軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

ちょっと一息・・・食品危機など

 私のブログの読者は実に真面目で真剣、いつも感心すると同時に教えられている。ちょっとエキサイト気味?なので、ここらでちょっと一息、身近な問題を写真で御紹介しておこう。
 漸く中国の『食品の安全性』が世界中の話題になり始めたが、オリンピックを控えた胡錦濤政権にとっては舵取りが大変だろう。今朝の産経は7面で「米、深まる中国不信」との見出しで「中国製の原材料が原因」で、食品始め「安全性に問題のある中国製品が米国で次々と発覚」し米中貿易関係が一段と緊張してきていると伝えている。
 地上波テレビのワイドショーでも、かなり詳細な報道を始めたが、私が現地で見てから10年たって漸く日本人もその危険性に気がついたようだ。
 胡錦濤政府は相当以前からこの問題に着目していて、農民政策を改善しようと懸命に取り組んでいたようだが、あちらの研究員の言葉を借りると「国が広すぎる」こと「共産党自体が腐敗している」から、なかなか末端まで徹底せず、主席の努力は報われていないという。彼らが属する上流社会?では既に自分達の「食の安全は自ら確保」するのが当たり前で、信用できる店以外では買い物しないという。しかも出来れば外国から輸入された安全な高級品を買うのがブームだそうで、例えば「りんごは青森りんご」という風に。だから、我々が「ホテル」以外の“一般大衆食堂”で食するのを必ずしも彼らは奨励しなかった。
 10年前に北京を訪問したとき、ガイドが「自分が渡すもの以外は飲まないでくれ」といってペットボトルを毎朝手渡してくれるのだが「ガイドが仲間の商店と契約した手間銭稼ぎ」なのだろう、と我々は勝手に解釈していたのだが、それがとんでもない間違いだとあとで気がついた。
 万里の長城を見学後、山間の一般道に「蜂蜜」が並べて売ってあるのを見て、マイクロバスを止めさせて瓶を手にとって見たとき、ガイドは私に「先生、本当に買うの?」と聞き、「何が入っているかわかったものじゃない。買うな、それは毒だ」と制止した。「君は自国の農民の味方じゃないのか?」というと、彼は「とんでもない。自国民でも信用できない。自分の命は自分で守る。先生、私がガイドする3日間は絶対に私に従って欲しい。病気になられたら私困るから。本当に買う気?死んでも私知らないよ」と言ったので全員買わずにマイクロバスに乗った。養蜂業?のおばさんたちから「ギャーギャー」大声で罵られながら・・・。「写真1」がそのときのものである。
 2000年秋、上海、桂林、西安、北京と各地を廻ったが、特に地方では自由気ままに田舎を見て歩いた。少数民族チワン族の集落では、全く観光客などが居ないのに、市場?ではおばさんたちが野菜や川魚を売っていて、ガイドが「この魚がおいしいのです。今日は友人宅で料理してもらいましょう」と買い上げた。電灯もない玄関先?では、若い女性がビーズを使った刺繍をやっていた。写真を撮らせてもらいたい、というと恥ずかしそうにうなづいた。「写真2」がそれだが、彼女達の稼ぎは、驚くほど少なく、中間業者に搾取され「奴隷ですよ」とガイドは言った。
 桂林の中心部から車で10分も外れると、辺りは農村地帯、まるで昭和30年代にタイムスリップした気分になる。農村の集落では、働き口がない青年達が、ツーパイ(紙牌)や玉突きに興じていて、我々を珍しそうに眺めている。時々、暖簾を掻き揚げて、主婦や子供が麺類を食いながら出てきて我々を眺める。手を振って応えると、笑いながら引っ込むからなんとも純情である。「写真3」
 農村集落の入り口には竹籠を編んでいる若い女性が居て、家の周りは雑然としているが、一歩農道に入ると、両サイドには一面の野菜畑が広がっている。そんな中で、上半身裸の老農夫が一人鍬を振るっていたが、やはり我々が気になるらしく、時々手を休めて我々をじっと見つめている。なんとものんびりした農村風景で、山本先輩が「佐藤、この香りの懐かしいこと。われわれの少年時代を思い出すなー」と言った。私も「日本の原風景というか、まるでミレーの晩鐘を思い出す風景ですね」と少々キザに応えたものだが、集落を巡回した帰り道、ここを通ると一段と強烈な匂いが漂っている。しかも風に乗って「粉」が舞っている。畑を見渡すと件の老農夫が籠から白い粉を手づかみで野菜に撒いている。何とそれは日本では禁止されている「農薬」で、全く希釈もせず「花咲じじい」風に撒いている。勿論彼は上半身裸、素手である。あわてて車に戻り、気になって服を払ったのだが、とにかく字が読めない彼らは、農薬の危険性も全く知らず、撒けば撒くほど効くと思っているらしい。ガイドに「まさかこの野菜を日本に輸出するんじゃないだろうね」と聞くとただ笑っていた。彼は日本の大学に留学した知識人だったが、「日本のレベルに達するのはとても・・・」といった。「写真4」がそれである。農薬を撒く姿は危険で取る暇はなかった。
 とにかく、こんな状況であることを日本国内に知らせるのがメディアや外交団の任務だし、大使館の手に余る場合は、中国に進出した企業人が伝えるべき情報であろう。漸く今頃世界、それも米国が騒ぎ始めて日本のメディアが追従しているのが情けない。国の機関が厳重警戒に入ったと言う情報は見ないが、輸入に当たっては、他国に比べて一段と厳しい「措置」を講じているから、大丈夫と言うのが“見解”なのであろう。
 しかし、120万を超える在日外国人に対処すべき公安職員の数がどれほどなのか、食品検査官の全数がどれほどか国民は知っているのだろうか?「毒物の含有量が日本の規制値よりも高いことは事実だが、継続的に、または大量に摂取しない限り問題はない」と担当部署が答えるのは目に見えているが、私のささやかな経験からだけでも「既に10年」経過している。気づかずに摂取を続けていたら今頃どうなっていたか・・・。口の悪い後輩は「フサフサになっていたかも!」というに違いないが。10年前に私の話を聞いた家内が、直ちに中国野菜を食卓からはずしてくれたことに感謝している。
 しかし、自宅でいくら各人が真剣に対処しても“外食”からは排除できないから、外食すればするほど摂取する機会が多いということになろう。ミート何とかのイカサマ食肉よりもある意味で危険である。それに食器類、割り箸などなど危険物は限りない。中国人自身が「自らの健康は食の安全から」と言って既に実行しているのである。

 先日家内に“連れられて”米国企業の大スーパーに行った。以前は米国産牛肉輸入禁止でかなり影響を受けていたそうだが、今は解消されて日本人客が多く買い求めている。そのスーパーから今まで陳列されていた中国産の野菜などが一斉に姿を消していた。米国政府のお達しらしいが、これこそ政府が取るべき国民の健康を考えた食の安全確保のための初歩的第一歩であろう。今朝の新聞チラシには、土曜丑の日も近いとあって「うなぎの宣伝」があちこちに出ていたが、未だに中国産が出回っている。勿論、全部が全部そうだと言うわけではない。しかし、米国とのやり方がこれほど違うのはなぜだろう?と考えてしまう。我が国では「疑わしきは罰せず」という精神は、食の安全にも適用されるらしい。あれほど米国産牛肉輸入問題で大騒ぎした国なのに・・・なんとも変な国である。

 ところで、先日のブログに関して、メールで情報を伝えて下さった方が居る。北朝鮮がらみの政治家の写真がインターネット上で公開されていますから御参考までにお送りします、というのでそれを最後に掲載することにしたが、版権がどうなっているのかは不明である。御存知の方が居られたらお教え願いたいと思う。
以上、ちょっと一息!