軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

寂しい建国記念日

今日は建国記念日小雪降る中で掲揚したが寂しい限りである。自分の誕生日は祝うくせに、自国の誕生を祝おうとはしない“国民”は、無人島にでも移住すべきだろう…。そのうち10月10日に赤旗を上げる輩が出てくるのかもしれないが…
我が家しか立てていないものの、赤い日の丸には元気づけられる。


昨日は東中野に出かけて「平成ジレンマ」を鑑賞してきた。1980年代に社会問題となった[戸塚ヨットスクール事件]を追ったドキュメンタリー作品だが、6年の刑を終えた戸塚宏校長は、70歳を超えた今も各地で「教育問題」を説いて回っている。

私は当時からこの事件の裏にある“胡散臭さ”を知っていたから関心を持ってきたのだが、訓練生の死亡に校長やコーチたちの「犯意」がなかったことは認められてしかるべきだろう。しかし、裁判では「犯意」があったかのようにみられ、マスコミがそれを煽った。
太平洋横断記録を持つヨットマンの戸塚氏は、当時から“イケメン”ではなかったから、気の毒にもマスコミ好みの≪悪役≫にされたのだと私は思っている。
「職業に貴賤はない」とか「人間みな平等」などと“きれいごと”を叫ぶ連中に限って偽善者が多いという証拠だろう。
今では彼のゆるぎない≪教育論≫に太刀打ちできない連中が、「人権」などという奇妙な看板を立てて彼を排斥しようとしているが、彼らこそ排除されるべきものだと思う。


2009年、再開されたヨットスクールの屋上から女子訓練生が飛び降り自殺したが、3日前に入校したその女子高生もカメラはとらえていて、自殺するまでのわずかな間に彼女が仲間たちと話し合い、笑いあい、震える手でオカリナを練習する様子が映っている。そして突然の死。

悲しみに打ち震える女子訓練生や仲間たちの実情がうまくとらえられていて、特に通夜・葬儀のシーンには涙が出た。両親の複雑な心情と、彼女の短い一生はなんだったのか?と深く考えさせられたからである。

自殺の取材では、なぜ訓練生を『拘束』していなかったのかという記者の問いに、戸塚は気色ばんで答える。「昔の事件では訓練生を『拘束』して自由を奪っている!と君らが非難したのではなかったか」と。


裁判も報道もしょせん他人事。彼らが得意とする『ケースバイケース』でどうとでも逃げ、責任を回避する。その理屈付けだけは超一流である。

スクールに入ってくる段階での「矯正」は、戸塚校長がつぶやくように極めて困難だと私も思う。ガス事故では元栓を閉ざさねばならないのと同じこと、このような青少年たちを生み出している根本原因にメスを入れなければ、未来永劫この種の悲劇はなくならないだろうと思わされる。
教育問題の根幹を衝く貴重なドキュメンタリー、東海テレビの作だそうだが、一般公開の場が更に広がることを期待したい。


ところで、私は平川総研のメルマガに「大東亜戦争論」を連載しているが、今回
「歴史の真相というものは、その時にはなかなかわからない。歴史は小説ではない。正確に分析せずにただその時の空気なり、ジャーナリズムのもてはやすものだけによってきめてしまうと、非常な間違いを犯す危険があることを知らねばならない」という、岩淵辰夫氏の言葉を紹介(「近衛上奏文と皇道派」山口富長著)した。

戦争だけではなく、戸塚ヨットスクール事件に関する報道の真髄を衝いた含蓄ある言葉ではないか。

それに加えて、メディアにもてはやされた「政権交代」の無残な実態に上記の名言がダブって見える。



ところで、中国と手を結んだロシアが、南北挟撃作戦で北方領土を確実に手中にしようと動き出した。中国は在米の華僑や、中国要人たちの子弟が協力して「尖閣は歴史的に固有の領土だ。1945年に日本が改竄したのだ」という一大キャンペーンを実施し、歴史問題に≪疎い≫オバマ大統領とその側近を丸め込もうとしているという。

それに対してわが国は有効な対抗手段を打っているのか?大いに気にかかる。国力が衰えた国の周辺では領土問題が起きるのが歴史が示す原点である。ヒトラードレスデン割譲、ポーランド分割を見るがよい。チベットだってそうして併合された…


今年の年賀状に「今年は何が起きてもおかしくない年だ」と私は書いた。
すでに天変地異はじめ「異常事態」が続発している。緊急事態発生が近づいているのに、菅政権はまだ児戯にも劣る内部抗争を続けているようじゃ、やがて韓国も≪竹島≫の歴史改ざんをしてくるだろう。

米国はとっくに日本を見放している。軍部だけはまだかろうじてつながっているが、政治経済界は恐ろしい企てをしているように見える。

トヨタ自動車『欠陥問題』がその象徴だろう。とれるだけ取ってあとは知らん顔、これが国際情勢の真相だと知るべきである。ところでトヨタは、米国に対して何か報復するのだろうか?
すぐに謝る日本人の弱点を突いた経済戦争なのだが、この手の戦争にからっきし弱いのが日本人。

小雪降る建国記念日のわびしさがそれをよく象徴しているように思う。

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