軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

鳩山政権が日本を滅ぼす

 今日は昭和の日、朝7時に“国旗掲揚”して、久しぶりの陽光を浴び清々しい気分になったが、朝刊に目を通して再びやりきれない気分になった。普天間移設問題で「なぜ場当たり対応続ける」と産経は主張で「首相は無責任な言動を繰り返すのを改めよ」と責めたが、「無責任な」首相を戴く国民は哀れである。
 
 どうやら、四月上旬に京都で首相と幹事長、それに鹿児島出身の財界人が“密談した”と情報があったが、徳之島案が首相の“腹案”だったらしい。
 軍事常識が欠如した彼らしい発想だが、米軍との調整で「120Km」を超えない範囲という“軍事機密”をすぐ公表する失態を演じた。こんなことだから米国はステルス戦闘機情報も渡してくれないのである。
 軍事的合理性を無視して、「沖縄県民の負担軽減」のため、鹿児島県徳之島に「負担を分配」するだけの“腹案”だが、今度もまた島民に選ばれた「地方首長」に話を通さずに、まず“地元有力者”をわざわざ訪ねるという失態を犯した。「民意」を代表する首長たちは怒り心頭だろう。しかも“有力者”の次男は「野党議員」である! “敵”に情報は筒抜け、彼は戦術の基礎さえも心得ていない。


 地元も受け入れを表明していた辺野古沖の案を、自民党にあてつけがましく「破棄」したのに、7ヶ月経ってやはりそれしかないと気がついたらしく、現行案を沖合いの「浅瀬」移動案に微修正したが、いつまで堂々巡りをしているのか!すでに14年経つというのに。


“自然保護”を優先して浅瀬に杭を打つ案は当初から検討されたもので、軍事的脆弱性を理由に米軍から否定されたものである。関空のような“民間空港”ならいざ知らず、軍事基地に脆弱性はご法度である。むしろ、浅瀬を埋め立てて強固な基礎を作るべし、というのが米軍と「現地建設業者」の一致した意見だった。

“平和主義”が浸透している沖縄で、ジュゴン保護を訴える団体を説得するのに防衛庁は苦労したが、中を取って陸側に寄せて、騒音や危険度に配慮して苦心のV字滑走路案に落ち着いた経緯がある。

防衛白書から≫


 今回、鳩山首相がそれを浅瀬側に動かすというのであれば、14年前の当初案にあたるから、いびつなV字案を軍事的合理性に沿って改めた“修正案”だと受け止め、米軍側は期待したであろう。

 しかし、この“腹案”じゃとても「トラスト・ユー」出来ない期待はずれ、米軍は納得しまいから、思い切って当初案どおりの「辺野古沖埋め立て案」を提示して頑丈な基地を造ることにしたら良い。どうせ政権は持たないのだから・・・


 これならば軍事的合理性があるから米軍はOK、地元建設業者もOK、滑走路が遠のき、騒音・危険度共に減退するから住民もOK、一石三鳥だが、左翼勢力は大騒ぎするだろう。身から出た錆、この“新腹案”と引き換えに責任を取って?辞職なさるとご本人の名誉も保たれ、鳩山家のご先祖様も一安心だろう!


 それにしても徳之島島民、沖縄県民共に、首相の場当たり発言で大迷惑、民主党参院選では大敗を喫すること請け合い、それを察した機を見るに敏な閣僚たちがゴールデンウィークにこぞって外遊としゃれ込んでいる。

 下手すると、国費で外遊する機会がなくなるからであろう!

産経新聞から≫

 5月2日には11人の閣僚が国内に不在になるが、何か起きたら誰が責任を取るのだろう?この危機管理意識欠如内閣にはあきれてものが言えない。

最もいてもいなくても存在感がない方々ばかりだから、国民が自主的に対処する。ゆっくり「観光旅行」をお楽しみあれ!そして出来れば蓮舫議員には、彼らと外遊予算をしっかり仕分けして削減してほしいと思う。


 ところで今日は産経29面の「小沢氏起訴相当」「再捜査検察に壁」という記事の中に、小沢氏を 起訴相当とした検察審査会に対して、民主党の工藤賢太郎参院議員は「素人集団の議決は民主主義への挑戦で残念だ」と言い、辻恵衆院議員は「簡単に国民感情で被告席に着けてしまっていいのか」と言ったことを問題にしたいのだが、いやはや、二人の「素人感覚」にはあきれてものが言えない。

 工藤議員よ、君たちは「素人集団」の投票によって、当選させて貰ったのではなかったか?確かに「君たち民主党を選んだ素人集団」は、危険な状態を作り出してしまい「民主主義への挑戦」をしてしまったから「残念だ」と私も思う。
 辻議員よ、マニュフェストとかいう奇妙なお題目にだまされた「素人集団」は、「簡単に国民感情」で君らを「議員席につけてしまった」が、それはいいのか? 私は君たちを議席に着けてしまったのは素人集団の大きなミスだったと思っている。

 産経の赤堀記者はあなた方の傲岸なコメントに対して、「果たして全うな批判なのだろうか」「『素人集団』『国民感情』などというが、国民感情を大切にすべき政治家から批判が出るのはおかしい」と控えめに批判したが、赤堀記者の間違いは、あなた方を「政治家」と認識していることである。真の『政治家』だったら、このようなおどろおどろしい発言は絶対にしまい。工藤、辻両議院は、深く反省すべきであり、少なくとも君たちを『選出』してくれた選挙民という『素人集団』に謝罪すべきである。国民を愚弄するにもほどがある!


 もっとも、彼らが言う「素人集団」に、裁判や、検察業務について審査などを依頼しなければならない「玄人集団」に対して私も言いたいことがある。

 裁判員制度が表ざたになったとき、私は「素人による高度な判断」に疑問を感じ、司法試験も受けていない素人にかかる負担と、被疑者にかかる誤判断を心配して、本来その職務についている専門家の判断こそ大切だといっていたのだが、施行されてみると、今のところは比較的問題なく進行しているように思われる。
 まさか国家権力に近いこれら「玄人集団」が、まったくの「素人集団」よりも判断力が落ちているとは思いたくはないが、これらはちょうど、われわれ戦闘機パイロットが頼りにならないとて、体力に自信がある「素人集団」が代わりにF−15戦闘機に乗ってスクランブルし、領空侵犯を未然に防いだようなもの、そうなればわれわれ戦闘機操縦の「玄人集団」は、ウイングマークをはずすであろう。
 つまり、彼ら専門家たちは今まで何をしていたのだろうか? 自分の専門分野を素人に取られて恥ずかしくないのか? 退職後には「生存者叙勲」を“自動的?”に与えられる方々なのに・・・、給料を返せ!と言いたくなった。

 
 戦闘機パイロットであった私にとって、「雫石裁判」は非常にためになった。あれこそまさに「素人集団」によるリンチに近い裁きであった。膨大な裁判資料に目を通してみるがよい。
 われわれは当時、それこそ工藤議員のように「素人集団による“軍事専門家”に対する挑戦で残念」であり、辻議員のように「簡単にメディアの扇動で自衛隊パイロットを被告席につけてしまっていいのか」と言いたかった。

「裁判官が日本を滅ぼす(新潮社)」のまえがきに、著者の門田隆将氏はこう書いている。
≪日本の裁判とは、果たして「真実」が争われるところだろうか。(中略)しかし実際には、日本の裁判は「真実」を発見するところではなくなっている。正確に言えば、日本の多くの裁判官には「真実」をあぶりだす能力も識見もないし、そもそも真実を導き出そうとする意欲もないのである。(中略)・・・いつの頃からか、日本の裁判所は単なる「法廷ゲーム」の場に成り果ててしまった≫


 詳しくはご一読いただくとして、検察審査会も同様だろう。検察上層部に「悪を許さぬ!」という意気込みはあるのか?
 少なくとも小沢氏の今回の疑惑に関しては、特捜が追求できず、国民の期待を裏切ったところにこの問題の発端がある。結果が出せなかった以上、特捜という「玄人集団」は「敗北」を認めざるを得まい。
 それを素人集団が再び掘り起こした! 昇進や名声や“人脈”など、官僚が最も気にする要素に無関心だからこそ、「岡目八目」の例えどおり素人集団には案外真実が見えるものなのである。社会正義の砦である検察は、ぜひとも国民の期待にこたえてほしいと思う。

 今朝の産経には「再捜査で何をやるのかの検討に1ヶ月はかかるだろう」とある検察幹部が話したと書かれている。「石橋を叩いて渡るのが官僚の出世の道」だといわれるが、私は現役時代に「叩いても渡らない」ばかりか、今や「叩いて壊して渡れなくしたものがトップにつく」と揶揄したものである。


 門田氏は「裁判官が日本を滅ぼす」ことを問題にしたが、私は素人集団の「鳩山政権が日本を滅ぼす」ことを危惧している。正義と祖国が一日も早く生き返ることを大いに期待したい。

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