軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

アジアの動きに注目を!

 ブログの調子が悪く、読者の皆様に大変御迷惑をおかけしていて申し訳なく思っているが、とりあえず「Ctrl」+「A」キーを押して御判読いただきたい。カウンターも消滅したが、これを押すと新規の数字が浮かび出てくる。新規申し込みをしたにもかかわらず、作動しないブログランキングのタグが目障りだったので消そうとして「パイロットミス」したのが原因、会社に問い合わせているが「初心者的問い合わせ?」にはなかなか応じて頂けない様子。
 その上、たまたま雑誌に30枚の原稿を至急書かねばならなくなったので、修正作業は一時中止、御不便をおかけするがどうぞお許しを!

 昨日はチャンネル桜で、恒例の「防衛漫談」をしてきたが、インド洋の給油活動について、以前海自の広報担当者が解説していたという。しかし、スカパーTVのch241での「桜」の放映ぐらいでは、なかなか広報効果がないのも事実。しかし、あきらめることなく自衛隊は積極的にどんどん広報して欲しいと思う。

 ところで今月のアジアの動き第一弾、南北朝鮮首脳会談が始まった。ノムヒョン大統領は、軍事境界線を「徒歩」で越えるパフォーマンスで北に向かったらしいが、さて金正日主席はどう応じるか?
 2000年6月の「金金会談」では、時の金大中大統領は、飛行機でピョンヤン入りし、固く抱きあって5億ドルを献上し、ノーベル賞を勝ち取った。
 今回は、10億ドル要求されている、という情報もあるが、ソウル市内ではこの会談に反対する韓国民のデモもあったというから、この2〜3日が注目の的である。6者協議も休会に入ったし、金正日主席の「体調不良説」も流れている・・・

 15日からは中国の第17回全人代が始まる。胡錦濤主席が江沢民前主席の影響を排除したとの観測が専らだが、これがその後の日中関係はもとより、アジア情勢にどう影響するか?福田新首相は一月に訪中するという。

 ミャンマーの僧侶などによる大々的なデモは、10数名の僧侶や市民達が死亡したほか、日本人カメラマンが射殺されるという痛ましい結果を招いた。これに対して高村外務大臣が国連の場でミャンマー政府に抗議したのは当然だが、カメラマンの「カメラ」が返還されていないという。
 多分カメラには「犯人の顔」が大きく写っているに違いない。長井健司さんが、カメラを兵士の顔に向けたので、その兵士が彼を射殺したのではないか?と私はTVで流れる射殺瞬間の画像を見て思った。至近距離からの射撃だから、反動で長井氏の身体が吹き飛んでいる。そばで銃を構えている兵士が「犯人」であることは疑いない。藪中外務審議官が交渉するだろうが、問題はミャンマーという国の実情をしっかり把握してかかって欲しいと思う。
 ビルマといえば「ビルマの竪琴」、大東亜戦争中は「ビルマ」として日本人に親しみが深い国だが、今や中国の支援を受けた強固な軍政下の国である。
 今回のデモ鎮圧風景は、かっての天安門事件ポルポト政権下のカンボジアを彷彿とさせるが、そのやり方も酷似している。
 昨日の産経新聞は「ミャンマー軍政、デモ制圧を宣言」として、その強固な基盤は揺るがず「最小限の実力行使で秩序回復」と書いた。その記事の中に「1988年の民主化運動でも投入された第77軽歩兵師団」が今回も投入されたが、この師団は「歴史的にビルマ族に厳しく統治され、複雑な民族感情を持つチン族を主体に構成された師団」で、「ビルマ人に対して銃を向けることをためらわない」と書かれている。平和でお人よしな日本人には想像もできないだろうが、明治維新時代の戊辰戦争・朝廷軍の薩長藩と会津桑名藩の戦いを思い浮かべてみて欲しい。青森勤務時代、津軽藩南部藩の後遺症を体験したものだが、それに輪をかけた人間の「恨み」の感情を利用した軍政である。
 ミャンマー情勢の専門家は「88年の学生運動を発端としたデモで、鎮圧に特殊部隊の必要性を痛感した軍政は、緊急事態に対処できる同師団のような部隊の育成に力を注いできた」と指摘しているが、これは古来からの中国の戦法に学んだもの様に思われる。
 この事態を注目しているのは、中国と国境を接するインドなどアジア各国であり、特に危機が迫っている台湾は注目していることだろう。
 我が国のテロ特措法問題ではインド洋だけが話題になっているが、このミャンマーは無視できない国なのである。地図を見れば明らかなように、中国がベンガル湾に進出できる貴重な進路であり、中国はヤンゴンの西、モーティン岬の先に浮かぶ「ハイジー島」と、アンダマン諸島の先端にある「大ココ島」に既に海軍の前進拠点を構築しているといわれている。御承知のように「アンダマン諸島」は、インド領だが、最先端の「大ココ島」だけはミャンマー領で、昭和20年8月15日現在、ここは大日本帝国陸軍の一個大隊が占領していた島でもある。つまり、アンダマン海ベンガル湾を押さえ、マラッカ海峡出口を押さえる要衝だったのである。
 中国は将来の石油輸送路(シーレーン)が、脆弱なマラッカ海峡を通過しなくても済む様に、ミャンマー経路で陸路送油する計画をもっているといわれているが、その実現を目指す最先端がミャンマーだといえる。国連特使が「ガンバって」も、中国は手放さないだろう。
 日本の報道だけを見ていると、同胞が殺害されたことで感情的になっているフシがあるが、勿論それはそれだが、21世紀の資源戦争を見据えると、この国の重要性が浮かび上がってくる。
 インド洋上での海自艦艇の活躍は、ミャンマー事件と決して無関係ではないことを知った上で、政治家、特に野党の皆様方は国会審議に望んでもらいたいと思うのだが、民主党は10数本の法案を提出して、テロ特措法成立を妨害しようとしているという。
 昨夜のチャンネル桜で井上キャスターは、これを「1000本ノック」と表現したが、正に言いえて妙、試合前にノック練習をしすぎて、気がついたら試合は終了、その結果チームは不戦敗、というのでは“ファン”に申し開き出来まい。
 政治家の皆さんには、一日一度は「地球儀」をじっと見つめて欲しいものである。