軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

漸く“安保”に気が付いた?わが政府

今朝の産経一面に「新型コロナ安保の脅威」という記事が出た。

コロナ騒動が、漸く“我が国の安保”と結びついたのである。今までは話題になってもせいぜい“危機管理”程度だったが…

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世情では「核廃絶」はよく叫ばれるが、細菌戦争については全く無関心、しかも担当は厚生労働省だというから気楽なものだ。年金問題でミソをつけた役所が、今回も防疫でチョンボしたと世間は受け止めている。それほどこの国には緊張感がないのだ。

しかし問題となって3か月後に、NSS(国家安全保障局)が安保上の脅威ととらえ、「4月に発足する経済班」を中心に水際対策を見直すのだという。どこかピントがズレていなくもないが、安保に気が付いただけ良しとしよう。

細菌戦は「貧者の核兵器」と呼ばれる。北朝鮮のように「ミサイル」を打ち上げれば世界は”戦争か?”と緊張するが、細菌は友好国に誰かが持ちこんでも気が付かれないし、内陸部で時期をずらして大量発生させ、相手国の食物生産など、国益に甚大な被害を及ぼすことができる、大量破壊兵器の一種である。すでに半世紀以上も前になるが、この問題が国連で取り上げられ「化学・細菌(生物)兵器とその使用の影響」と題するウ・タント国連事務総長報告書が出版された。当時外務省に出向していて、核を始め軍事についての情報収集にあたっていた私の“バイブル”的存在だった。

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中国は今核戦力はじめ通常兵器など軍事力を大々的に増強して、空母などの“威容”を周辺諸国に誇示しているが、核兵器で米国と対峙するような愚かなことは出来ないから“闇の手法”で攻略する。米国が「ハーウェイ問題」で気が付いたように、中共は、密かに相手の内部に浸透させ、一気に相手の息の根、つまり覇権を握るのが、大陸古来の戦法なのであり、それに伴う有力な“弱者の戦法”は、言論統制など情報戦であり世論工作を重視する諜報戦である。

 

武漢で発生して各地に拡散した今回の新型コロナウイルスについても、当初情報を隠蔽して、WHO事務局長までも抱き込んで味方させたが、今やその責任逃れに転換しつつある。これが中国共産党の手法なのである。

昨日の大紀元日本は「武漢肺炎はどこから? 責任論をうやむやにして日本を抱き込む中国共産党の思惑」と概してこう報じた。

【中国湖北省武漢で発生した新型コロナウイルスの感染拡大をめぐって、中国外務省の趙立堅報道官は4日、「発生源が中国とは限らない」「世界に謝罪する必要はない」と発言し、物議を醸し出している。

いっぽう、中国のSNSでは、米国政府がウイルスを中国に持ち込んだという「陰謀論が多数書き込まれている。共産党政権は新型肺炎の発生を隠蔽し、世界に感染を拡大させた責任の回避をしようとする思惑がみえる。

米カリフォルニア大学バークレー校の肖強教授はワシントン・ポストの取材に対して、「ウィーチャット、微博、百度を見れば、『他の国が全て病んでいる(感染拡大しているという意味)』『ウイルスの発源地はアメリカだ』などの陰謀論が目立つ」と述べた。

中国共産党政権が感染発生を隠蔽し、国際社会での信頼を失墜している今、中国のSNSでタイミングよく反米プロパガンダが現れたのは「決して偶然ではない」と同教授は指摘する。「これは、共産党政権があらゆる宣伝機器を動員し、計算し尽くされた運動であり、国際社会への反撃だ」

経済学者の何清漣氏は中国の世論操作に「4つのステップ」があると3月1日のツイッターに投稿した。「1つ目のステップは、災難を感動の祭典にすり替える。2つ目、ウイルスは米国に由来するといった陰謀論を広める。3つ目は、中国はまたもや勝利を収めた(これは現在進行形)、4つ目は、中国は世界を救ったこれはまもなく登場するだろう」】

これがこの国の常套手段であることは、「南京大虐殺」などという架空の冤罪?を押し付けられた経験がある日本としては身近な教訓だといえるのに、今回も“引き受けさせられるような”気がして心配になる。

日本に帰化した石平氏も5日の産経にこう書いている。

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退官直後のころ、私の講演会に来ていた彼が「先生!中国悪い、中国悪いというの間違いよ!悪いのは“中国共産党よ!」と発言した。確かにそうだと思ったから、その後仲間と昼食をともにしたが、込み合っている食堂で「先生!日本人すぐ謝るよ。すみませんは謝る言葉よ。なぜ女給にも謝るの?」と大声で言った。仲間が辟易して「店でスミマセンというのは店員さんに「お手数をかけますが」という前提でかける言葉だ」と解説したが、彼には「全く通じなかった」ことを思い出す。

恐らく日本外交もこの手の感覚で対応しているのじゃないか?と話題になったのだが、今回韓国外務省に“呼びつけられた大使”の表情も頼りないから、”謝罪に来た”と誤解されるのじゃないか?と気がかりになる。

とまれ、石平氏が言った「悪い中国共産党」から1日も早く人民が解放されることを望むが、すでに共産党体制は80年余、今の人民には江沢民の「反日教育」が徹底しているから、その後の人民にも期待できそうにない。

にもかかわらず、今回のウイルス蔓延の責任者である親玉をどうしても“国賓”として招きたいという政府“関係者”の意図が全く理解できない。彼らこそ、中国に移籍したらどうだろう。

 

届いた書籍のご紹介

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軍事研究誌の「市ヶ谷レーダーサイト」に新型コロナ問題で浮き彫りになった我が国の欠陥が整理されている。関係者はご一読あれ!