軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

盗人に追い銭にならねばいいが…

裏に何があったか知らないが、急きょ日韓会談が開かれ、≪慰安婦問題≫の決着が図られた。

産経は一面トップで、「『慰安婦問題』日韓合意」「最終的・不可逆的に解決確認」と見出しを付けた。この場合、「不可逆的」とは何を意味するのか?
一般的な意味は「再びもとの状態にもどれないこと」をさすが、ならば「もとの状態」とは何か?

戦場につきもの?の慰安婦の取り扱いで、日本軍が組織的に“性奴隷にした”という一方的な解釈か、それとももうけ主義の業者が自主的?に軍に提供したのが真相だということか。
それともメディアの虚報に基づいた架空の問題で、村山政権時代にヒトカセギした韓国の組織が、今度は“慰安婦像”などという非文化的な置物を日本大使館前に設置した日本に対する嫌がらせを言うのか?

産経によると、≪岸田文雄外相は28日の韓国の尹炳世(ユン・ビョンセ)外相との会談後、日本記者団に「慰安婦問題で終止符を打った」と胸を張った。韓国側が主張してきた日本の軍・官憲による強制を日本が認めなかったにもかかわらず、韓国が問題を蒸し返さないと公式に表明したことは一定の成果といえる。ただ、在ソウル日本大使館前の慰安婦像の撤去は韓国政府の努力目標にとどまったことや、合意内容が正式な共同文書として残されなかったことなど問題も多い。韓国側が合意内容を履行するまで、「最終決着」と受け止めるのは時期尚早だ。

 「尹外相と膝詰めの協議を行い、確約をとりつけた。しかも首脳間の合意であることを強調した。尹氏は共同記者発表で合意を力強く明言している」

 岸田氏は日本記者団にこう指摘、合意が日韓両国だけでなく、国際社会における「公約」として、問題の「最終的かつ不可逆的な解決」を担保することができたとの認識を強調した。(以下省略)【ソウル=田北真樹子】≫という。


なんだかいつものように、お人よし日本人に対して「慰安婦像撤去」をちらつかせて、韓国側が10億円を稼いだような気がするのだが…

外務大臣の言葉を信じたいが、どうも「盗人に追い銭」になりそうな予感がするのだが…
マ、そうなっても10億円は税金から出すので、大臣にも外交官にも負担はかからないか…


昔、左翼の大学教授らが、「自衛隊憲法違反だから防衛費は認めない、ゆえに6%分を当初からカットして納税する!」と息巻いたことがあった。

もしも今回、大臣の予測に反して“追い銭”になったら、その分を国民に弁償してくれるのかな〜? 成功することを期待しよう。


ところでいよいよ歳末。連日新聞に挟まってくる広告が“豪華絢爛”になってくる。今日は10数枚ものスーパーなどの大型チラシが入っていて、どれも判を押したような「おせちの広告」だ。
印刷技術が向上したこともあって、今にも紙面から飛び出してくるような豪華な食品が紙面一杯に並んでいる。とりわけ生鮮食料品、肉や魚介類は素晴らしい!


ところでお正月だといって、こんなに多量の食材を生産しても、完売するのかしらん? 売り切れることはない筈だから、余ったらいったいどうするのだろう?とフト気になった。

「勿体ない」が日本特有の言葉だと世界が称賛しているが、その凄まじいばかりの豊富な食材の宣伝広告を眺めつつ、しばし子供のころを思い出していると、12面の「談話室」が目に入った。
テーマ投稿で題は「大晦日」とあり、同世代の方の体験談が目についた。今のように、食材があふれんばかりの豊かさと縁遠かったころの話である。2編ご紹介しておこう。


≪「かつお節削る父の切ない姿   主婦 柏原代志子(76)
 実家は岐阜県の山村の貧しい農家で、私が子供の頃は、年を越すのに父母が大変な苦労をしたようです。
 農家なので秋に収穫した新米はありますが、お金がありません。父は農閑期になると村にある石灰工場で働くなど、働き者でしたが、「働けど働けど、わが暮らし楽にならず」というのが実情でした。年末には、村の診療所や一軒しかない雑貨店にたまった付けの支払いに追われていたようです。
 正月に食べるお雑煮も、すまし汁に削り節がたくさんのっているだけの質素なものでした。
 かつお節をかんなで削るのが父の役目です。ある年の大みそか、父がかんなを手に歌い出しました。「ミカン食べたし銭はなし〜ミカン食べたし〜」。
それを聞き、子供心に「家にはミカンを買うお金もないの」と心配になりました。大みそかが近づくと、そんな父の切ない姿を思い出します。(堺市東区)≫


「かんな」で思いだしたが、昔は鰹節と言えば“拍子木”のようにかたくていい音がする棒状のものだった。我が家でも鰹節ケヅリは父の仕事であり、鰹節ケヅリ器の引き出しが一杯になるとそれを私が母に届けたものだ。
今じゃ、便利な袋入りが主流で、鰹節からケヅリ出して使うのは高級料亭でしか見られなくなった。皮肉なものだ。
御雑煮に入れる鶏肉は放し飼いの鶏をつぶして使用していたから、鰹節といい、肉といい、宣伝ビラの豪華な食材よりも、まさに「産地直送!」で今よりも逆に豪華だったのだ!


≪穏やかでつましい年の暮れ  無職 内悧(71)(うちさとし)
 小学校低学年の頃、私は中国山地の山村で暮らしていた。終戦からまだ5年ほどしかたっておらず、まだ世の中には混乱した雰囲気があった。
 小学校でも戦前の教育の名残が色濃く残っていた。元日には必ず全校児童が登校し、君が代を歌い、校長先生から新年の心構えを聞かされた。
 この新年式の準備のため、大みそかも登校日だった。私たち児童は校舎を清掃し、会場づくりをした。会場準備をするのは主に上級生で、下級生の仕事はグラウンドの清掃だった。グラウンドには、落ち葉が至る所に落ちていて掃除は大変だった。しかし、掃き集めた落ち葉をたき、そこでもちを焼くのが、子供たちの楽しみだった。もちを食べて帰宅すると、後は風呂に入って、寝るだけ。まだテレビなどない時代だった。
 当時の山村の大みそかは、これが当たり前。実に穏やかで、つましい年の暮れだった。(広島市西区)≫


終戦後5年の中国山地の山村とはどこだろうか?と興味をひかれる。そのような環境下であっても、「元日には必ず全校児童が登校し、君が代を歌い、校長先生から新年の心構えを聞かされた」というのがいい。


私は彼より5歳上で終戦後に入学した組だが、そのころの小学校では、まだまだ儀式は厳粛だった。
覚えているのは、昭和26年5月17日、貞明皇后大正天皇の皇后)がお隠れになった時、全校生徒が校庭に整列して校長の号令で黙とうを捧げたことだ。

日教組に支配される以前の話で、今の学童にはまったく理解できないことだろうが…


何はともあれ、こんなに物資が豊かで、平和な素晴らしい国に生活していながら、感謝することよりも不平不満に憂き身をやつす輩が多いのはどうしたことか?

今、世界中で何が起きているか考えてみるがよい。中近東、アフリカ、欧州になだれ込む難民などなど、数え上げれがきりがない。
わが身をつねって人の痛さを知れ!とはよく母が言った言葉だった。


今年もあと二日半を残すのみになった。今年も信じられないような事象が次々に起きたが、多くの犠牲者を出しながらも、何とか平穏に戻りつつある。
それにしても異常な殺人事件が頻発していて、とても人間の仕業だとは思えないほど凶悪犯罪が増えつつあるのが気にかかる。いつから現代日本人は「畜生道」に落ち込んだのだろうか?。

そんな中、今年は何人かの元部下たちが、上司だった私より一足先に黄泉の国に旅立っていったのがつらかった。皆60代だった…。

こればかりは誰にも防げない“宿命”であろう。せめて健康状態維持に気を使い、天命を全うしたいものだが、来年がどうなるかは神のみぞ知る事ではある。


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≪国家の覚醒:西村眞吾著=展転社¥2000+税≫
国士・西村眞吾氏の近著である。沖縄勤務時代の1997年5月、西村氏ら一行は日本領土である尖閣に上陸した。当時は海上から、貨物船などをチャーターしたシナ人らが、尖閣領海内に“及び腰”で突入して気勢を上げていた程度だった。しかし当時のわが首相はこれに及び腰で、海保には「手を出すな!」と言明する有様。
その後台湾から国民党軍OBらがヘリをチャーターして台北から尖閣に飛び、着上陸すると息巻いた時、私は厳重な警戒態勢を取った。しかし官邸は「武器を使うな!」と“わが方に”厳命した。
当然現行通りに粛々と任務を遂行したが、大陸側の反応は全くなかった。

あれか20年経つ現在では、尖閣領海内をシナの艦船がパトロールするまでになった。大損害を受けてるのはオキナワ漁民だが、政府は何ら対策しない。
「備えなけれが斯くのごとし!」である。
当時は、西村氏の様な愛国議員がいたことを懐かしく思い出す。今じゃ「産休」を申請する「議員職を生業」にする男性議員が出るくらい落ちぶれた…
本書には「君民一体の祖国日本」を説く熱性溢れる西村氏の言葉があふれている。


≪安倍官邸VS.習近平=激化する日中外交戦争:読売新聞政治部=新潮社¥1500+税≫


本書は読売新聞に掲載されたものに大幅に加筆修正を施したもの。表題にある通り、南シナ海から米軍の撤退を狙っていたかの如く進出してきたシナの横暴な行為は、アジア情勢に不安定さを増す結果を招いているが、アメリカは中近東で忙しい。そこでアジアの盟主たる我が国の出番なのだが、歴代政権は一向にこれを無視し続けてきた。シナにおもねて・・・
漸く、安倍政権になって、遅まきながらもこれに対処しつつある。そんな安倍官邸の足を引っ張るかのごとき存在もチラホラ伺えて面白い。
それらの経緯を分厚い取材陣の特色を生かしてまとめあげたもの。



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海洋政策研究所は、わが国が抱える島嶼に関する領有権を主張する取り組みを継続している。その定期刊行物で専門的だから資料等が豊富である。研究者必読の書。


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