軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

教育を『国家戦略の中心に』

 今朝の産経トップに表記の記事が出た。麻生首相は「自然資源に恵まれない日本では人材が一番の資源になる。そのためには質の高い教育、信頼できる教育が大変に重要だ」と述べたそうだが、その通りである。
 教育再生懇談会の第二次報告書は「改正教育基本法と学習指導要領の改訂を踏まえて作成され」「国語、理科、英語の教科書はページ数を倍増」、また「幅広い教養、豊かな情操と道徳心・・・などを教科書に反映させるよう」明記されているという。いいことである。 更に「道徳教育」の充実と、体育では「武道」の奨励、そして「自国語」と「自国の正しい歴史」をも教えるようにしてほしい。

 これに反して「公立学校では民主党の支持団体である日教組が今も影響力を持ち、強い抵抗が予想される」と産経は指摘した。他にも多くの壁があるのは自明だが、「教育を国家戦略の中心に据える」という「首相の意気込みは相当なものだ」とも書いた。
 民主党の反対も油断できないが、問題は、日教組のような抵抗勢力の「現場の動き」で、これを改善しないかぎりは「絵に描いた餅」に終わる心配がある。

 勿論「現場」にも、自覚ある真面目な教師が数多くいるのが事実だが、戦後の多くの左翼勢力による“革命ごっこ”とも言うべき事件を見れば分かるとおり、現場を支配するのは一種の“狂気”だから、そこにメスを入れないかぎりこの種「国家戦略」は成功しない。しかし、漸く政府も真剣に教育を見直そうとしているのはいいことである。
 ついでにメディアも日本人から構成されているはずだから、大いにこの問題を「支援」したらどうか?時間はかかるだろうが、今始めないとこの国は「21世紀」中は持たないような気がする・・・


 ところで今月8日に尖閣諸島を領海侵犯した中国の調査船の行動は、警備している「海保の死角から侵入」したらしいという。
 10年前、現役時代には哨戒を兼ねて良く尖閣諸島上空を飛行したものである。365日、巡視船が島の南東付近を遊弋していて、上空から「激励」したものだが、尖閣侵入事案が多発した時には、異常な航跡や、高速船の動き、警備海域の反対側の状況などについて通報して、共に離島防衛の任を分かち合ったものだ。

 今回中国船の侵入発見が遅れたことについて海保は「台湾や中国の漁船を警戒している巡視船2隻の配置具合で死角ができたためと分析。巡視船を常時3隻態勢にし、石垣航空基地の航空機と共に警戒監視を続けている」というが、常時3隻といえば、私の現役時代の「尖閣を巡る事案が多発した時」とほぼ同じ態勢である。ということは、今やこの海域は「常時厳戒態勢下にある」ということになる。

 海上保安庁の勢力は約12000人、各種船艇473隻、航空機約70機、これでは広大な海洋を抱えるわが国の海上警備に万全を期せ!というほうがおかしい。
 政府は、自衛隊の活用をなぜか控えるのだが、そうであれば一層海保の人員装備を大幅に増勢すべきであろう。

 今や不況不況で、人員整理のニュースと新卒者の内定取り消しのニュースが飛び交っているが、こんな時こそ国としては「国家防衛の要となるべき優秀な人員の確保」に勤めるべきではないか?
 勿論、個人的には定員削減でキリキリ舞いしている自衛隊の増員を優先すべきだと思うが、そう言えば「軍国主義復活!」だとか、「軍事優先主義!」だとか、メディアが喧しいので、一歩譲って海保と警察官の増員を図るべし、と言っておきたい。


 麻生首相の教育改革に期待しているが、即効性があるのは「自衛隊の新隊員教育」であり、僅か4ヶ月の集合教育で、日教組の先生方がなし得なかった「成果」が現れるのは保証済みである。その実態も最高指揮官である首相には是非実地に見て欲しいものである。
 自衛隊の増員は無理、だというのであれば、海上保安大学校の拡充、警察学校の拡充を図ることが、当面の人的資源確保に有効だと思うがいかがなものか?

 いい若い者が、派遣切りで生活が脅かされ、女子大生が「接客業」で生計を立てているのは、この国がいかに「不健康」な国であるかの証の様に思われてならない。これ以上「犯罪」が増えないためにも、将来を担う若者たちに明るい未来を与える施策を講じて欲しい、とつくづく思う。


昨日発売の「撃論ムック:反日マスコミの真実2009」
田母神前空幕長の「ロングインタビュー」がでているが実に興味深い内容である。
私も「メディアの反自衛隊報道はもはや危険水域だ」という一文を、事実に基づいて書いた。ご笑覧あれ!

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自らの身は顧みず

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正論 2009年 01月号 [雑誌]

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