麻生総理がついに決断?して、衆院が解散した。いつものことだが、議長が解散を宣言すると、どこからともなく「万歳三唱」が起こる。ご本人達は「やけくそ?」なのだろうが、何が「万歳」なのか私にはさっぱりわからない。
手元の辞書には、「万歳」とは「いつまでも生き、長く栄えること」「めでたいこと」とあるが、他方、「どうにもしようがないこと。お手上げ。最後」とあり、「もうお手上げだ」と例にある。
でも衆院解散での三唱は、「祝福の意をこめて大勢で唱える言葉」とは思えないから、やはり「やけくそ」気味の三唱だと解釈すべきなのだろう。
今朝の産経トップに、麻生総理と鳩山代表の顔写真が大きく出ているが、麻生氏独特の“眼力”に比べて、鳩山氏のそれはなんとも「虚ろ」に見える。「友愛」だけじゃやっていけないと迷っているのか?
その左の政治欄に、乾政治部長が「政権交代確実だからこそ」と題して国民に警鐘を鳴らしているが、先日、麻生総理が“認知”されるためには、8月15日に靖国参拝することだ、と書いたことが、「週刊朝日」から“珍説”だと褒められたという。
「週刊朝日」やお忙しい現職議員には掌握できていないらしいから、あえて補足しておくが、「靖国神社に参拝できない首相に古くからの自民党支持者も愛想を尽かしている」という乾部長の説は正しいのある。
乾部長が「民主がダメなら次また代えればいい」という「次」は、民主党が大勝すれば、任期満了の4年後まで選択の機会はないと覚悟すべき」であり、「こんな筈ではなかった」と選挙後に後悔しないためには、有権者がムードに流されず、政権交代のメリットとリスクを十分認識して一票を投じることが何より欠かせない」と書いたことを忘れてはなるまい。まさに「有権者にとって投票日までの40日間は、最大4年、国政を任せる政党を吟味する貴重な時間となる」のである。
15面の「断層」欄に、大月隆寛・札幌国際大学教授が「総選挙のポイントは?」として面白い分析をしている。
「衆院選の意外に見落とされているポイント二つ」として、「平成生まれが初めて選挙権を行使しえる選挙であること」「ブロードバンド環境が普及して以降の『民意』を、全国規模の『政治』のステージで計測する事実上初めての機会という事」を挙げ、「そのココロは『戦後』が本当に終わっていたことが『政治』の水準においても、あっけらかんと示されてしまうかもしれない、ということ」だとしている。
つまり「いまだ与党と野党、保守と革新・リベラル、権力は常に悪で政権交代こそが正義、そんな図式でしかない。そんなもの、民俗学者からすれば、ほぼ都市伝説みたいな代物」だというのが面白い。
そして「『気分』や『浮動票』といった言い方で残余として扱われていた領分が、実は『政治』のあり方をすでに変えていたのかもしれない」とし、「そんな気づき方、悟り方の契機になるならば、政権交代とそれに伴う政界の混乱や再編の動きもまた、明日の『良き選挙民』を鍛えてゆく良い試練になるはずです」と結んだ。
確かに、若く将来に生きる学生達と接している教授らしいものの見方だが、「良い試練」に終わればよいが、甚だ心もとない気もする。そして、大月教授の指摘は、古い政治形態も勿論だが、そのような『単純な図式』でしか物を見ることが出来ず、無責任に『古式豊かに』報道してきたメスメディアにも当てはまる、と私は思っているのである。
例えは悪いが、保守派の代表格であった文芸春秋社の『諸君』がつぶれたその原因の一つが、大月教授が指摘したような感覚がなかったからだと思っている。つまり、過去長年にわたって世の中に警鐘を鳴らし続けてきた右派代表格の『諸君』でさえも、その成果?が徐々に現れて、よって立っていた土台部分の「座布団」が、左から右に移行していたことに気がつかなかった。はっと気がついたときには、すでに「座布団」は右(中立!)によっていたから、諸君は「左翼」の勢力圏内に取り残されていた、というより、正気を取り戻した読者には物足りない「平凡な」月刊誌になっていたという事だろう。
「首相の靖国参拝」を、私が一つの視点にしているのもそこにあるのだが、国民の多くは「戦後の呪縛」から解放してくれる宰相を待ち望んでいるにもかかわらず、ご本人が気がつかないか、あるいは取り巻きが「石橋を叩いて」渡らせないのである。その代表的なものが「期待を一身に集めていた」安倍総理のスポイルであった。
あの時点で彼は勇気がない!と見られて国民の信を一気に失ったのだが、本人の真意はともかく、パフォーマンスであれなんであれ、任期間に靖国参拝を続けた小泉氏が、あれほどの人気を博したのは『外国勢力』に屈しない勇気ある宰相だと受け止められた?からである。
その意味で乾部長の指摘は、週刊朝日が言う“珍説”ではなく、孤立無援の麻生総理に対する”親切”だと私は解釈している。
さて、日本丸は「天気も晴朗ならず、波は異常に高い」洋上を彷徨っているが、船客たちは、どんな進路を選ぶのだろうか?
衆院解散で「万歳」を叫んだ議員たちが、この国が「いつまでも生き、長く栄えること」を祈って三唱したのであり、「どうにもしようがない。もうお手上げだ」との意味で三唱したのではないことを期待したい。
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