軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

亀田報道に見る“打算”

「打算」とは損得を見積もること、勘定高いようすをいう。
 ワイドショーで大賑わいの亀田報道だが、ルール違反問題が高じて、今度は「謝罪したのか、していないのか?」と喧しい。タイトルマッチのルール違反報道もさることながら、世間から「ブーイング」をくらい、亀田一家は仕方なく謝罪会見したのだが、その会見もまた「テレビネタ」にされる始末。きっと亀田一家とその関係者は頭にきていることだろう。
 今朝の産経の「断」の欄に、スポーツ評論家の二宮清純氏が、「本当に反省しているのか」として、「セコンドライセンス無期限停止処分に追い込まれた亀田大毅の父・史郎氏。JBCに対しては『自分と大毅はこの反則行為に関して深く反省しております』と一応、恭順の意を示したが、衣の下から鎧が垣間見えた」「まずは暴言を吐いた相手の内藤大助選手に謝罪すべきだろう」「おそらく腸が煮えくり返っていたにもかかわらず・・・やさしく諭した内藤の“大人の対応”には感心した」「自らは好き勝手に相手を誹謗するが、同じ事をやられると、途端に逆上し、当り散らす。まるで子供である。亀田親子に品格を求めるほど私は愚かではない。しかし最低限のマナーとルールは守ってもらえないか」と書いている。
 一部のファンはともかく、これだけ一般的な不評に曝されると、さすがのワイドショーのコメンテーターも亀田一家を詰問する態度に出た。
 私に理解できないのは、大相撲(国技?)もボクシングも、いわばスポーツ界の問題なのに、当事者(仲間内)に入る「ボクシング界関係者」をゲストに招いていることである。彼らが「本音」を語るとでも思っているのだろうか?
 大相撲でも朝青龍問題をはじめ、時津風部屋事件にしても、相撲界関係者をゲストにしたものが多かったが、なんだかんだでその業界に「片足」を突っ込んでいる関係者が本音を語るとは思えない。スポーツ界まで「打算と欲」が支配しているといわれるゆえんだが、そんな中、元力士・竜虎の意見は建設的で勇気ある発言だったし、今回の亀田問題でゲスト出演した元ボクサーの輪島の意見に、女性作家から抗議とも受け取れる発言が出たのは面白かった。
 私は、スポーツ界の問題だから、一般大学ではなく全国あまたの「体育大学教授」がゲスト出演することを期待したが、私の見たところ一人も見なかった。「体育大学では、スポーツマン精神を次のように教育しております」と自信を持って発言する体育大教授を期待したのだが、タレントや評論家しか参加させないようでは、最初から馴れ合いか反発の意見しかでるまいに。これではやはり視聴率稼ぎのワイドショーに過ぎない!といわれても仕方あるまい。

 ところで、亀田問題の本質は、マスコミ界が作り上げた神話だということに触れた意見が少ない様に思われる。彼ら一家を「裸の王様」にして視聴率を稼ぎ、年端も行かぬ少年を世界的ボクサー扱いしたメディアの責任と、それに対する真摯な反省の弁、および謝罪はほとんど聞かれなかった。
 自分に都合がいいように亀田一家を操り、今回のように世間が非難すると、あわてて謝罪要求して、それが又不十分だと再びののしる。どちらに転んでもメディアは「売れる」し「視聴率も上がる」。全ては打算、これがメディアの実態であることを今回の亀田“事件”が浮き彫りにしてくれたような気がする。これこそこの問題の本質ではないのか?

 話は飛ぶが、先日書いた、大戦中に毎日新聞によって書かれたいわれなき「百人斬り」報道で、向井少尉ら三人が処刑されたが、にもかかわらず、これを書いた本人は勿論、毎日新聞社も、この記事を大々的に利用した朝日新聞の本多記者も、謝罪どころか、反省の意さえ示さなかった。それがどうだ、これらの関連メディアは亀田一家に対しても、正義?を大上段に振りかざして謝罪云々とわめき散らしている。教科書問題も、南京大虐殺問題も、百人斬りや、沖縄自決問題など、メディア自身が構築した「打算と欲」に関しては、全く反省の態度も示すことなく、ボクシングでルール違反した亀田一家に対して居丈高に謝罪を迫る姿勢はいかがなものか!
 スポーツ評論家の二宮氏は「亀田親子に品格を求めるほど私は愚かでない」と書いたが、報道各社もそれは最初から彼らは「単なる暴力好きな悪一家」だと分かっていたのではないか?そうだとしたら「打算的報道」に徹していたのだし、もしもわかっていなかったのだとしたら、その程度の能力で、天下に正義面した報道をすべきではなかろう。
 今太閤ともてはやされた田中角栄元総理も、一旦権力の座から落ちると、極悪非道な金権亡者だと一蹴された。そのメディアの裏切りに怒り心頭に発した元総理は、脳梗塞で廃人となり、やがてこの世から消えた。数々のうそと打算に生き延びてきたメディアは、今又亀田一家をスケープゴートにして生き延びようとし、沖縄の純情な住民を利用して発行部数減をカバーしようとしているように見える。
 沖縄の教科書書き換え抗議大会の参集者数は、主催者発表の「11万人」ではなく「1万3000から最大でも1万8000人」だったという。TVや朝日新聞などが報じた写真を拡大し、丹念に分析して、一人ひとり数えた人がいるそうである。
 私のメールには「13037人でした」と届いているが、暇人だ、といえばそれまでだが、今の日本の「科学的発展観」は、決して無視できるものではないことを悟るべきだろう。
 旧態依然とした報道のあり方では、まもなく自滅すると忠告しておくが、それにしても、亀田問題ほど、今の我が国のメディア界の無責任さ、偽善振りを浮き彫りにした例はない。
 亀田一家も、もう少し「大人」になって、この業界の裏を学び、騙されないようにすべきである。最もそれには、腕力だけでは太刀打ちできないところがあるから、頭脳の方も研く必要があるが・・・

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