットの私にとっては、軍事情報研究会の「21世紀の米空軍《次世代航空宇宙戦力》」は、極めて参考になる。中でも今回目を引いたのは、今嘉手納に飛来して話題になっている「F-22戦闘機」に関するもので、演習では無敵の戦果を誇っているという。例えば06年アラスカでの演習で「損害ゼロにより敵役機144機を撃墜した」という。つまり144対ゼロの戦果である。「大半がF−22の視程外射程攻撃」だったというから、対戦相手はF−22の姿を捉える前に撃墜されたという結果になる。インターネット上では、対戦相手のF−15がF−22を射程に捕らえたもののレーダーロックオンが出来ず、逆に撃墜されたというから、あり得ない話ではない。
 航空自衛隊も、今までのような単なる「買い物計画」から脱却して、21世紀の航空戦略をしっかりと構築して欲しいものである。