軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

核施設警備は万全か?

22日に、ベルギーの首都ブリュッセルで起きた連続テロ事件は、ゼロ金利とか衆参同時選挙か?とか、国会議員らの“不倫騒動”などで気もそぞろの我が国に衝撃を与えた。


戦後70年余、一切の軍事力を放棄し男は戦いを忘れ、国防は“戦勝国”に一存して、なりふり構わず目先の利益を追い求めてきた≪天皇を戴く商人国家≫は、それでもまだ反省が足りないようだ。
そんな中、日本人二人が被害に遭った…と報じられたが、それどころか「ISに参加しようとした日本人男性をトルコ軍警察が拘束、国外退去へ」というニュースには怒りと軽蔑が噴出した。
どっぷりと“平和”というぬるま湯に浸ったこの国らしく、未来を受け継ぐ青年が“ノー天気な”この調子じゃ老兵は死んでも死にきれない!
どうしてこんな無責任な青年が育つ国になったのか?


「海外機関で初『シリア人に誘われ』」という報道によると興味本位で出かけたようだが、あきれるほどの無知さに言葉もない。


≪トルコで拘束された日本人青年。何ともみすぼらしい。親日国、トルコ国民の期待を損なった!=インターネットから≫


ISは、「家族・血縁がテロリストの隠れ蓑に」「謀議や秘密厳守に『血の交わり』」「身内から過激思想の影響も」などと報じられていて、ニュースの見出しを見ただけで察することが出来ように。

今回、トルコ警察が阻止してくれたからよかったものの、潜入してISにつかまっていたら、今頃政府はてんやわんやで、身代金の調達に奔走していたことだろう。「スミマセンでした」で済む問題じゃないのだ。

≪身代金目当てに、こうなることが予測できなかったのか?。実に判断が甘い!=インターネットから≫


こんな若者を生んだのも、この国の教育程度が低いからだと思わざるを得ないのだが、たまたまこんな記事が産経に出ていた。引用が長くなるが全文を伝えておきたい。


●国歌斉唱は「大学の自治」を侵害するのか 国立大卒業式、実施は少数派 税金投入も大臣要請を?無視?

≪卒業式での国歌斉唱をめぐり、国立大の対応が割れている。国は各大学に適切に行うよう要請しているが、実施する大学は少数派にとどまる。要請に対しても「大学の自治を脅かしかねない」と批判の声が上がる。国民に広く定着する国歌の斉唱を求めることは「大学の自治」を侵害するものなのか。

▼「文科相批判『恥ずかしい』 大学側は混乱懸念か」

 「私が学長なら、国旗掲揚、国歌斉唱は厳粛のうちに行う」。馳浩文部科学相は2月下旬、岐阜大学長が卒業式などで国歌斉唱を行わない方針を示したことに対し「国立大学として恥ずかしい」と述べた。
 文科省によると、昨年の卒業式で国歌斉唱を実施した国立大は86校中、わずか14校だった。
 学習指導要領で国歌斉唱が規定されている小中学校とは異なり、大学には明文化されたルールはない。「大学の自治」や「学問の自由」が尊重されており、実施に反対する教員らの存在に加え、大学側が混乱を恐れて実施に踏み切れないとの見方もある。
 昨年4月、安倍晋三首相は参院予算委員会で「正しく実施されるべきでは」と答弁。さらに6月、当時の下村博文文科相が国立大学長会議で適切に国歌斉唱を行うよう要請した。
 下村氏や馳氏は「各大学の自主的な判断」「あくまでお願い」と強調したが、大学に国歌斉唱を求める国の姿勢に対し、一部メディアが「大学の自治」侵害を念頭に「不当な介入」「圧力」などと批判、注目が集まるようになった。

▼「実施大学の卒業生『何も違和感ない。歌って当然』」

 文科相の要請を受けて、昨年9月の学位記授与式(卒業式)から国歌斉唱を始めた大学がある。兵庫県加東市の兵庫教育大だ。担当者は「要請を受けて国立大として実施が当然と判断した」と説明する。
 23日、学校教育学部の卒業式が行われた講堂には、卒業生と保護者ら約270人が集まった。
 午前11時半、式典が始まると、卒業生や保護者らが一斉に起立。司会者の「国歌斉唱」という合図に続き、吹奏楽部による荘厳な伴奏が響く中、卒業生らは壇上の国旗を見すえ、堂々と国歌を斉唱した。
 卒業後は大阪府内の小学校の教員になる男子学生(23)は式典後、「これまで小学校の卒業式でも歌ってきたので、卒業式で国歌を歌うことは何も違和感はなかった。歌って当然だと思う」と話した。
 また大阪教育大は、平成26年に就任した栗林澄夫学長の方針で、昨年3月の卒業式で国歌斉唱を実施。奈良先端科学技術大学院大も開学以来、実施している。

▼「教員反発『権威に盲従しない。要請は的外れ』」

 とはいえ、国歌斉唱を実施する国立大は少数派だ。近畿では文科相の要請後も京都大、大阪大、神戸大、滋賀医大、京都教育大などは実施していない。阪大は「ずっと実施しておらず、なぜしないのかという検討はしていない」と説明する。
 これらの大学の多くは「大学が判断すること」との立場。和歌山大は「(大学は)学問の府として主体性を持つべき機関」と主張する。奈良女子大や奈良教育大は「卒業式では『蛍の光』が歌い継がれている」とし、国歌以外の歌を歌うことを理由に挙げた。
 教職員の間には文科相の要請への反発も大きい。京都大の若手教員は「学問では権威に盲従しないことが重要。要請は的外れだ」と憤る。別の教授も「五輪で君が代が流れるとうれしく思う」としつつ、「愛国心は強制されるものではない。強制は反発を生み、素直に喜ぶことができなくなった」と話した。
 教育問題に詳しい八木秀次麗澤大教授は「海外の大学では国歌斉唱は当たり前。大学の自治を主張する声もあるが、国立大には国家の将来を担う人材を育てる役割があり、私立大とは違う。国民の税金が投入されながら国の言うことを聞かないのか。式典で国歌斉唱を行うのは当然だ」と話している。≫


国立大学でさえこのように「愛国心欠如」なのであり、国税で「反日日本人」を養成しているようなものである。
批判すると教授ら大学関係者は、つべこべ屁理屈をこねて自己主張するが、その実教育成果は上がっておらず、その責任も一切取らないのだ。


如何に文科省の指導が悪かったかを示して余りあるが、役所もまた誰も責任は取らない。

だからというわけではないが、トルコで拘束された和歌山の青年は「日本での生活に嫌気」がさしたからだのたまっている。

確かにこんな教育を受けていたのじゃ、嫌気もさすだろう。自分は何のために生まれてきて「何をなすべきか」という人生の指針を学べなかったからだ。
現代日本青年が、あまりにも幼稚なのは、そんな教育とオチャラカ番組の悪影響によるのだろう。


しかし文科省だけではない。例えば23日の産経の記事によれば、こうだ。
●中谷防衛相「安保法成立とは関係なし」 防大卒者の任官辞退増加

中谷元・防衛相は22日午前の記者会見で、今年の防衛大卒業者のうち任官辞退者が47人となり、昨年から2倍近くに増えたことに関し、「自らの適正や進路について真剣に考え抜いた結果だ。残念ではあるが、職業選択の自由が保証されており、やむを得ない」と述べた。

一方、集団的自衛権の行使などが可能になる安全保障関連法の成立が要因との指摘が出ていることについては「任官辞退者全員から理由を聴取した結果、平和安全法制の成立に言及した者はいなかったと聞いている」と否定した≫

自らは任官拒否者ではなかったものの、2等陸尉で政界に転出した身、任官拒否者を強く非難できなかったのではないか?


少なくとも任官を拒否するのであれば、軍事教練が身に合わないと自覚した時点で去るべきで、卒業証書を受領すべきではなかっただろう。
我々のころは学位は授与されなかったから、任官拒否者も卒業者も一様に「学卒」の資格はなかったからある意味平等だった。
4年間、国民の税金で高度な教育を受け、卒業と同時にサヨナラでは、至誠にも仁義にも悖るというものだ。せめて中谷大臣同様、学費分を汗で償ってから去るべきじゃなかったか?その方が“一般人”に転換した後も、後ろめたくはなかろうに…


一部に、任官拒否者からかかった学費を徴収すれば、防大入学希望者が減る…などと、役人のような発言をする者がいるが、受験者の中にはもっと確固たる信念を持つ者だっているはずだ。これも一種の官僚的逃げ口上に過ぎないと私は思う。


ところで、話がテロから少し逸れたから戻すが、ISは「敵対する十字軍連合に暗黒の日々を約束する」という犯行声明を出している。世界史の流れの中で受けた仇を今返すという執念が(テロの言い訳にも聞こえるが)虐げられてきた民族の共感を呼んでいるのも事実だろうから、テロが一夜にして改善されることはなかろう。ではどう対処するか?


「テロリストの巣窟、ブリュッセル・モレンベーク地区 地下モスクが“醸造”するイスラム戦士」と報道されるように、流入する移民問題がその根幹にあるのは確かである。
次の「住宅街のアパートが“爆弾製造工場” 実行犯の捜索先を歩く イスラム移民街に困惑広がる」という記事を読むがよい。
 

≪【ブリュッセル=岡部伸】「静かな住宅街で爆弾を製造していたとは信じられない」−。空港で自爆したブラヒム・バクラウィ容疑者(29)らが借りていた部屋があるブリュッセル北部のスカールベーク地区は、レンガや石造りの中層住宅が立ち並ぶ住宅街だ。室内からは爆発物やイスラムスンニ派過激組織「イスラム国」(IS)の旗が見つかった。犯行準備が行われていたことに住民は困惑気味だが、テロの温床とみられることへの強い反発も聞かれた≫



ところがそんなさなか、3月22日の産経は「主張」欄に「『1億総活躍社会』の看板に偽りか。外国人労働者の受け入れ拡大の前に、日本人が活躍できる社会に力を」とこう書いた。

≪「1億総活躍社会」の看板に偽りがないなら、外国人労働者の受け入れ拡大の前に、日本人が活躍できる社会づくりに力を注ぐべきだろう。
 安倍晋三首相が政府の経済財政諮問会議で「外国人材の活用を進めてほしい」と指示した。自民党も特命委員会を設置し、受け入れ拡大策をまとめるという。 雇用環境の改善で幅広い業種で人手が不足している。人口減少に伴い、中長期的にはさらに深刻化しよう。働き手をどう確保するかは、今後の大きな課題である。
 だが、これを解決するため、安易に外国人に頼ろうとする姿勢はおかしい。
 そもそも、外国人を「安価な労働力」と捉えているなら大きな間違いである。労働者として迎え入れる以上、社会保障最低賃金などの雇用条件を日本人と等しくしなければならない。この分野は低賃金に抑えておきたい、という思惑があるのだろうか。

 34歳以下の若年無業者は60万人前後で推移している。保育所に空きがなく仕事を辞めざるを得ない女性や、親の介護に伴う離職者も後を絶たない。こうした課題に対処するため、国内の人材をフル活用するのが「1億総活躍社会」だったはずだ。
 とくに高齢者雇用の拡大、介護職員や保育士などの待遇改善は喫緊の課題だ。働き方や仕事の在り方も人口減少社会に適応する形へ見直すべきだ。新技術やロボットの活用も急がねばならない。
 聞き捨てならないのは、自民党木村義雄特命委員長が「移民の寸前まで持っていけるかも含め議論したい」と述べたことだ。
 諮問会議でも、民間議員から永住権を取得しやすくするよう対策を求める意見が出ている。
 永住前提の移民と、企業が一時的戦力として雇う外国人労働者とは全く異なる。首相は「移民政策は考えていない」と繰り返し明言している。
 国策の大転換につながる課題について、前のめりで議論するのは容認できない。
 外国人労働者をめぐっては、過去に生活ルールを守らないなど地域におけるトラブルも続発した。労働力確保を優先させたいあまり、社会的コストを無視するような姿勢は問題だ。政府や自民党には、社会的な影響も踏まえた冷静な議論を求めたい≫

まさに正論だと思う。やみくもに、労働力の担い手として移民政策を推進した国が、今や「テロ攻撃の報復」を受けているじゃないか?
少なくとも今欧州で起きている問題は、単なる中東紛争の混乱で生じたISによるものというよりも、欧州に長く潜在していた異民族間の摩擦と不満がそれをきっかけにテロを呼んでいるといえるのではないか?
もし「主張」の内容が事実だとすれば、将来の混乱を避けるため政府に一考を促したい。


追い詰められたテロリストらは、今回は無差別に空港と地下鉄という人々が集まる場所を狙ったのだろうが、おそらく[目標]は別にあったと思われる。
それは、「敵対する十字軍連合に暗黒の日々を約束する」という犯行声明から読み取れるように「大量破壊攻撃」である。たとえばフランスのエッフェル塔など、“十字軍連合”国の象徴である。
911で、NYのツインタワーが破壊されたように…


今回ベルギー政府は、取り急ぎ原発を厳重警備したようだが、良い判断だった。しかし今後狙われる恐れは多分にある。“彼ら”には怖いものはないのだから…。


1945年8月、我々日本人はトルーマンによって広島、長崎に大量虐殺攻撃を受けて多くの犠牲者を出した体験を持つ。
今度は…などとは言わないが、万一生起すれば、欧州のみならず、地球の破壊につながる恐れがある。

3・11で貴重な経験を積んだわが国だが、その後の経緯を見れば、核分裂に対する理解度は「○か×か」という程度しかないように見える。

平時における普段の対策は良いにしても、人為的なテロ攻撃は防ぎようがない。特に我が国は「軍事」的素養を失っているから心配である。
加えてわが政府は「万全」という用語を乱発しているが、私の3800時間の飛行経験からしても、この世に「万全」という態勢は存在しなかった。


今からでも遅くはない。サミットも大事だが、丸裸の核施設防護に「万全」を期してもらいたいと思う。


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