軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

コースター転落事故=“自己”責任も忘れるな

30日、東京ドーム遊園地で、34歳の会社員がコースターから転落して死亡した。この遊園地では以前、ボルトが脱落して係員が負傷した事故があったから、また機材故障か?と思ったのだが、安全バーを固定していなかったことが原因だという。
安全を確保するための装置を使用しなかったのだから、当然発生する事故だったのである。だれに事故の責任があるのか?といつも通り姦しいが、ばかばかしい、“自己”責任というべきだろう。

今朝の産経(上記)には、コースター係員の女性アルバイトは「手で確認するよう口頭で指導を受けたことがあったとしながらも、『乗客が大人だったので大丈夫だと安易に考え、手で確認しなかった』と説明」したとあるが、当然だろう。
乗客は34歳、身長約185センチ、体重100キロ超という堂々たる大人の男性である。その男性の下腹部の「安全バー」に手を伸ばし、ロックされているかどうか確認するのは女性だったら相当勇気が要ることだろう。女性アルバイトの係員が「大人だったので…」といったのは正しい。
ただ外見は大人でも、成人式にみられるような内面は幼児以下の者も目立つこの頃だから、「失礼」を顧みず、確かめた方がよかった。おそらく体がはみ出してロックできる状態ではなかったに違いない。
遊園地側にも多少の「安全意識欠如」があったろうが、一番欠落していたのは乗客の方だと思う。自分の身は自分で守る!これが自然界の鉄則である。
いくら笑顔で礼儀正しくとも、安全意識を欠くと一生を台無しにするという悲劇の見本であろう。


わが国自体が同盟国に守ってもらい、自己防衛意識が全く欠如している国柄だから、この手の意識が欠如した国民は増えるばかりで、今後も同種事故は多発するに違いない。つまり、自分の身の安全も他人に守ってもらえる、といい大人たちが錯覚しているからである。そして事故が起きると≪責任のなすりあい≫補償問題で人間関係がおかしくなる…


エジプト観光で内乱に遭遇して立ち往生した日本人は、そのことを少しは意識したに違いないが、帰国すると「安全と空気はタダ同然」の雰囲気にすぐ慣れて忘れてしまう。これが現代日本人の危機意識欠如の実態である。


安全管理が行き届いた?国内では、電車を待っていると「駆け込み乗車はおやめください」「黄色い線の内側をお歩きください」「優先席付近での携帯使用はご遠慮ください」などなど、小うるさいほどアナウンスが続く。実際はそんな注意などどこ吹く風、乗客のだれも知ったことじゃないのが現実、最近は「老人」自らが優先席で堂々と携帯を使用しているから、何のためのアナウンスか指示かわからなくなっている。
だが、もしもその“違反?”行為を咎めようものなら、乗客同士の刃傷沙汰に発展し、犯人捜しが始まるだけで、なぜそうなったのかという原因を追及し改善しようとはしない。何でもかんでも『ご注意アナウンス』に任せ、それも聞き飽きたから無反応になる。


だから「何かがおかしい」、「規定違反して」も見逃すのなら、何のための「規定」なのか意味がない、と思っても誰もが見て見ぬふり。管理する側も、黄色い線も、駆け込み乗車も、はたまた携帯使用禁止も、一応規則だから「アナウンス」し表示するだけで、誰もその結果に責任は負いもしない。ただ、管理責任上アナウンスするだけ…
これじゃ「オオカミ少年氾濫」、日本人は自然に依頼心が強くなっていくだけで、誰かが自分を助けてくれるものだと誤解していく。そして事故が起きると裁判になり、いがみ合って互いに責任をなすりつけ、世の中が暗くなっていく…。


そんな、お仕着せ社会に住んでいるからかどうか知らないが、日本人は自己責任は放置したまま、管理責任を追及し、保障額を一銭でも多く取ろうと、権利だけ主張するようになった。
雫石事故、なだしお事故、そして今裁かれている愛宕事故がその典型だと思っている。これらの事件では、国が一方的に自衛隊を犯人にして補償するのだから、政治家も官僚も誰も損することはなく、補償も完璧!運が悪い自衛官だけが泣くはめになる。


多分、今回のコースター事故もそんな社会情勢に狎れた結果が招いたものだろうと思う。今回気の毒なのは女性アルバイター。会社は彼女を保護してはくれまい。
どこか異常な社会だが、言えることは自分の命を他人に預けてはならぬ、ということである。

事故の結果は“自己”責任であることを再確認すべし!と、元航空安全管理隊という事故調査専門部隊に務めた者として一言「乗客」の方にも苦言を呈しておきたい。

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