軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

第2のイラク戦争か?

 今日は新聞休刊日、この連休間、原稿を書きつつテレビ情報とインターネット情報を垣間見ていたのだが、その中に奇妙なものがあった。

 その切っ掛けは『金の価格が異常に上昇している』というニュースで、ジュエリーショップの店長は「金の乱高下が大きい」と困惑し、中には「6月と11月にはインドで結婚式が増える。その時両親が金を買って与える風習があるからこの時期は上昇するのだ」と楽観視していた店長もいたがにわかに信じ難い。風が吹けば桶屋が儲かる・・・じゃあるまいに。もちろん人口9億を越えるインドでこの月に結婚式が集中すれば多少は影響があるだろうが、それにしても異常である。金融専門家は「金買いが集中している」のだといい、その理由は『ドルの凋落』にあるという。確かに1ドル80円台と円高が続いているからその情報は確かであろう。


 ところが『えっ?』と驚く情報に突き当たった。インターネット上の[中ロ仏日と中東諸国が極秘談判 米ドルを石油取引から排除か(12日)]という記事である。

 それによると、中国、ロシア、フランス、日本などの国が、国際的な石油取引において、中東の石油生産国と極秘に話し合い「米ドルに代替する貨幣を計画」しているというのである。
 英紙「インディペンデント」が報じたというのだが、検討中の貨幣は『人民元、日本円、ユーロ、金(ゴールド)』のほか、2010年に決定される湾岸協力会議諸国の統一貨幣も含まれているというから穏やかではない。

「湾岸諸国や香港の中国銀行業務に携わる情報筋がこの計画の存在を証言した。計画に参加する各国はすでに移行期の期限を2018年と決めた模様。移行期間内に各国は石油貿易の決済手段を金(ゴールド)とする可能性が高い。イランはすでに数年前から、石油取引貨幣を米ドルからユーロに転換している。
 近日、金価格が急上昇しているのはこの一件と関連するもので、米ドルの為替相場にも一定の影響を与えている。ドル対ユーロ、ドル対日本円の相場は今週初めから下落の傾向をみせている。(大紀元報日本)」

 現在、中東とロシアから国内石油総需要量の6割を輸入している中国が計画実現に非常に意欲的であるとも伝えられているが、これに対して米国政府は「ドルの国際通貨としての地位を脅かすこの動向に注視し始めたようだ」という。

「インディペンデント紙は、ワシントンは、計画の詳細をまだ把握していないが、この国際的な陰謀に抵抗することは必至と報じ、かつての中東特別全権公使サン・ビガン氏の『中東の石油をめぐって、日中関係の溝は深まるだろう』という警告を載せている(同上)」らしいが、むしろ深まるのは日米間の溝ではないか?


 そこで思い出すのが「岡田外相の突然の中東訪問」である。「インディペンデント」誌の記事が事実だとすれば、岡田外相が単なる“思い付きのような形”で『アフガン・パキスタンなど』を歴訪して、11月12〜13日のオバマ大統領来日時に、アフガン問題、インド洋の補給活動問題についての資料収集だった?とは思えなくなってくる。

 岡田外相は温家宝首相と親しげに会談した直後でもある。鳩山首相日中韓会談で会っている。東アジア共同体推進の第一歩として、日本の外相が中国の“お先棒担ぎ?”をしているのではないことを祈りたい。外相はTVカメラの前で子供達にサッカーボールをプレゼントしていたが、裏では『民主党事務局員たち?』が何をしていたのか・・・
TV報道は陽動作戦だったという事もありえる。


 更に思い出さざるを得ないのが、ブッシュ時代の『イラク攻撃』である。大量破壊兵器隠匿を口実に、ブッシュはイラクに攻め込み、サダムを捕らえて“処分”したが、実はサダムは、ロシア・ドイツ・フランスなどと取引して、石油取引に『ドル』ではなく『ユーロ建て』にするという“秘密交渉”をしていたから米国の怒りに触れたのだ、という説が開戦初期に経済関係者から伝わっていたことを想起すべきだろう。

 イラク大量破壊兵器が存在する兆候はなかったとは言わないが、米国にとってはそんなことはどうでも良かった。1964年8月2日と4日に、トンキン湾に侵入した米駆逐艦『マドックス』が、ベトナム海軍の“高速の船”から攻撃を受けたとして、ジョンソン大統領が報復攻撃に入ったのが『ベトナム戦争』の発端だった。これが事実ではなかったことは『マクナマラ回顧録』に詳述されている。
 日米開戦の火蓋を切った帝国海軍による真珠湾攻撃も、実はルーズベルト大統領による“この手の策謀”だったことは今や定説になっているが、イラク戦争も全く同じ手法だったといえるだろう。
 あの『イラク攻撃』も、国際通貨のドルをユーロに奪われてなるものか!というのが本音だったとしたら、その後国連での欧州3カ国の奇妙な態度がそれを裏付けている様に思う。
 その後サダムが『生け捕りにされた』とのニュースが伝わるや、ロシアなどは急にブッシュににじり寄った・・・。やはり『ドル→ユーロ』の陰謀はあったのだと見るほかはない。当時のニュースを整理すると、そんな裏社会が見えてくる。

 今回の『金価格の暴騰』と『ドルの低迷』の相関性を分析すれば、案外英紙の「インディペンデント」情報は的を射ているのかもしれない。

 イラク戦争開戦当時、私は上記情報を友人から得たのだが、その友人は「英国の大学教授の情報だが本当でしょうかね?」と“付箋付き”で教えてくれたことを思い出す。

 さすがは情報大国・英国らしいが、さて、情報小国・日本はこれからどうする?日本が巻き込まれる「第2のイラク戦争」にならねば良いが。オバマ大統領の来日が気にかかる。

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