軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

月刊誌が面白い!その3

 今朝の産経新聞一面トップに「日本人拉致・金総書記指揮か」との見出しで、「総書記の直轄指揮下で対韓工作を主導してきた北朝鮮工作機関元幹部が、日本人拉致に深く関与していた疑いが強まってきた。・・・金総書記が『妄動主義者の犯行』とした日本政府への説明は虚偽性が強まったと警察当局は判断」と書いた。そんな初歩的な事実が、今まで分からなかった筈はなかろう。関係者はきっと知っていたに違いない。
 1978年(昭和53年)1月に韓国のトップ女優が、その半年後に韓国を代表する映画監督が、共に香港から北朝鮮工作員の手で拉致されたが、その後米国への脱出に成功した二人は、貴重な、と言うよりも驚愕の事実を暴いた『闇からの谺』を出版した。(写真)

 日本でも、昭和63年6月20日時点で既に第3刷が出ているベストセラーだったが、その巻頭に『香港から拉致されて北朝鮮南浦港へ。調査部副部長姜海龍と崔銀姫女史』というキャプションが付いた写真が出ている。その下の写真には、満面に笑みをたたえた調査部部長李完基と姜副部長に崔女史の3人が並んで歩く様子が写っているが、その後ろの桟橋上に、『任浩君副部長が金正日書記に報告している』姿が写りこんでいる。
 そして崔女史は「私はついに北朝鮮の地を踏んだ。1978年1月22日午後3時頃、永遠に忘れることの出来ない日だ。・・・首を低く垂れて、前の人の足音について歩いた。しばらく歩いていくと、前から誰かがこちらにに向かってコツコツと歩いてくる音が聞こえた。そして、少し太めの男性の声が聞こえた。『ようこそ、よくいらっしゃいました。崔先生、私が金正日です』彼は手を差し出し、握手を求めた・・・」と本文中に書いている。
 繰り返すが、この本は昭和63年に発売されている。まさか、日本では公的機関はもとより、マスコミ関係者の誰も読んではいなかったというのだろうか?あきれてものも言えない!

 だからという訳ではないが、やはり新聞よりも月刊誌が充実している。今日は中国人に言わせると「日本の右翼雑誌」と言われている『諸君』と『正論』を紹介したい。(写真)

「諸君」では毎号「紳士と淑女」が圧巻なのだが、4月号もすばらしい!これを読むと一冊読み終わった気分になるのがこの雑誌の欠点?だが、今月号は「甦る『冷戦構造』―独裁国家の『宇宙・核・資源』覇権を許すな」という特集記事が充実している。アスキュー・ディヴィッドの「やはり南京『三十万』虐殺は『政治的数字』だった」も読ませる。中国のプロパガンダを徹底的に排除しなければならないし、それに利用された国内の『エージェントたち』も処断されなければならない。
 徳岡孝夫とマークス寿子の対談「恥を知れ!『こんなみっともない国』に誰がした」も面白いが、情けないことだが、今の日本人には「蛙の面に小便」程度の効き目しかなかろう。
「正論」4月号も負けてはいない。渡部昇一千葉真一八木秀次の3氏による異色鼎談「反日何するものぞ!」も大いに読ませるが、フト目を現実に移すと朝鮮総連による『反日集会』は、東京都が日比谷公園の使用をいったん認めたものの、その後取り消したにもかかわらず、裁判所が朝鮮総連の訴えを認めたため予定通りに実施されているではないか。しかも警視庁が1500人態勢で彼らのデモ行進を「護衛」し、街宣車で集まった“右翼”と小競り合いが起きて、日本人の方が一人逮捕されたという。「反日、何するものぞ!」と力んでみても、現実を見渡せば、全く効果がないことが証明されている!
 正論では「反日“包囲網”を打ち破るために」とする特集を組んでいて、高山正之氏の「“侵略者・日本”をでっち上げ続けた米中の都合」、石平氏の「胡錦濤『微笑外交』の裏に隠されたワナ」は一読に値する。
 軍学者兵頭二十八氏による、今時珍しい「平成軍学考―」という連載欄は、軍事学を平易に解説していて是非読んで欲しいものだが、今月の「新聞では分からない中国衛星破壊実験、ホントの意味」も興味深い。私も副題の「うろたえるべからず!米中の狭間で日本は何を見極めるべきか」に同感である。
 軍学者らしく、冷戦時に三沢基地に配備されたF−16戦闘機54機が持つ意味と、現在の嘉手納に一時的とはいえ配備されたF−22、韓国に再び展開したF−117の意義を適切に解説している。そして「要するに、アメリカ軍とアメリカ政府は、今報道されていない世界の隅々で、すっかりシナ人を『敵』として遇し、水面下で、かなり露骨に、激しく、やりあっている最中なのです」と説く。「振り返りますと、北京政府をここまで開き直らせたきっかけとして、決定的に効いている『痛撃』は、ヨーロッパの登山家チームによって偶然に撮影され、2006年に『You Tube』経由で世界に流出した、チベット人の行列をシナ軍兵士がライフルで七面鳥のように淡々と撃ち殺している映像だったのではないでしょうか。あれがひとたび表の世界に出てしまっては、もういかなるシナ人の宣伝も無駄です」と書く。同感だが、しかし、「人権!人権!」と喧しい、我が国ではさほど話題にはならなかった。それは我が国のメディアが“自粛?”したからであろう。そしてむしろ『産む機械』発言の方が「重大だと捉えられた?」事の方が日本の『人権問題』の現実を物語っていた。
 兵頭氏は文の最後をこう締めくくっている。
「既成の日本の大手マスコミ人士は、給与面での破格の厚遇を享受しながら、その知識の道具が徹頭徹尾西洋製であるためにシナ人については何一つ理解できず、逆にシナ政権などの手先となって日本人の大衆を大アジア主義へと誤導しようと運動してきました。シナ人の沽券とともに、そんなシナ人知らずのトロイの木馬たちの信用が失われる日も、2008年の五輪より、あるいは早く来るのではないかと思います」
南京大虐殺”という中国政府のプロパガンダのお先棒を担いだ『本多勝一』さんや、天皇裁判などと言ういかがわしい番組を国営放送で放映した『本田雅和』さんや、“従軍”慰安婦などという、ありもしなかった虚構を米国議会に提示しようとする『マイケル・ホンダ』さんら、ホンダ3兄弟?に是非とも読んでもらいたい一文である。