軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

因果応報を知る

今朝の産経一面石原慎太郎氏の「日本よ」を読んでいて、私は防大1年生の時、東洋哲学U教授の口癖?のような教えを思い出した。

東洋哲学体系を説き終わると「因があれば果があり、果があれば因がある」といつも結ぶので、何もわからない我々1年生はその言葉を呪文のように唱えてはU教授をからかったものであった。
若い時は不明だったが、それ相応に年を重ねると、その意味が重々しく感じられてくる。


石原氏は「要するに歴史は世紀をはるかに跨(また)いでうねり繰り返しているのであって、それを人間たちが作って絶対化して奉じる神の権威をかざして他を認めまいとすることそのものが実は愚かしいことなのだ。人間たちはその風土に合わせてさまざま工夫しそれぞれの神を造りだして奉じるが、それが他より優れて絶対的であるなどという論拠はどこにあるはずもない」「アメリカの首都やニューヨークで起こったテロも、その源泉とされているイスラム原理主義者たちが各地で頻発させているテロも、過去から延々と続いている排他的な一神教同士のいがみあいに便乗する政治の野望の角逐がもたらしたものであってその滞積が今日の混乱をもたらしているのだ」と書いた。


石原氏が言うように、人間たちは地球という宇宙の一つの星に過ぎない表面で、権力と富を奪い合い果てしなく殺しあっているが、地球にとってみればそれは≪皮膚の表面に巣食った何種類ものダニか蛆虫の類≫が、それぞれ己の縄張りを主張して殺しあっているに過ぎないだろう。
一度各国首相は宇宙から地上を見てみるがよい。人間なんていかに小さな生き物に過ぎないかがよくわかるだろう。

≪太陽系の中心・太陽も変化しつつある。地球はその中の星の一つにすぎない(宇宙ステーションから見た台風12号)=NASAと産経から≫


巨大地震も大津波も地球にとっては単なる“貧乏ゆすり?”に過ぎず、巨大台風さえも一過性の皮膚病みたいなものだろう。

その結果は、人間にとっては「被害甚大」だが、地球にとっては≪不自然な異物を排除して、自然に戻るすべ≫に過ぎないのだと思う。

東北の大津波で、真っ黒な巨大津波が襲ってくるシーンが印象的だったが、あれは日ごろ人間の生活によって海底に堆積した「ヘドロ」が襲ってきたのであり、一掃された後の海底は浄化されているように見える。


U教授の口癖だったように、全てこの世は「因があれば果があり、果があれば因がある」ことが証明されたように思う。だからと言って齢72歳の一老兵は達観できている訳ではなく、心頭を滅却できるほどの修養も積んではいない。ただ、何事があっても≪うろたえまい≫と努力しているに過ぎない。


3・11の大震災、今回の台風12号のみならず、世界各地で頻発している自然災害の因は、人間自らが生み出したものなのだが、未だにそれに気づきもせず懲りもせず、天の怒りを買いつつあるような気がしてならない。
そして来年は、その人間が生み出した業と欲から生じる権力闘争というあくなき欲望が表面化し、因果関係によって人類が不幸のどん底に叩き落とされるのか、それとも人類が目覚める一助になるのか…、それは野田首相のような50歳代の人類が決めることになるのだろう。

≪いつも犠牲になるのは庶民である=産経から≫


福岡の中学卒業時、担任の磯貝司朗教諭は「自然に生きよ」と手帳に書いてくれた。この年になって磯貝先生とU教授の言葉の重みを痛切に感じている。

石原氏は「アフガンやイラクにおける戦闘でキリスト教圏の軍事力は、歴史の報復に対抗し決して彼等を制圧しきれまい。かといってイスラム教圏の人々が今のような試みで勝つとも言い切れないが。いずれにせよ現代のこの混乱は、地球は所詮人間全てのものだということを証すことになるだろう」と結んだが十分理解できる。


さて、現実に戻ろう。今日は自分の著書のPRになるがお許しを。
以前、このブログで予告していた『日本の空を誰が守るのか(双葉新書)』の試し刷りが昨日届いた。何か所か誤植があったが大勢に影響はないと判断して編集者に伝えたが、若者向けの「防衛入門書」を意図した目的は達せられていると思う。
以下はその表紙と目次だが、平易に解説したつもり。



黙々と任務にまい進する自衛官たちの真情の一部と、自分で決めた規則を自ら破って恥じない「シビリアン」たちの実態の一部を理解していただき、わが国の防衛は本当にこれでいいのか?と気が付いていただけたら本望である。


ところで今回、全く名も知らなかったお方が防衛大臣になったが、就任時に「安保に関しては素人だが、これが本当のシビリアンコントロール文民統制)だ」と放言したから思わず笑ってしまった。

今までの長官・大臣にも「玄人」が就任した記憶は少ないから、素人であっても聊かも異論はないが、「シビリアンコントロール」の本質を理解していない無邪気さに失笑を禁じ得なかったのである。

これ以上「シビル・アンコントロール」状態にならぬよう、寸暇を惜しんで勉学に励んでいただき職責を果たして頂きたいと思う。日本の新大臣が≪素人≫であっても、他国、とりわけ我が国を狙っている周辺諸国の大臣は、玄人どころか“食わせ物揃い”だといっても過言ではない。そんな中に「赤ずきんちゃん」が飛び込んだら結果は知れているからであり、その結果は自然災害以上の重しとなって国民に降りかかってくるからである。

本刷りが出来たら1冊献本したいと思ったが、新書版なので1冊¥800+税に過ぎない。ぜひ議員用諸経費で購入していただき、ご高説を伺いたいと思っている。

日本の空を誰が守るのか (双葉新書)

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国際軍事関係論―戦闘機パイロットの見つづけた日本の安全

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実録 自衛隊パイロットたちが接近遭遇したUFO

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世界全戦争史

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名将たちの伝説的戦術 (PHP文庫)

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