軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

96翁の気迫

96歳になられる門脇朝秀氏(「あけぼの」発行編集人)の手紙(写し)が届いた。門脇翁については以前ここにご紹介したが、いろいろとご指導を受けている私の師匠でもある。
10月にA氏あてに出された手紙だが、A氏がご本人の了解を得て配布されたもの、現状分析の資料として転載したい。


≪(前略)日本の首相は苦労知らずのお坊ちゃんが親の遺産を食い潰すために努力しております。身の程知らずの尊大振りで大東亜戦争の経緯も知らないのが、日本の外交を取り仕切っているのですからどう仕様もありません。
とかく次の世代を絶望的に見がちですが、例えば、宅急便に携わっている青年を見ても、私は台湾中国朝鮮にない誠実さに心打たれます。日本の政治家には絶望しますが、日本民族自体は今時の世界では群れを抜いて勝っていると思います。それはちょうど、私たちが青年期に入ったころ、日本は大正デモクラシーの花盛りで、少しでも勉強したものは百人が百人、共産主義に憧れたものです。それはハシカにも似て若くしてそれに感染しないのはインテリではないといわれました。私などはその非インテリの最先端の年齢でした。


続いて起こった戦乱の時代は大正生まれの青年たちがその戦力の中心で皆よく戦いました。戦争が終わると大正デモクラシーの生き残りの美濃部たち左翼が猛威を振るって学生たちの安保反対闘争を実行させました。その尻尾がいまだに日教組選出の官房長官を生んでおり、歴代の首相は日教組の仕組んだ常識でものを考えております。(A氏)のおっしゃるように、正確な日本語の知識もない男女が国政を論じているのですから駄目なわけです。
越山会にせよ陸山会にせよ、そこいらのおばちゃんの票を集めることが首相の最大関心事であっては国際場裏で議論できる訳がありません。と言って、民主党はだめだから元の自民党は?…となると残念ながらこれも同工異曲、ドングリの背比べ。これという玉もありません。では、財界または宗教界に人物はありやと見渡しても、これも大同小異、高潔な指導者がおらず、自分の城の利害しか考えておりません。我々老人がその経験から防衛外交かくあるべしといいたいのですが国全体が耳を傾ける空気はありません。


Aさん、わが国には「昔から負けるが勝ち」という教えがあります。「柔よく剛を制す」と支那人は言いました。10月3日の産経新聞を読んで私はこう思うのです。「日本・台湾の民心の動向を見てアメリカが我慢しきれなくなって、尖閣諸島日米安保条約の枠内であり、もし中共がそこに派兵するようなことがあれば、アメリカは即刻軍事力の全てを挙げてそれを阻止する。当然日本の自衛隊がこれに参加し、もし尖閣列島に中国兵が上陸するなら日本の陸上自衛隊の落下傘部隊が降下してこれを殲滅する」という内容です。
この報道に対し、ASEAN各国の他、中共に最大の敵意を持つ法輪功大紀元は「アメリカにそう言わせたのは日本外交の勝利だ!」とこれを喜んでおります。
この報道により台湾の独立派は一挙に息を吹き返し、馬英九政権の追いつめを図るでしょう。


私は11月2〜13日、この運動のお手伝いのため台湾を一周します。「2012年には中国内の諸々の矛盾が爆発して中共政権は崩壊するであろう」という観測が中国内で話題になっております。一々誠にごもっとも…私もその内容に賛成です。そのガス抜きに中国は日本を狙い行動を尖閣列島にとりましたが、果たしてその行動は中共政権の延命のために効果があるのか・・・その故にアメリカを怒らせてその戦火を浴びるのか?・・・微妙なところに差し掛かりました。


私個人としては、2012年には燃え尽きる人生設計を立て、それまで他人が何と言おうと私の信念に基づいて猪突猛進、玉と砕けることを目標としてこれから生きていきたいと思っております。お互い呆けては万事窮せざるを得ません。Bさんにもそう伝えてください。
人生これからが青春です。
神様、どんな無理でも引き受けますから今しばらく私を呆けさせないようにお願いします



96歳の門脇翁のこの気迫に比べて、古希を過ぎたばかりの私は赤子同然だと忸怩たる思いがする。
門脇翁が主宰しておられる≪あけぼの≫をご紹介しておくので、賛同される方は翁の「気迫」を受け継いでいただきたいと思う。


昭和史と私 (文春文庫)

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私の人生 私の昭和史 (集英社文庫)

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私の昭和史―戦争と国家革新運動の回想

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支那事変作戦日誌

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