昨日は、靖国会館での「国防講座」に出かけたが、家族連れや若者グループが三々五々、境内を散策していて、参拝している姿が見られたのはうれしかった。特に幼児が親に手を引かれて参拝する姿は微笑ましい。英霊も微笑んでいることだろう。
この日は「雫石事件」を解説したのだが、予想を超えた多くの方々が集まってくれて感激した。
しかも終了後の質疑の第一発で、杉並から来られた80歳のご老人が「質問ではなく感謝申し上げたい」と言われたのには面食らった。
「40年前、この事故を知った時にどうして自衛隊教官が裁かれるのかわからなかったのだが、この本を読んですべて理解できた」と言われたのだが、こんなご感想は著者冥利に尽きる。ありがたかった。
きっと冤罪で苦しんだ隈君も、この言葉を聞いて黄泉の世界で喜んでいることだろう。それだけでも出版した甲斐があった。
連休の初日、わざわざ遠方から来られた方々に厚くお礼申し上げたい。
さて、中国情勢だが、「領土と主権」については、21日の産経新聞に取材されて意見を述べたが、この日、広西チワン族自治区南寧で開かれた「中国ASEAN博覧会」の会場で、習近平国家副主席は「周辺国との領土や領海、海洋権益をめぐる争いを平和的に解決する」と述べたと国営中央テレビが伝えている。
≪中国ASEAN博覧会」の開幕式に出席する習近平国家副主席(中央)=21日、中国広西チワン族自治区南寧(共同)≫
産経は≪日本政府による沖縄県・尖閣諸島の国有化後、中国指導部から対話を通じた解決を呼び掛ける発言が出たのは初めて。尖閣諸島をめぐる日本との対立やアジア諸国との南シナ海問題を念頭にしており、習氏は「中国は永遠に覇権を唱えない」とも述べた。
習氏はASEAN諸国に対し、次期最高指導者としての存在感をアピール。博覧会には中国との経済関係の強化を図るため、ベトナムのグエン・タン・ズン首相らASEAN各国の指導者が出席した」と報じたが、日本人の悪い癖は、これで尖閣問題も「平和的に解決するだろう」と信じることである。
1947年、平和そのもののチベットに、戦士族として名高いカム族の村に、彼らを取り込もうと国民党軍兵士がやってくる。
この時の国民党兵士の様子を村人は「落伍兵たちは粗野でみすぼらしく規律はなし、簡単に買収された。国民党の堕落ぶりは有名だった。チベットに派遣された連中はそれこそ社会のゴミみたいな奴らだった。アヘンを吸っていると人は言っていたが、我々にとってはそれは最低の行為だった。我慢していたが奴らを決して恐れてはいなかった」「国共内戦では中共軍が優勢だと聞いていたが、何世紀もの間、中国人はチベットに取って迷惑な存在だった」という語り書きで始まる≪中国はいかにチベットを侵略したか(マイケル・ダナム著:山際素男訳≫は、今も昔も変わりない、この国の戦法を克明に記録している。やがて中共軍の侵略にさらされることになる。
1949年10月、大陸を平定した毛沢東は、チベットを“帝国主義者”から解放するため人民軍をチベットに侵攻させる意図があると発表する。チベットは「ここには”帝国主義者”はいないのだから“解放”に来るには及ばぬと反論した。いたのは登山家や、宣教師などガイジン8人に過ぎなかったのである。だから毛沢東の「帝国主義者」という口実はでまかせだった。
「中国人の、漢民族を中心とした中華思想、中国共産党もそれから逃れられないでいる好戦的愛国主義という一種の固定観念を忘れてはいけない。彼らの“祖国”というイメージには大昔の広大な世界、という夢があり、それらを統合し守り抜くのは漢民族たる者の神聖な義務なのである。政治上の祖国という観念、信条は彼らのすべての外交政策をに反映されている」
こうして1950年3月、中共軍の侵攻が始まるのだが、わが国はもとより、米国や連合国も朝鮮戦争のどさくさに紛れて、中共軍のチベット侵攻に手出しをしなかった。
≪中共軍による侵略=同書から≫
こうしてチベットは併合されたのだが、そのやり方は今でも通用する。相手の軍隊をあらゆる手段をとって弱体化し、相手国内に親中国政権を作り、油断させた後占領する…
昨日紹介した「暴かれた中国の極秘戦略:袁紅冰著」の中の台湾問題解決のための政治戦略としての「対日外交戦略計画」によれば、中国外務省は日本に対して利益誘導が実施できる領域を以下のように提示しているという。
1、東シナ海の海底油田問題で、重大な譲歩を行う。
2、北方領土4島の問題において、日本の主権要求を支持する。
3、日韓の竹島問題において、日本の立場を支持する。
4、エネルギーとレアメタルなどの戦略資源の日中貿易問題において、日本に有利に手配する。
5、尖閣列島問題において、限定的な譲歩を行う。
6、日本が国連の常任理事国になる方向を支持し推進する。
そしてこの裏には、1989年の天安門広場事件という共産党の暴挙は反人類的なものであったため、自由世界が憤怒を込めた経済制裁をする中で、日本だけが“まだ血のりが乾ききらない時期”にもかかわらず、中共政権に対する貿易を続け、共産党が危機を乗り越えるための得難い政治的援助と経済支援を提供したからだという。
トウ小平は痛くこのことに感激した。こうして日本との密接な経済・文化・国際政治関係を維持して積極的に発展させるという外交戦略を推進した。
同時に党は、中国民衆にある反日感情を時として意図的に利用したり、強力に抑えたりして、日本と外交交渉を行う上での切り札の一つにした。日本のそろばん勘定が裏目に出たのである。
「なぜ中国の民間で何度も反日運動が起こり、風雲急を告げる勢いになるや、あっという間に静かな海のように収まってしまうか、これで説明できる」と袁氏は分析している。
今回の習近平発言もその線に沿っているとみて間違いなかろう。鞭の後は飴、心優しい日本人はすぐに相手の行動を「好意的にとらえる」癖があるからである。彼らはそれをお見通しなのだ。
わが国は今回の発言を「対日平和外交」という甘言に惑わされてならない。
とりわけこの発言は、尖閣での強硬な姿勢を示しつつ、南シナ海で対立している諸国に対して、従わねば尖閣と同じ目にあうぞ、というシグナルととらえるべきで、「平和的」という言葉を日本向けだと受け取るべきではない。
尖閣問題については、在外中国人たちは、日本領であることを知らない者が多いから、国連演説の場で野田首相はとうとうとその正当性を諸外国に語りかけるべきだろう。
もちろん国内の人民も知らないで騒いでいるのだから、民主党政府がよく使う「キッチリ」した態度を示して大陸に向けて発信すべきであり、世界は注目している。
南京大虐殺もその典型たる≪宣伝戦≫であり、わが国はいつも受け身で、正論を世界に広める実効ある広報活動を怠ってきたため、国際的に定着しつつある。
キーセン国に言われる筋ではない「従軍」慰安婦問題などもその典型である。
村山談話や、河野談話など、国賊的発言に自らとらわれていては、世界から疑われるだけ、この際、徹底的に領土と主権問題を主張して譲歩してはなるまい。
国連総会の演説は世界に日本が正しいことを広報する絶好の場でもある。有効に活用してほしい。
同時に、大陸で「恩を仇で返された日本企業」は、冷却期間を置くとして、「賠償問題が中国政府によって解決されない間は、再進出を控える」として中国からの一時的撤退を表明すべきだろう。「がれき」はそのままにして。
このまま「平和的」という言葉に騙されて、うやむやに終わってしまえば、今後ますます舐められて、搾取され続けることになり後の世代まで禍根を残すことになる。
この際、外務省も年間40億円?という巨額のODAを凍結すべきであり、官民一体となって≪臥薪嘗胆=一度味わった屈辱を晴らしてやろうとして、苦心・苦労を重ねチャンスの到来を待つこと≫するべきだと思う。
チベットの悲劇に学び、第2のチベットになってはならない。
ところで、友人から「クリントン米国務長官が≪中国は20年後に最も貧しい国になる≫と発言したとのYoutubeが紹介されています」という次の情報が届いたのでご紹介する。
http://www.youtube.com/watch?v=LdxQK9bCsFo&feature=player_embedded
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