今朝の産経抄子は、米国の金融危機について「S&Lと呼ばれる貯蓄銀行は当時『3・6・3の銀行』といわれたそうだ。3%の金利で貯金を集め、6%で貸し付け、3時には経営者はゴルフ場にいる――というものだった。いずれも20年前とはいえ、米国の銀行などの高姿勢を痛烈に皮肉ったジョークである」と書いたが、米国に限らず、日本の「バブル危機」でもそうであった。貯金している庶民の悲鳴をよそに、経営者達は「己の不明」を「国民の血税で贖い」のうのうと生き延びた。
尤も、日本の金持ちと米国のそれとでは桁違い、話にならないほどの“貧富の差”があるから、米国民の怒りは尤もであろう。
「安定化法案の成立で『恐慌』の心配はやや薄らいだといえる。しかしウォール街には『3時からゴルフ場』は知らないが、大統領の何倍もの報酬を得ている経営者もいるという。その経営責任も問われないかぎり納得できない人も多いはずだ」と産経抄子は締めくくったが同感である。
これは『貧乏人の僻み』ではない。社会的に果たすべき『責任』の問題である。好景気の時は『ゴルフ三昧』でいい思いをしておきながら、経営が破綻すると『国民の税金で補填する』という“甘ったれた”経営者達の根性を米国民は許さないのだろう。日本と違って多分彼らは、その責任を何らかの形で問われるだろうことを期待したい。
人様の銭で良い思いをした『成金ども』が昼間からゴルフを楽しみ、夜は料亭通いを楽しんでいるのに、社会の片隅で真面目一本やりに生活している“庶民”は、スーパーのレジで『一円玉』を数える、そんな不公平がこの世に許されていいはずはないからである。バブルの頃、大蔵官僚は『ノーパンしゃぶしゃぶ』に現を抜かし、香港に買春ツアーに出かけて顰蹙を買ったが、日本では誰も訴訟を起こさなかった。しかし米国は違う。そうでなければ米国人が普段口にする『アンフェアー』を許すことになるからである! 米国民は必ず何らかの訴訟を起こすに違いない!と期待している・・・
ところで日本の政界は、解散総選挙がいつになるかで出来もそぞろ、気の早い候補者達の中には、既に事務所を借りたり、選挙のアルバイトをそろえたり、ポスターまで準備したので『金がなくなる!』と悲鳴を上げているものもいるという。
他方麻生首相は予算成立が大事で、その後『解散は自分が決める』と平然としているが尤もである。解散を要求している野党には「戦の兵糧攻め」みたいなもの、“敵の”財政的破綻を促す麻生流の作戦なら見事である!しかし、野党と組んだメディアが麻生内閣のあら捜しをして『野党を支援』することだろう。閣僚の方々!油断めさるな!
たまたま今朝、日本政策研究センター発行の「明日への選択=10月号」が届いた。
巻頭の「民主『政権構想』の重大欠陥」という、伊藤代表による『今月の主張』が見逃せない。解散総選挙を控えた「こんな時こそ冷静に、一体どちらに投票することがこの日本のためになるのか、それを国民は真剣に考えるべきだと思われる」とし、民主党の政策に三つの疑問を投げかけている。
その1は「外交・安保の問題」で、臨時党大会で行った小沢代表の所信表明演説の中には一言「国際社会の平和で、日本が地球のために頑張る」としただけだったが、「万年野党ならまだしも、一体この程度の認識の政党に国際社会での日本の舵取りを任せられるのだろうか」と疑問を呈した。
その2は、経済政策で「あえて簡略化して言えば、民主党の政策には分配の視点はあるが、その前提となるべき経済そのものの拡大という政策がない、ということであろう。弱者重視、格差是正、社会の公平さ確保という視点はよいとしても、しかしそれは社民党や共産党の経済政策とどこが違うかということなのだ」と、『民主党』という看板の陰に隠れた勢力に危機感を示し、最後に『民主党のリベラル色の問題』として、「民主党の下部構造は日教組、自治労、部落解放同盟、左翼市民運動団体などなどの左翼系団体によって成り立っている。民主党はこれらの団体と果たして今後、どのような関係を築いていくのか、という問題だ。彼らの言う『官僚任せ脱却』はいいとしても、『組合任せ脱却』の方はどうも、というのでは話は通らない」と手厳しい。ここが大問題なのである。
北京の『抗日記念館』には、たびたび民主党代議士名の花輪が掲げられていたし、上海でも、“民主党”事務局員が、中国側の『客員研究員』として我々と対峙したことがあった。 女子職員は討議には参加しなかったものの(尤も国際関係について意見を持っているようには思えなかったが)、我々の発言は全て録音し記録にとどめるのに余念がなかった。 我々は彼女達を『工作員か?』と見ていたのだが、夕食会で更に驚いた。彼女の夫であると自己紹介した彼は「夫婦別姓」だったが、その彼は社会党から立候補して当選した私の高校同級生の議員秘書だったのである。勿論議員は今や『民主党議員』であるが、彼はもともと根っからの社会党議員で、同窓会では「土井たか子女史の秘蔵っ子?だった」と聞いた。それが今や堂々たる「民主党党員」なのである。多分、小沢代表や旧自民党系の首脳陣は「ひさしを貸して母屋を取られる」ことになるのだろう。
こんな事実を知るだけに、私も伊藤哲夫代表同様、民主党の人的構成から目が離せないのである。万一政権交代したら、伊藤氏が言うように民主党の政策の全ては「左翼勢力が支配する『組合任せ』に堕し、社保庁並みの混乱が蔓延することになると思われる。次回の総選挙が「天下分け目の秋」だと私が言うゆえんである。
さて、長くなったからこの辺で終わるとするが、今月号の「明日への選択」には「知っておいてためになる話(11ページ)」に高知沖潜水艦事件等、興味ある記事が多い。中でも「汚染米事件は『氷山の一角』だ」(『食糧自給率39%』をどうするのか=連載第9回)にはぞっとさせられる。
三笠フーズ事件で問題の一角は国民の目に触れたが、『カラスも寄り付かない輸入野菜』という詳細なレポートにはまだまだ国民が知らない恐るべき実態が出ている。中国から輸入された野菜類が『雨の日も炎天下の日もずっと野ざらしにされて腐らないのはごりごりの塩漬けにされているからで、塩抜きして漂白した後、地方の名産品とかそれらしく仕立てられて店に出てきている』というのである。
私は最近の日本人が『理由もなく』殺人事件を引き起こしたり、信じられないような不祥事を引き起こす根底には「食生活」があると考えているのだが、その一面が明らかになったような気がしてならない。日本人の「神経」は、徐々に麻痺させられているのではないか?詳しくは『明日への選択』10月号の22ページをお読みいただきたいと思うが、そこに掲載された参考図書を紹介しておこう。
山田正彦衆院議員が横浜埠頭の野積みの現場を視察した様子を書いた「輸入食品に日本は潰される」と、『日本人が食べない鮭で中国人が儲けている』の項では、小泉武夫東京農大教授の話と「命をはぐくむ農と食」が引用されていることをご紹介しておく。
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