軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

天下大乱の相…

新書を上梓したこの1週間は何かと多忙で更新が遅れてしまった。
前回、前々回と大陸の動向を書いたが、このところ明日の10・1建国記念日を前に北京では不穏な空気が漂っているという。
今日の大紀元日本によれば、≪中国共産党が政権を樹立した10月1日を前にして、中共国家信訪局など、北京にある中央政府機関の陳情受付所の周辺は、国内各地から上京した膨大な数の直訴者であふれている。その数は数万人とも見られる。一方、付近には直訴を阻止する地方政府の車両も多数待機しており、直訴者を拘束して強制的に地元へ連れ戻している≫という。

≪同大紀元時報から≫

直訴者が北京まで来て陳情を行う理由はさまざまだが、「地元の地方政府に訴えても全く効果がない、あるいは地方政府から直接的な被害を受けたなどの理由」も少なくないらしい。

他方、中国のネット人口は5億人を突破し 政府は管理を強化する方針だという。
つまり中国の人口に占めるネット利用者の割合は4割に近づいたわけであり、不満を多く抱える農村部のネット人口は1億3千万人を超えたというから、わが国の総人口に匹敵する。情報の拡散は、政府の手に負えなくなりつつあるから「強権」の発動は「公安・軍などによる鎮圧」以外にはなくなるだろう。

昨日の大紀元時報には、
≪1989年に北京天安門で起きた学生の大量虐殺事件に参与していた兵士が当時、兵士が学生に殺害されたということを理由に中国共産党軍側が兵士らに下した学生への「無差別発砲」命令を受けて、千人以上の学生を死亡させたことが、ウィキリークスが8月30日に公開した米外交公電に記されていた≫
≪1990年3月26日に作成された同外交公電によると、上海の米領事館職員が浙江省農村地区に帰省した時に、村の婦人からその息子の実体験を聞かされた。その内容とは、1989年6月4日天安門事件当時、第38軍に属するその息子と同部隊兵士らは、天安門広場の南東方位から警告のために空に向けて空発砲する任務だった。しかし後に、同部隊の100人の兵士が行方不明になっており、それは学生らに殺害されたからだとの噂が流された。そこで部隊側がすぐさま人数を確認したところ確かに100人あまり減っていた≫
≪そこで、学生たちに対して怒りを感じた兵士らは、上部からの発砲命令を受けて、迷わず前方にいた群衆に向けて銃で掃射した。その結果、千人以上の死体が目の前に現れた。死者の殆どは一般民衆だった。兵士らは死体にガソリンを掛けて燃やし、焼かれた死体はヘリコプターで撤去されたという≫
≪実は、当時行方不明になっていた100人の兵士は後に、全員が現れた。この兵士は自分が騙されて無抵抗な民衆を銃殺したことを悔やんだ。軍側から帰省中のこの兵士親子に対して村で同件について一切話してはならないと口を封じられた≫という事実を報じていた。

≪同大紀元時報から≫


また、中国情報に詳しい「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」9月29日号には、「農民暴動は18万件を記録、その65%が農地収容をめぐるトラブル」であり、「大連モデル」以前から法改正の混沌が、農地問題の深部に存在したことにあると宮崎氏は分析している。そしてその65%を占める農地収容をめぐる地方政府との権利問題の発火点は「公の目的のみに農地収容の権利」が認められた地方政府が、私的目的、汚職目的のために農地を強制収容後、転売する行為が絶えないからであるというから、今後とも暴動は収まるまい。
宮崎氏も「いまさら地方政府から既得権益を奪うことも出来ず中央政府中枢は、人事権を行使して地方政府幹部の更迭、人事刷新で応ずるしか手段は残されていない」という。

政権交代前の共産党中枢部の熾烈な権力争いも絡んでいるから、今や隣国には“天下大乱の相”が漂い出しているといえる。とりわけ注目しておかねばならないのは、天下統一のためには「仮想外敵」を想定しておくというこの国の“伝統?”であり、その格好の材料が「反日」ならぬ「仇日」である。
なぜ日本が「仮想敵国」に選ばれたのか?
黄文雄氏は≪中国が「歴史]や「靖国」などの問題を仕掛ければ、日本はすぐ条件反射的に反省と謝罪を公言するので、中国政府が民衆に対する「教化」ができるだけでなく、「見せしめ」にもなるからだ。そのうえ、中国政府の言説を実証、さらに呼応してくれるマスメディアや反日日本人もいたので、『反米反ソ』に比べると得だらけだ≫からだという。


北朝鮮がなぜ日本上空を通過してテポドンを撃ったか?中国、ロシア、韓国上空を通過すれば直ちに反撃されるが、日本は決して反撃しないし、うまくいくとお米やお金をくれると思っているからである。この時も、核ミサイル実験とは言わず、「飛翔体の飛翔実験」とメディアは呼んだ。強盗に≪様≫をつけて呼ぶようなもの、これじゃ舐められても仕方あるまい。

防衛白書から≫

そこで黄文雄氏は、「反日」強硬派でないと国をおさめられない中華主義国の隣人として、いつまでも利用されることなく、「力に対抗するには魅力しかない」として、1、物理力(FORCE)2、社会力(POWER)3、心理力(ABILITY)の3つの「人間の力学」を磨いて毅然として対抗せよという。

しかし、今朝の正論で加地教授が“「正心誠意」を海舟作とした浅学”で『古典の教養』がない内閣では、「毅然」の意味が理解されているかどうかが心配になる。遊んでいる暇はない。天下騒乱大乱の時は迫っている。

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