軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

ニュース点描

 週末、久々にゆっくりニュースに目を通すことが出来たが、書きたいことが多い中から、気になる点だけを玉石混交で素描してみたい。
1、朝鮮半島にいよいよロシアが触手を伸ばし始めた!・・・日テレニュース
 6者協議が行き詰るのを待つかのように、ロシアは北朝鮮に『触手』を伸ばし始めた。過去の北朝鮮の巨額の負債を水に流し、新たに北朝鮮の基盤的インフラ整備に手を貸すという。議長国を務めた中国も気分が悪かろうし、まじめ?に協議に参加した米国にとっても「とんびに油揚げ」になりかねない・・・。我が国にも戦略はあるのだろうか?

2、「不適切放送16件」・・・産経新聞
 関西テレビの「あるある捏造問題」で、外部調査委員会が詳細な調査結果を発表した。番組を頭から信じて見ていた方々にとってはショックだったことだろう。菅総務相は「予想より多くの新たな捏造番組が報告されていた。正式な報告を踏まえて処分を行いたい」と語ったが、視聴率を気にしつつ、最低限の予算で番組を制作するのが現場の宿命?だから、今後も「捏造」はなくならないだろう。それよりも「そんなものなのだ」という気楽な感覚で見るほうがいい。所詮、小学校の学芸会程度の内容なのだから・・・

3、「墓穴掘った開発業者=中国・重慶」・・・産経新聞
 1面中央のカラー写真を見て「何だろう?」と記事に目を通して嗤ってしまった。「中国重慶市で開発業者の立ち退き要求に飲食店主がたった一人で抵抗を続けている」のだが、「業者がこの飲食店の周囲を約9メートルも掘り下げ」たので、店は巨大な穴の中に「釘」のように「ポツンと孤立している」のである。裁判所も「強制排除」を許可していたそうだが、22日になって突然「強制排除を見合わせる」判断を示した。その背景には「孤軍奮闘する飲食店主への世論の支持、今年10月に施行される物件法の影響が指摘されているのだが・・・」と産経は書く。
 5面の「緯度経度」欄に「物件法が中国を変える」という題で伊藤記者が、「土地の国有制は変わらない。しかしそれをタテに地方政府が開発業者と結託、土地を強制収用するのは、非常な制約を受けることになった」と解説している。私には、一党独裁国家・中国にも「世論の影響」が出始めた?という点がなかなか興味深い。

4、「イラクの現実=うろたえる潘事務総長」・・・産経新聞
 3面中央の連続写真も面白い。CNN,BBCなどでも詳細に報道されていたものだが、訪問先のバグダッドで潘国連事務総長が共同記者会見中に、会場傍の約50メートルに武装勢力迫撃砲弾が着弾、爆発音が響いた瞬間の連続写真である。「潘事務総長は一瞬、身をかがめて、周囲を見回すなどうろたえた表情を見せたが、隣にいたマリキ首相は顔色をほとんど変えず、微動だにしなかった」という。防衛研修生だった頃、タイとカンボジア国境の戦線を視察したことがあったが、タイ陸軍の前線指揮所近くに迫撃砲弾が着弾したときのVTRを見せられたのだが、それには将軍が真っ先に伏せるシーンが写っていた。それに反して幕僚達は平然?と立ったまま、双眼鏡でジャングルの着弾地点を見ていた。バンコクに帰る途中の車内で、空軍の私は陸軍の同期に「あれじゃ指揮官としての威厳は保てないのでは?」と聞いたのだが、「将軍は直ちに危険に対応したが、幕僚達はボケッと突っ立っていたと取るか、判断は微妙だ」と言った。日本海海戦で指揮を取った東郷元帥は、砲弾が飛び交う防御物が無い三笠艦橋で平然と指揮を取った、と伝えられているが、民族性の違いなのかもしれない。戦闘機乗りは避けることの出来ないコックピット内に縛り付けられているから、そんな時でも回避しようが無いので諦めているのだが・・・

5、「イラン、英兵15人拘束」・・・産経新聞
 イランとイラク国境沿いの水域で、貨物船の検査を行っていた英国兵が、突然イランの船に包囲されてイラン側に連行され拉致されたという。英国政府は直ちに動き出したが、英軍司令官によれば「イランは武装勢力に強力な武器を与えているほか、イラク南部の住民に金を払って英兵への攻撃を仕掛けさせている」という。イラクのテロ事件が絶えないのは、このようなイラク国内のテロリスト達に対するイランの後ろ盾があるからで、今回の事件はそれを明瞭に国際社会に示す結果になった。さて、米英軍が、これに対して有効な処置を下せるかどうか。中東情勢はいよいよキナ臭くなってきた。

6、週刊誌が面白い!
 花田紀凱氏の「週刊誌ウォッチング」は、週刊誌と新聞の「後追い」行為を衝いていて面白いが、確かに週刊誌の記事は新聞よりも時間的余裕があるからか、最近充実しているように思われる。
 週刊新潮3月29日号は特に面白かった。興味ある記事を列挙すると、
①ワイド「たちの悪い話」=「82歳老人が『断食抗議』した二階国対委員長『転売疑惑』」
<リード:破綻した旧年金福祉事業団の保養施設「グリーンピア南紀」の跡地利用をめぐって、82歳の老人が抗議の断食に入った。もとはといえば、地元選出の二階俊樹・自民党国対委員長の斡旋で、中国系企業に転売したことが原因だった>。・・・以前から問題になっていた事柄だが、改めて疑惑が疑惑を呼んでいるらしい。江沢民氏の銅像はどうなったのだろう?
②同じく「たちの悪い話」=「『すぎやまこういち』の南京大虐殺『意見広告』を断った米紙」
<リード:被害者は30万人という荒唐無稽な数字が未だに一人歩きしている「南京大虐殺」。これを修正しようと作曲家のすぎやまこういち氏(75)は、米紙「NYタイムズ」と「ワシントンポスト」に意見広告を出そうとしたのだが・・・>。・・・昨年7月に約1000万円かけて全面広告を出そうとしたが、まずNYタイムズに拒否され、次いでワシントンポストにも断られたという。「日本政府はすぎやま氏に見習ったらどうか」と週刊新潮は書いたが全く同感。
③同じく「たちの悪い話」=「『朝鮮新報』に定年退職を惜しまれた『朝日新聞』記者」
<リード:朝鮮総連の機関紙「朝鮮新報」。北朝鮮と不可分の関係にあるその紙上に、一人の日本人記者の定年退職を惜しむ記事が載った。よっぽど北朝鮮に尽くしたのだろうか。その記者が退職したのは、朝日新聞社だった――>・・・その記者の名前は「波佐場清氏(60)」だという。信じられない!とコリアレポートの辺真一編集長も驚いたそうで「日本人個人の事情を朝鮮新報が報じるなんて、本当に珍しい。そんなこと書かれたら“北のシンパか”と疑われてしまう。そんな馬鹿なことがありますか」と言ったそうだが、その「バカな」ことが起きたと週刊新潮は詳細に書いているのである。やはりあの新聞社は<工作員の巣窟だ>という証明であろう。
④「『教師叩き』記事を『声』欄で修正した朝日新聞
 その朝日新聞は、3月1日夕刊に掲載した「遅刻多い生徒『地獄へ直行』」と題した記事が、14日の朝刊「声」欄に、「載らない事実印象変わった」と題する中学生の投書で「自らの行き過ぎた教師批判を修正したかったらしい」と週刊新潮は書いたが、コラムニストの勝谷誠彦氏は「教師批判に火をつけておいて、どうやら立派な先生だと分かると、投書を使って火消しをする。これぞマッチポンプですよ」と語り「新聞では記者が紙面に書けないことを、良く投書に代弁させるから・・・」と週刊新潮は結んでいるが、本多勝一氏などの「南京大虐殺」記事も、この手で早く修正して欲しいものである。読者にはしっかりと「声」欄を監視していて欲しい・・・

 週刊誌と新聞の記事内容の比較もまた面白いものである。週刊新潮3月29日号をご一読あれ!