軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

人民解放軍の“商売”

雲隠れしていた習近平副主席が現れたが、その裏ではようやく政治局常任委員が決まったと報じられている。
「入閣」するのは習近平総書記、李克強(主席兼軍事委員主任兼国務院総理)、張徳江全人代委員長)、王岐山(政協主席)、李源潮(国家副主席兼務中央書記、中央棟学校長)、劉雲山(党紀委員)、張高麗(副総理)だという。
胡錦濤派(団派)は、李克強李源潮張高麗の3人。江沢民の息がかかった上海派は、張徳江劉雲山王岐山習近平だから、3:4で胡錦濤は不利ということになるらしい。
しかし王岐山温家宝首相と仲がいいらしいから、此の辺が微妙なところだろうが、少なくとも軍は習近平が掌握したらしい。
ただし高官には中共建国時の旧軍人の血を引くものがいることと、江沢民の息がかかったものが混在しているから一筋縄ではいかないのじゃないか?
今回は中共中央軍事委員には太子党派が入ったから、実権は彼らが握ったとみて差し支えなかろうが、気になるのは、彼らは軍事的素養を身に着けておらず、周辺の軍事情勢を知らない若手だから、人民の受けを狙って「日本と戦うぞ!」と気炎を上げかねないことである。


ところでこの国?の軍隊だが、本質的に軍閥の流れを汲んでいて、国民軍でないことはもちろん、今回も3派で争ったように、まとまらないことと、彼らの関心は、軍事よりもお金であるのが特徴である。

対日戦争時代も、米国から送られてきた巨額の軍資金を蒋介石軍の高官たちが山分けして霧散したから、スティルウエルやウェデマイヤーなど、米軍顧問たちが辟易したという“伝統”が残っていて、今もその気は十分受け継がれている。

つまり、近代兵器を装備した現代の「軍」も、「商売企業」の傾向が強く、昨日入った情報では、イランがマレーシアの秘密港に運んで隠匿している数百万バレルの原油を、中共の国有石油貿易会社に販売したが、この広東の企業(珠海振戒公司)は軍がバックについた“企業”だとか、いやバックは国務院だといわれている。要するに国家としてではなく、軍や党が直接“企業”形態をとっているということらしい。
イラン原油を輸送した船舶は税金逃れと国籍を隠ぺいするためパナマの国旗を立てているらしいが、マレーシアで原油を積み替えたタンカーの中の1隻は、大連に向かっていて17日に入港するというが、空母用の燃料にするらしい。
しかし台風で今日中にはたどり着けないだろう。他の3隻(600万バレル以上積載)の行く先は不明だという。


18全を控えて緊張が高まる中、反日デモを誘導し、国際的関心をここに引き付けておきながら、裏ではちゃっかり金儲け、という図式で、軍らしい隠密かつ迅速な手配に、一部メディアは怒っているらしい。


その軍隊も、なかなか若者が集まらず、募集に苦労していて、軍服のデザインを変えてみたり、初任給を大幅に上げたり、軍人全体の給料をアップしたりと、あの手この手なのだが、一人っ子政策で、甘い蜜を吸って育った「現代っ子」たちには魅力がないらしい。

民主化を要求した学生たちが虐殺された天安門事件。若者には仲間を殺戮した軍に反感もある=インターネットから≫



今、反日デモに動員されている若者たちの中に、「対日宣戦布告せよ!」とか、「軍は日本を攻撃せよ!」などと叫んで行進している者がいるようだが、「君が軍隊に入って日本を攻めたら」と聞くと、その95%が「NO」と答え、「偉いさんの子供が行けばいい」とか、「党幹部が先に行くべきだ」と答えるというから面白い。

≪連日CCTVで放映されている918事件をPRする反日戦争映画。日本軍をヒロインが追いつめて射殺するのだが、現代っ子には魅力はないらしい=上海のホテルで≫


ところで今回の「反日暴動」では、岡田副総理の関連スーパーも焼き討ちで見るも無残のようだが、「親中派」という「ご朱印」は効き目がなかった証明であろう。何でこんな国に出資するのかわからない…

≪青島の日系スーパー=産経から≫


≪同日系企業=同≫

就職できない若者たちの不満は政府に向かっている。そして日本から来て、わざわざ彼らに就職先を作ってくれている日本企業を焼き討ちするのだから、矛盾も甚だしい。

やがて彼らの矛先が、人民を無視した幹部たちの「利己主義」に対する反発につながり、第二の天安門広場事件になる可能性も否定できない。
任期末の胡錦濤主席の手腕が見ものである。

≪敵は本能寺?地方の共産党本部にデモ=産経から≫

≪なんとなく文化大革命時代にタイムスリップ?=産経から≫


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「知る人ぞ知る、核テロとサイバー戦」(倉田英世著・内外出版¥1000+税)

外務省軍縮室出向時代からジュネーブ軍縮委員会などでともに活動した先輩で、核・CBWの専門家である。
15年前、北京の「盧溝橋記念館」で副館長が、「遺棄化学兵器200万発の補償を」と言った際、倉田先輩は「あれは根拠がない問題だが、少なくとも問題になっている数字は70万発だ」と国連文書を提示して反論した。彼らはギャーギャー言ったが、「70万発という数字を持ち出したのはお宅の国連大使だ」と追い打ちをかけると、幹部らはしばし相談、「数の問題はともかく…」と小声で言ったものである。南京大虐殺の30万人も、彼らが今持ち出している尖閣領有問題もこの程度の根拠薄弱な≪白髪3千丈≫のたぐいなのだが、とにかくわが政府が“異常なほど”及び腰だったのである。
その裏には、わが方の政治家や官僚たちが、不勉強で日本の近代史を知らないということと、○○ートラップがあると当時のシナ側から聞いていたが…。
それはともかく、新たな脅威であるサイバー戦に関する解説がわかりやすく解説されている。




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