軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

米軍・ペルシャ湾で大規模演習

 昨日午後に都心で会合があり、夕方から靖国神社に参拝・千鳥が淵を散策して夜桜見物してきた。午前中は3分咲きだった桜が、夕方には6分咲きになった、と花の下で宴を楽しんでいる若い人たちが言っていた。世はまさに春である!
 靖国神社の門は閉じられていたが、菊の御紋章の前で若い人たちが記念撮影していたし、境内は桜祭りで大賑わい、きっと英霊も喜んでいることだろうが、日本の現状をご心配かもしれない、と思いつつ神社を後にした。

 ブログを開けると、私が参院選に出馬?と早合点したコメンテーターがいて苦笑した。誤解がないように言っておくが、私は政治には「関心」はあるが、政治活動には一切関与しない事を信条にしている。これは軍人だった義父の遺言でもあり、わが「佐藤家」の家訓として、人から騙されても、人を騙してはいけない、と父母から教えられてきたからである。
 以前、福岡の同窓生達や全国ネットの旧軍人会などから“誘われた”ことはたびたびあった。しかし私は一介の戦闘機のりであって、その経験は偏っているから政治家としては不適だと考えている。何よりも今更「雑兵?」の仲間入りはしたくない!。“軍隊”での経験と“3次元”での体験以外には取り得は無い私には不向きな世界であるから「餅は餅屋」に任せたい。「佐藤」は全国一のありふれた姓だから、お間違いのないようにしてほしい!
 今回出馬を決心した「佐藤」は、「佐藤正久」君で、ゴラン高原を皮切りに、陸上自衛隊のPKO活動の先駆者として大活躍した「ひげの隊長」である。
 防大同窓生として彼を誇りに思っているが、今回、“軍人”の道から政界の道へと方向変換を決意したようだ。彼は現地・イラクの部族長などから高く評価され、信頼された傑物である。私は個人的には彼の経験を今後の自衛隊に大いに生かして欲しいと思い、陸自の小平学校長や、幹部学校長として、全国の有為な幹部自衛官である後輩達の訓育指導に当たるポストについて欲しいと思っていたのだが、小さな陸自という組織から一挙に政界に進出して、より大きな「美しい日本国作り」に貢献したいと決断したらしい。
 私のような「古い」佐藤ではなく「新進気鋭の佐藤君」をどうぞよろしく!

 ところで、今朝の産経新聞5面に、ペルシャ湾に待機中の米軍がついに大規模な演習に入ったと報じられた。朝鮮半島でぐずぐずしている間に、イラン問題が急浮上してきたのである。イラク駐留の英海軍兵士らが、船舶臨検中にイランのテロリストと思しき武装集団に「拉致」され、イラン政府がこれら15名を拘束した事件が一気に緊張を高めたのである。ベケット英国外相はイランとの公的交流の凍結を発表、それに応じて米国防総省が「ペルシャ湾での2個空母機動部隊」による演習に踏み切ったのであるが、空母「ステニス」のジョハンソン艦長が「脅威を与えるような行動は取らないよう注意した方がいいとの強いメッセージだ」とイランを牽制したメッセージは意味深長である。
「こうした状況を踏まえ、イラン側もモッタキ外相が女性兵士の開放を伝えるなど事態は一部で進展。しかし、こう着状態に陥れば、緊張がさらに高まる可能性もあり、全面解決にはまだ、予断を許さない」と産経は書いたが、テロを信奉する武装勢力を、イランの政治指導者がコントロールできるかどうかは極めて疑わしい。
 このように中東情勢は緊張度が増しているが、朝鮮半島情勢も依然として不穏である。韓国内の政情はますます不安定で流動的で、北朝鮮に有利に作用している。加えて、北朝鮮寧辺にある「廃屋化した」原子力施設は、何時チェルノブイリの二の舞になるかわかったものではない、という説が強い。最もそうなれば、その50キロほど南にあるピョンヤン周辺も放射能に汚染され危険地帯になるから、将軍様も気が気ではなかろう。いや、一番ひどい被害をこうむるのは、仙台以北の東北、北海道である。とても放射能汚染は、米国までは届くまいから、米国はさほど気になるまい。北朝鮮は、来月中旬までにこの施設を「何とかする」約束だが、金がもらえなければ、約束も実行できまい。
 米国は、群山基地にF−117ステルス攻撃機部隊を配備し、嘉手納にも、台湾、朝鮮半島をにらんで、最新鋭のF−22を配備し、空母・レーガンを遊弋させてそれに備えているが、最優先はペルシャ湾であることは間違いない。
 たまたま、電池の期限切れ?で国産の偵察衛星の一個が活動を停止した。能登半島地震のみならず、我が国の“人為的不測事態”に対する備えは万全か? 
防衛省」になった今、後輩達の健闘に期待しているが、今週発売の「正論」5月号は、東アジアの“新冷戦”に備えるよう、国防論議を高めよ、と多くの提言がされていて、中でも、元陸上自衛隊幹部学校長の樋口譲次氏が、「これでは守れない!自衛隊の実力低下を憂う」と題した論文を書いている。
 4月8日の知事選や、お花見に浮かれている状況ではないような気がするのだが、杞憂に終わることを祈りたい。