軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

入院日記 地獄篇 (その9)

 ディスカバリー打ち上げ成功で、星出氏が宇宙に飛び立ったとラジオが報じている。
 1961年4月12日にソ連ガガーリン少佐がヴォストーク1号で地球を周回してまだ半世紀も経たないのに、なんとも気安く人類が宇宙に飛び出すようになったものだ。このとき少佐は「地球は青かった」と感想を語りこれが一躍有名な言葉になったが、今の地球はあの時に比べて「まだ青いまま」なのだろうか?
 私もファントム飛行隊長時代に、鹿島灘上空高度6万フィート(約18Km)を飛んだが、見上げる宇宙は黒味がかった群青だったが、地表は茶褐色、海上は青かったものの、斑雲が羊に群れのように漂っていた・・・。あれから28年、今の地球は青みが減って、茶褐色、北極の氷は相当縮んでいるのではなかろうか?
 ラジオで、搾りたての乳でクリームやヨーグルトを作っているという八王子に住む牧場主が紹介されていたが、牛舎の匂いを消すためにコーヒー滓を使ったところ効果があり、周辺から苦情が来なくなったという。都会で牧場を経営するのは大変のようだ。しかし、彼が牛乳搾りは母牛にストレスがたまらないようにすることがコツだと言い「牛は牛らしく、人は人らしく」と言ったのが気に入った。牛も生き物だから当然感情があるはずだ。
 九州にいたとき、肉類が非常に安い店を紹介されたので、週末によく買いに行ったのだが、その裏が屠殺場になっていて、時々牛や豚の悲鳴が響いていた。豚の悲鳴は甲高いが牛も相当なものであった。その上四足を突っ張って必至に抵抗してなかなか前に進まない。人間が死刑台に登るのとはわけが違う。その時の牛のストレスは尋常ではなかろう。
 牛の全筋肉は硬直し、血液は逆流?し、ストレスが最高度に高まった肉には、何か通常とは違った分泌物が発生して、それを食すると人間にもいい影響を与えないのではないか?と思ったのだが、あるとき医学に詳しい方が「有り得る」と教えてくれたことがある。肉食を建前とする民族と草食民族との「性格上の違い」はそこからきているような気がしたものである。そう仮定すると世界中から諍いが絶えないのは肉食が普遍化したからではないか?そういえば肉食民族はしょっちゅう戦争をしている!牛肉を常食にしている民族が、鯨を食う日本人にイチャモンをつけるのがその好例ではないか?と思ったりする。彼らの血管には、殺される時に生じた牛のストレス分泌物が流れていて脳血栓のように脳内に溜まっているのではないか?
 ラジオでトウモロコシの値が上がっているのは「バイオ燃料」のせいだと侃々諤々だが、どう考えてみても人間の食料を「車に食わせる」のは納得がいかない。食糧危機になって人類が死に、車が残っても誰が乗るのだろう?
 農家も手軽に増産するため農薬を使うのが当たり前になってしまったが、その結果“中国産野菜”のような状況が生じてきた。食糧を増産するのは農家が楽して儲けるためだが、そのために農家は“高価な”農薬を買わねばならない。その上、収穫を増そうと農薬を使えば使うだけ土壌がだめになるから、ますます農薬の使用量が増えるという悪循環に陥る。だから農民の借金は膨らんでいき、挙句の果てに痩せた土地を抱えて何のための農業か分からなくなってくるから、そんな借金漬けの農家を子供が継承しようとは思うまい。こうして農業は廃れていく。
 結局企業が丸儲け、財閥が育ち貧富の差が拡大する。国の農政のどこかが狂ってはいないか?
 旨い肉を食うためにトウモロコシを作り、それを家畜に食わせるから、人類の食糧はますます不足する。一部の肉食族が、まるでバイオ燃料の車のように、旨い肉にこだわればこだわるほど人類用の食料が減る。60万人の世界人口を維持するのに、どれほどの農産物が必要か知らないが、巨大人口を抱える国が将来肉食に転換でもしたらその悲劇は急激に進むだろう。しかも「ストレスが溜まった肉」を食い、切れやすくなるものだから戦争が起き易くなる。どうも人類の食糧消費には無駄が多すぎるような気がする。どこかサイクルが狂っては居ないか?
 適度に、必要な物を必要なだけ育てて、必要な分だけ消費する、そんな原始時代に近い体制に戻るのは無理かもしれないが、誰かが何らかの調整をしなければ、青い地球は茶褐色に成り果てるのではなかろうか?
 入院前にケーブルテレビで「ブラッドダイヤモンド」という映画を見たが、これも肉食族同様、見栄を張る一部の男女が「ダイヤ」に狂った結果だと身につまされる。
 ダイヤモンドという“石ころ”で一部の金持ち男女が個人的な見栄を張るために、アフリカでは殺し合いが絶えない。牛の肉を食う民族のために莫大な量の農産物を飼料にするから、弱小民族の餓死が絶えない。衣・食・住は人類生存の基本である。一部の人間の嗜好を満たすために、それらが違った方向に使われていはしないか?

 何日もベッドに横たわって、ラジオだけから情報を得ていると、色々な“妄想”が湧いてくる。今日はついつい、地球温暖化、乳牛、食肉、そして農政について、何と無く漠然とした考えが湧いてきたからメモ帳に書きとめた次第。

 隣の91歳の御老人が退室していった。一般病棟に移ったらしい。私が許されたのは水を飲むだけ、トイレに行くだけで、依然緊急治療室住まいである。左隣の老女のうめき声は、ややトーンダウンしつつあるが、“会話?”が増えているのが又逆に気になって仕方ない。明日からようやく「流動食」がいただけることになった!どんな献立か興味がある。(続く)
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