軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

軍事抜きで戦略を論じる愚

 「軍事を語らずして・・・」などと大見得を切っている私だが、「軍事を知らなくとも総理になれる」国柄、あまり力む必要もないと痛感する。

 普天間基地移設問題は、13年前の私が沖縄在勤中の状態に戻ってしまったが、辺野古沖に移設するとの合意を信じて計画を進めてきた米国には許し難い背信行為と映ることだろう。
 こうなれば二国間合意に戻す以外に選択肢はなくなるが、鳩山総理に秘策はあるのか?国会では「自身ありげ」だから大いに期待しよう!


 退院から10日経ったが、毎朝起きがけに連続素振り120本をしていたころが懐かしい。折角復活した筋肉が落ちてしまったが、まだ息切れするので軽い柔軟体操以外は控えている。
 入院中、同室の患者に、アキレス腱断裂でリハビリをしている60代の方がいたが、医者から「若いころとは違って筋肉は確実に衰えるから、若いころと同様に準備運動抜きでいきなりやればこうなるという見本です」といわれていたことが思い出される。
 できるだけ焦らずに「お笑い中心」で過ごしているのだが、28日の産経6面「40×40」欄の宮嶋茂樹氏の文には大笑いした。彼の率直な書きぶりにはいつも感心しているのだが、それも自分の“足”で確かめた情報を基にしているから説得力があるのだろう。
 昨日の題は「『友愛』から『敵対』へ」というもので、≪ほれ見てみい・・・年が明けたら、たちまち友愛政治が馬脚を現したやないか。寝食忘れて捜査に励む、東京地検特捜部の検事たちを友愛の精神で励ますどころか「敵」として戦えと悪党の方を励ましとるやないか≫という書き出しだが、ご参考までに貼り付けておくからご一読いただきたい。
 昔、ペルーの大使館人質事件で「寝食忘れて情報収集に励む」外務省員たちに、銀座のアンパンを差し入れた友愛精神溢れる首相がいたことを思い出した・・・。

 倒産した『JAL』についての論評は、隣の7面に政治評論家の屋山太郎氏が解説している。親方日の丸、緊張感がない組織はこうなるという見本である。


 ところで今朝の産経トップに、小沢氏が辺野古近辺の土地を購入していたと出ていた。さすが錬金術師!辺野古沖に決定する事前情報を得て、先行投資したのだろうが、国家安全保障問題を個人資金に変換する才覚には脱帽する以外にない。軍事的常識はなくとも、基地問題に金の匂いを嗅ぎ取るずば抜けた才覚に対してである。

 一般的軍事常識として、簡単な図表を示しておこう。まず沖縄の地政学的意義である。これは防衛白書にも示してあるから最高指揮官たる総理には是非一読して欲しいと思う。


 次は大昔、私が在任中だったころの嘉手納空軍基地の広報パンフレットである。これは空軍だが、地政学的意義が透けて読める。


 その昔、ペリー提督は浦賀に来る前にちゃんと沖縄を押さえていた。ここが、アジアを押さえる絶好のキーストーンであるという考えは米国の海洋戦略のいろはであり、今も変わってはいない。

 当時と違っているのは宇宙戦略が加わったことであろう。
 ワシントンとロンドン郊外に、米国は巨大な情報収集施設を建設している。そして後一つ、アジアに必要なのだがそれはミサワにある。この3箇所の施設があることによって北半球の情報はほぼ完璧に収集される。地球儀を見てみれば良く分かる。この通信情報網にとっても沖縄は必須である。

 仮に今後米国がここから退くとすれば、必ず中国がこれを狙ってくるだろう。アジアを制して世界制覇をするのに必要だからである。いや、既に着々と侵食している。小沢さんよりもっと巧妙な手法で・・・。


 “メルカトル症候群”に陥っている日本人には、この地球上の地政学的観点が大きく欠落しているから、13年間も時間を浪費して徐々にアジアの劣等国に落ちぶれつつあるのである。

 どうだろう、かって世界第2の経済大国だった国の現状は!
 GDPも世界のトヨタもJALも、つぎつぎと沈没し始めて沈みだしたらきりがない状態じゃないか。
 全うな政治家だったら、一日一度は地球儀を眺めて欲しいと思う。地図、それも出来れば地球儀を見ることが「軍事常識会得の第一歩」であることを忘れないで欲しい。

金正日は日本人だった

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自衛隊エリートパイロット 激動の時代を生きた5人のファイター・パイロット列伝 (ミリタリー選書 22)

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