軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

天高く読書の秋!

ギリシャ債務危機は、EU存続に一石を投じる緊急事態になったようだ。なんとなく、第2次世界大戦前夜の欧州の混乱を彷彿とする。
お隣の中国では、とうとうバブルがはじけだした。もともと北京五輪ごろから、経済の内実はバブル膨張だったのだから、ここも早晩はじけることは、戦闘機のりの私にも予想できた。


2006年ころ、日中安保対話で北京や上海を訪問した時に中国のある高官から「日本のバブル切り抜け策、ノウハウを教えてほしい」と言われ、仲間の経済専門家を紹介したことがあったが、このころすでにマンションの値上がりは尋常ではなくとても手が出ない、と聞かされた。
また別の高官は、地方政府の中央政府に対する“反抗”は尋常ではなく、その腐敗ぶりも尋常ではない、と嘆いていた。
そこで私は「北京=首都ワシントンとして、米国のように全国を7つか8つの州に分割したらどう?」と発言したら若手専門家が「それはできません!」と即座に答えたから、「どうして?」と聞いても首を振るだけだった。共産党の統率に限界が来ていると直感したものだが、事実、共産党政権のもとで、ますます富裕層と労働者間の貧富の差は拡大し、共産党宣言とは裏腹の事態になりつつあったのだから、共産党政権の存在意義は既に失われていたのである。富裕層0・4%が富の70%以上を独占する体制が、「労働者のための体制」だといえるはずはない。
しかも少数民族を銃で支配している以上、分割が無理なことは分かっていたが…


その後日本に来た某大学の経済研究グループとの討論会で「温家宝首相が保8(GDPの伸び8%維持)を厳命したが、これを切ると大学生の就職が確保できないから政府は暴動を恐れているからだろう?」と聞いたが、代表者は滔々と「その恐れはない」と否定したものの、同行していた若手研究者の表情の変化が面白かった。
「いずれにせよ、お国では統計上必ず保8にできるから問題ないでしょう…」というと彼ら彼女らから笑いが漏れたものである。


2年ほど前から、大陸と取引している知人が「日本の新聞は書かないが、現地では倒産企業が続出している」と教えてくれたし、「ストライキの味を占めた労働者の取り扱いは工場長も当局にも難しいだろう」と言った事がある。
そして進出した企業に今や低労賃の妙味は失せ、ストライキサボタージュで製造が遅れ、製品の納入期限を守らないばかりか、職工たちが賃金のいい方に転職していくので、あとを埋める新入りの教育で時間と製品の質の低下が避けられなくなりつつある」と言った。なぜか日本のメディアは報道しなかったがとうとうそれが表面化したようだ。しかし、政権交代を控えた今、猛烈な権力争いと相まって、どんな結末を迎えるものか?

少なくともその影響をまともに受けないように政府は戦略を立てているだろうと期待している。自分だけ“土壌”の中に頭を隠しても駄目である!


さて、大震災後8か月経たんとし、再び真冬を迎える季節になったが現地の冬季対策はどうなっているのだろうかと気にかかる。
未だに地震津波対策も確定していないところが多いようだが、インターネット上では、事前に予測して対策を立てていた遠野市が話題になっている。
この5月の「Infoseekニュース」の「大震災を三年前に予言した遠野市の本田市長」のなかで、「三年も前に大地震と大津波を予測し、対策を練っていた自治体のトップがいる」として、
遠野市のホームページによると、大地震の起きた三月十一日午後二時四十六分に、災害対策本部を設置した。「この素早い対応は、前々から大地震の発生を想定していたからです」と、市幹部は胸を張る。…巨大地震によって三陸沿岸が大津波に呑まれ、壊滅。釜石や大船渡、宮古に近い遠野は後方支援の拠点となり、避難者を受け入れるほか、自衛隊や警察、消防、マスコミが常駐し、人や支援物資が次々と届けられる。まさに、今回の事態を「予言」しているのだ≫
≪市幹部によると、市内にある広大な運動公園がヘリポートや支援車両の駐車場になることも想定され、実際その通りになった≫
≪この想定では体育館を新設し、地震が起こった際には、自衛隊等の前線本部になるほか、被災者の受け入れ、市庁舎が被害を受けた際の仮の役所等になるはずだった。ところがこれは実現しなかった。「県に話を持っていったら、要は新しい体育館が欲しいのでしょうといわれ、断られた」と市幹部は明かす。岩手県の震災対応は、どの自治体で聞いても評判が悪い。「市レベルには優秀な人材がいるのに、その上の県、そして国はどうしようもない」。岩手の被災現場は、こんな声でいっぱいだ≫というのだが、上に行くほど「事勿れ」がはびこっているという今の日本の政治体制を良く表している。
東京都などでは災害に備えた訓練が行われているが、地方によっては『のど元過ぎつつある』ところも見受けられる。


そんな中、北海道大学地震火山観測センターの森谷武男博士が「個人的見解だ」と断ったうえで、「再びマグニチュード9の地震が発生する可能性があります」と次のように警告している。

≪VHF電磁波の地震エコー観測からふたたびM9地震が発生する可能性が高まっていることをお知らせします.2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震の前に8か月ほどさかのぼる2010年6月27日からえりも観測点において89.9MHzのチャンネルに地震エコーが観測され始めました.この周波数は北海道東部中標津局の周波数ですが他の複数の観測点における監視から中標津局からの地震エコーではないことが確認されました…≫というのだが、公開された次の波動図を見ると確かにうなづける。


3・11後にスイスの地震局は次のような観測図を公表した。

やはりこれを見ると、今回の地震源では相当なエネルギーが発散されたように見える。人類のみならず、地球も疲れているのである!
中国でも、トルコでも、いや、日本列島でも地震は絶えない。その上バンコクでは水害、北米東部では季節外れの大雪を観測した。

今後も国は天災に十分警戒するとともに、個人的には「覚悟」を決めておいた方がよさそうに思える…


ところで季節は秋、絶好の読書シーズン。今私は、知人が送ってくださった「学生たちの太平洋戦争」を読んでいるが、学徒出陣のご当人たちの生々しいレポートで、一般的な“戦記物”とは違って、直接その思いが伝わってくるので貴重である。


次はお送りいただいた著書の紹介。世界は激動しているが、一個人ではどうにもできない現象。せめて多くの書籍に目を通して、一時的幸せをかみしめたいもの。
レアな本だがご紹介まで
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副題は≪国にささげた青春の記録≫
学徒たちの記録を熊谷眞氏が編集したもの。(夢工房:\1400+税)



後輩の母上で、90歳を超えられた長唄の師匠・田中菊代さんの自叙伝
20歳で死んだ愛猫の目を通じてみた人間界が面白い。自費出版なので少々値が張るが、戦前戦中、そして戦後のご時世がしのばれる一国民の貴重な感想集。(文芸春秋企画出版部:税込¥2500)



核兵器サイトとUFOの関係に関心を持って、詳細な現地研修をして書かれたUFO研究家・ロバート・ヘイスティング氏のレポートを雨宮清氏が、3人の仲間と翻訳したもの。
3・11大震災で、福島原発が被災したが、その上空をUFOが飛び交ったことは今回多くのメディアが報道した。私もその以前に仙台に住む友人からブーメラン型の巨大なUFOを目撃したという電話を受けていたが、大いに興味深い話である。

現実の汚れた政情から一時避難?して、UFOの世界を垣間見るのもいいかもしれない。なかなか翻訳されなかったものが今回漸く出版されたもの。
(環健出版社:ロバート・ヘイスティングス著。翻訳:ヒロ・ヒラノ、桑原恭男、山川進。監訳:雨宮清。\1800+税)

学生たちの太平洋戦争―国に捧げた青春の記録

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