軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

日米関係の危機

 コメントが書き込めないとか、ブログランキングから私のブログが消えた、などという御忠告を頂き、確認したところ本当に消えてしまっている!「人気ブログランキング」という項目をクリックしてみたが「ID番号と違う」とかで反応なし!今までクリックしたことがなかったので全く気がつかなかったが、恥ずかしながらどうも「近代兵器」の操作に不慣れなようだ。そういえば先日、PING送信不可能となったので、何度か送信操作をして復帰したことがあったのだが、それが原因かもしれないので会社に問い合わせているところである。そのうち回答が来るだろうから、しばし御容赦願いたい。

 ところで今朝の産経は、1面トップに朝鮮半島の「南北首脳会談」を取り上げた。「韓国のノムヒョン政権は北朝鮮金正日総書記との南北首脳会談に執着してきた」というが、金大中前大統領の「金々会談」を思い出させる。
 2000年8月、韓国で会議に参加していた私が韓国の研究者に「金金会談」の意味について質問したところ、「ノーベル賞目当てです」という予想外の答えが返ってきて驚いたものである。
 今回のノムヒョン大統領も、それと同様な狙いで訪朝するのだろう。私には“公私混同”のように思えるが、あの国では常識なのかもしれない。

 それよりも今朝のニュースで愕然としたのは、「小沢氏がシーファー駐日大使に『テロ特措法延長に反対』と明言したこと」である。コメントにもあったが、彼は首相にでもなったと勘違いしているらしく、米国大使にかなり無礼な態度を取ったらしいが、それはともかく、会議の要旨には「我々の考え方の基盤は憲法だ。9条の解釈から、自衛権行使は日本が攻撃を受けたり、急迫不正の侵害を受けた場合に限る。アフガニスタンでの戦争は米国の(自衛)戦争だとブッシュ大統領は言われた。日本の直接の平和・安全と関係のないところへ部隊を派遣し、米国などと共同の作戦をすることは出来ない。ISAF(国際治安支援部隊)は国連決議に基づく。(日本は)国連に認められた活動に参加したい。これは米国にマイナスの話ではない」と語ったという。
 憲法9条と自衛権発動の解釈にこだわる姿は共産党社民党そのままだし旧態依然として何ら進歩はないが、ちょっと待ってもらいたい。では今までのサマワやクェートへの輸送部隊の派遣は一体なんだったのか?
 とりわけ「日本の直接の平和・安全と関係ないところへ部隊を派遣し、米国などと共同の作戦」はしない、という発言にいたっては、一国平和主義そのままであり、今までの日本政府の対応を頭から否定したものである。
 小沢氏の発言が、大使を通じてどのように翻訳され米国に伝わるか心配だが、とりわけ在日米軍将兵にどういう受け止め方をされるか私には非常に心配である。

 平成2年8月、サダム率いるイラク軍がクゥエートに侵攻したため中東情勢は一気に緊張した。その秋、在韓米空軍司令官が三沢基地に来訪したので、基地司令たる私はその夕食会に招待されたが、将校クラブで200人を超す将兵と家族たちを前に、彼は次のような演説をしたのである。
「米本国ではベトナム戦争の反省から、今回の湾岸危機に参戦すべきではないと言う意見がある。その我本国では、情けないことに君たちと同年代の多くの青年男女が、麻薬やフリーセックスにおぼれて反戦を唱え兵役を拒否している。それに比べて君達はどうだ。祖国を遥か離れた極東の地で厳しい訓練に耐え、ひたすら自由のために戦っている。そして今回、命令されれば君たちは、かの中東に駆けつけ血と汗を流そうとしているのだ。
 確かに今回の中東危機は、米国にとってさほどの緊急事態ではない。なぜならば、中東から石油が買えなくなることが一番困るのは西欧諸国であり、この日本国である。その意味では何も西欧と日本のために我米国の、君らのような大切な青年男女を危険にさらす必要はないのだ。
 しかし諸君、考えてみてくれ。我々米国軍がフセインの横暴を抑えなければ、世界の平和はどうなるのだ。自由はどうなるのだ。我々は正義と自由と、そして同盟国との約束を果たすために戦うのだ。その意味で、ここにいる若い我兵士諸君を、私は心から誇りに思う。共に正義と自由を守るために献身しようではないか!」
 会場はどよめいた。若い兵士達は立ち上がって拍手をした。婦人たちも立ち上がってこれに同調し拍手が鳴り止まなかった。・・・この場にまるで日本人代表のように一人主賓席に座っていた私が、如何に困惑したか想像してもらえるであろうか?
 小沢代表とシーファー大使との会談要旨を読んで日米関係は危機的状況に陥りつつある、と感じる。
 政府要人間の「本音と建前」を含んだ会談なんぞ、新聞記事をにぎわす程度だ、と軽く考えて記者たちにサービスしただけのパフォーマンス?だとしても、今回の発言は決定的な間違いである。
 安全保障の原点には、現場で血と汗を流す軍隊の「部隊」が存在していると言うことを忘れてもらっては困る。部隊を構成する兵士個人個人も、れっきとした人格を持っている。日米間の政治情勢の“異常さ”についても勿論身体を通じて彼らは感じ取っている。小沢氏自身の御子息も、かっては海上自衛隊員だったはずである。一度御子息に“軍人としての気持ち”について感想を聞いてみればよいだろう。彼の入隊は、オヤジのための単なる人気取りパフォーマンスだったのならば言うことは何もないが・・・
 そんな過去を忘れて、少しばかり選挙で優位に立ったからとて、取り返しのつかない間違いを犯してもらっては国民が迷惑する。「自民憎し!」「政権交代のチャンス!」などという動機だろうが、所詮それは国内問題に過ぎない。自分達の政党の利と受けをねらったパフォーマンスで、国際間の信用を失ってもらっては困る。
 こんな無責任でていたらくな日本政界を、心から蔑んで見ているのはどこの国か少しは考えていただきたい! 日米同盟国間の諍いを彼らは大笑いしながら見ていることだろう。そして米国民自身も、日本人って何だ?あの国は血を流してまで守るに値する国なのか?と改めて考え直すことになろう。
 国連がそんな実力を持っていないことくらいは先刻御承知だろうに・・・。
 今回の彼の無責任な発言は、民主党にとっても取り返しのつかない“失言”になるような予感がする.

人気blogランキングへ