軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

“ダンボール饅頭”は謀略か?

 昨日は「岡崎久彦著『A CENTURY OF JAPANESE DIPLOMACY』出版を祝う会」に出た。外務次官を始め外国大使、政官界からの多くのVIPが詰め掛けて盛況であった。岡崎氏の日本外交史5部作のうちの英訳版である。
「近代日本がどのような問題に直面し、どう対処してきたか、外交史を中心に記述した本で、広く海外に日本の経験を紹介する意義深い著作」と紹介されたが、挨拶に立った岡崎元大使は「歴史は事実を淡々と書くべき」として、「南京大虐殺」問題を例に取り上げ、当時の南京城内には20万人いた、と記録されている。その後もほぼ人口は20万人だったのが事実なのに、そこでどうして30万人を“虐殺”することが出来たのか?と指摘し、これは「歴史」ではないと断言した。
 最も中国には、倒した前政権の歴史をすべて書き換えて、自己正当化した「正史」しか認めないという「歴史」があるから、かの国の外交官はそんな“正論”には全く動じないことであろう。北京の抗日記念館に「達筆の揮毫」を残している村山元首相も同じだろうが・・・

従軍慰安婦”も、“レイプオブ南京”も、米国内では、中国が「英語に翻訳」して勝負に出ている。その昔、ルーズベルト米大統領に取り入って、日本との戦争を吹きかけた蒋介石夫人の宋美麗のような活動が再開されているのである。
 今でも米国学会も各大学でも、教授達は「日本語」を読むことはしないから、英訳本を「読ませるか否か」で勝負は決まる。しかもその「英訳本」の著者は、評論家や小説家であってはならず、大学教授か外交官・軍人でなければ信頼されないから英語圏に“犯された体験が少ない”日本側は実に不利である。中国も韓国も、東南アジア諸国も、幸か不幸か英語圏の侵略を体験しているから、英語圏にたった一度「占領」された体験しか持たない我が国は、これらの「被占領体験国」の英語圏に対する「ロビー工作」には太刀打ちできないところがある。
 南京虐殺問題については、東中野教授の英訳本が漸く米国に送られたが、まだまだ少数派である。従軍慰安婦問題についても、民間有志の広告・抗議文などがやっと米国の新聞に出たが、これまた少数派である。
 今朝の産経新聞7面に「日米に害を及ぼす」と慰安婦決議案問題で、加藤駐米大使が警告したことが出ていたが、良いことである。米国は「言論の国」である。外務省は積極的な言論活動を展開すべきであると思う。
 今回のこの英訳本は、近代日本、及び日本人のものの考え方などについて、欧米諸国の関心を高めるに違いない。今後とも継続してこれらの名著が英訳され、どんどん外国に出て行くことを期待したい。

 ところでこの会には多くの評論家やジャーナリスト、マスコミ関係者が出席していて、恥ずかしながら私のこのブログが注目されていることを知って驚いた。既に540万件ヒットというのは凄いことだそうで、毎日目を通していると言われたのには恐縮した。しかし、これはあくまで私の個人的見解を、思いつくまま勝手に書き込んでいるのだから、「相手がどんな高官・有名人」であろうと、官姓名を名乗って対応してこない限り、私は気ままに書き続けるつもりである。
 そんな中で、今回の「中国のダンボール饅頭」事件が「北京テレビのヤラセであったことをどう見るか?」という質問が話題になった。
 私は「ヤラセと言う報道」も「政府のヤラセでは?」と茶化したのだが、「なるほど、今回のダンボール饅頭報道がヤラセだと言う報道は、すべて政府の監視下にあるかの国の報道機関としては聊か奇妙である。政府の意図に反したこの局の“ヤラセ報道”が事実ならば、この記者は銃殺刑になり局は閉鎖?される筈で、そうでなければもっと違った意味での“ヤラセ”かもしれない」と言った方がいた。
 私は「今世界中で中国製品の危険性について問題化しているとき、実はダンボール饅頭のような、意図的な情報操作も流れているのであって、これは彼らに言わせれば『外国勢力の中国を貶めるための謀略であり“誤報”だ』と、政府が人民に強調しているのかもしれない」と言ったのだが、「うーん」と腕組みした方もいた。勿論確証はない・・・
 台湾関係者は、はなから「あの国のやりそうなこと」と一笑に付していたが、それほどかの国の製品は信用できないと言う意思表示であろう。
 以前お会いした94歳の元特務機関員・門脇老も、「昔肉まんを食べていたら、コリッと硬いものがあったので出してみると人間の指が出てきてねー」と言ったことがある。文化大革命で北京に動員された福建省の青年が、やっと手に入れた肉まんをほおばったら、隣の女性が饅頭から人間の指が出てきたので失神した、という体験談を読んだこともある。
 私も桂林市の市場を早朝見学していたら人だかりがしている。見ると皮を剥れた「サル」を巡って、仲買人?達が商談していた。人型の食品は、日本人の食文化にそぐわない。ダンボール饅頭も「かの国の食文化」だと受け取れば、さして気にすることもあるまい。
 数日前、再び家内のお供をして、先日の米国系ショッピングセンターに“視察”に行ったところ、唯一「にんにく」だけが中国産だったが、値段が10倍もする日本産の方が売れていて、中国産は売れ残りの山となっていた。日本の大手スーパーでも「中国産うなぎ」の脇に『当店の商品は安全性が確認されています』と張り紙がしてあったが、さっぱり売れていなかった。
 北京オリンピックを控えて健闘している胡錦党主席も、噴出した貿易摩擦には頭が痛いことだろう。我が国でもスーパーや外食産業など、高価な国産品の食材では元が取れない商売は苦しいことだろうが・・・
「君子危うきに近寄らず」。我消費者たちの知恵もまんざら捨てたものではない、と感心した。

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