軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

戦う”自衛官”不足!

世界一を勝ち取ったWBCの余韻に一部のメディアはまだ浸っているようだが、国際情勢は危険な段階に入りつつある。

 

プーチンが、ベラルーシに戦術核を配備すると宣言した。核不使用を‟忠告された”習近平との会談を終えた直後である。

本当に彼はうそつきだ、と習近平も感じたに違いない。もともと共産主義国には“嘘”はつきものだ。世界はすでに織り込み済だからいいものの、“誠実”を旨とするわが日本国はどう感じているのだろう? まさかありえまい、と信じているのではないだろうナ?

これを聞いて一番緊張したのがNATO加盟国だろう。NATOにはすでに戦術核は配備済みだから、ベラルーシが配備することを黙認するまい。ということは“先制攻撃”もありうることになる。プーチンは、単なる“ブラフ”のつもりだったかもしれないが、世界はそうは受け取らない。核配備態勢の“変更”とみるだろう。しかしこれでP氏が如何に窮地に立っているかが明瞭になった。

この一年は世界大戦の危機に注意しなければなるまい。

 

ところが、民主主義国が“期待している”米国の弱体化は非常に大きく、それに“天災”までが加わって、米国民は苦しんでいる。銀行の破綻も続いている。昔だったらとっくに戦争だ!ろうが、かろうじて数度の戦争を体験した人類の‟良識”が、支えている。

 

そんな流れの中にあって、保守派の中には、総理の“電撃的キーウ訪問”を称賛している者もいるが、岸田総理!我が国の“将来戦への備え”は大丈夫なのだろうか?

 

今朝の産経は隊員が不足していることを報じている。それも半端じゃない。

採用計画よりも実は6割程度だというから、かっての戦争の実態から言えば「師団全滅」に当たる。国民は「有事になれば自衛隊が助けてくれる」と思っているようだが、助けたくてもどうにもできない。それは”絵に描いた餅”のようなものだからだ。

 

防衛省は今年2月、外部専門家による有識者会議を設置し、4月以降、現場の労働実態調査を実施する。任期制自衛官の制度見直しも視野に検討し、夏をめどに対策をまとめる構えだ」とあるから、いつものように先は長い。おそらく台湾有事にも、ウクライナ戦争の拡大にも間に合うまい。

偶々昨日は防大の卒業式があり、岸田総理は“祝辞”を述べたが、なんとも士気が上がらない。まるで‟国会答弁”のようで、自分の政策の紹介のようなものだからだ。全文は呼んではいないが、眼前に集合しているのは“軍人(日本では自衛官と呼ぶ”)だ。

海軍兵学校には「五省」という訓戒があった。

一、至誠(しせい)悖(もと)勿(な)かりしか

一、言行(げんこう)恥(は)づる勿(な)かりしか

一、氣力(きりょく)缺(か)くる勿(な)かりしか

一、努力(どりょく)憾(うら)勿(な)かりしか

一、不精(ぶしょう)亘(わた)勿(な)かりしか

今年の卒業生は446人(うち女性45人)任官辞退者は46人で昨年より26人減った。今年度から任官辞退者も卒業式も認め、46人全員が出席した、とある。

一部のジャーナリストは、

【〇いくら予算を増やしても隊員を確保できれば軍拡は砂上の楼閣だ。(その通りだ!)

任官拒否者の卒業式からの排除は第二次安倍政権が行った、底意地の悪い露骨ないじめといっていい。それには安倍元首相の歪んだ国家観が影響していたのではないか。仮に普通の大学で自衛隊に入隊する学生を卒業式から排除したら、故安倍晋三がどのような反応を示すか容易に想像がつこう。〇だが防大の学生という身分は、学ぶこと自体が「職業」である公務員である。(それが一般大学との差だ)それに任官後に拒否すればいいのだろうか。学費や給料の返還が嫌だから任官して数年して辞めるのはいいのだろうか、何年「年季奉公」をすれば許されるのか。むしろ中途で退職される方が自衛隊の負担は大きくなるだろう。】

などと訳知り顔で「解説」しているが、観点がずれている。防大は自分で書いているくせに普通の大学とは違うことを知らないのか!幹部自衛官の養成機関だ。

安倍元首相による「底意地の悪い露骨ないじめ」であるというに至っては、政治的偏見さえも感じられる。

4年間全額学費を国(納税者)に支払わせ、卒業と同時に学位(我々7期生のころはなかったから、いわば我々は‟高卒”の資格である)を与えられ、後ろめたくはないのだろうか??と逆に彼らが気にかかる。

彼らは旧海軍の五省

一、至誠に悖る勿かりしか

一、言行に恥づる勿かりしか

をどう考えているのか問いたいものである。つまり同期生だけではなく、納税者にどう言い訳する気なのか?。

 

しかし、世界は“動乱前夜”なのに、わが国は逆差別とも言うべき人権に守られ、利己主義が許されるいい国だな~とつくづく思う。

自ら銃を持って戦場に駆け付けているウクライナ国民は、こんな腰抜けどもをどう思うだろうか?

屁理屈は何とでも付けられるものだ。部外者であるジャーナリストの手を借りずとも、自ら堂々と“弁解”したらどうだ、と思う。

それにしても「政府」は”税金垂れ流し”でいいのかな~

私の防大生時代は「税金泥棒」「同世代の恥!」とまで某小説家にののしられたものだ。だが多くの仲間はそれに耐えて”職務”に邁進した。殉職者も多い。

だから私はこんなことも解決しないわが国を「放置国家」だと揶揄するのである。