軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

我が国のシーレーン・・・

我が国会は「老後資金2000万円…」と言う金融庁の説明不足問題で右往左往しているが、国際情勢はそんなことに構ってはいられない状況になりつつある。

ワシントン発共同電によると、【米紙ウォールストリート・ジャーナルは14日、安倍晋三首相のイラン訪問中に日本のタンカーが攻撃を受けたことに絡み「中東和平における初心者プレーヤーが痛みを伴う教訓を得た」との見出しで報じた。

 

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FNNプライムニュースから


トランプ米大統領が今回の訪問に謝意を示す一方、米国内に日本の中東外交への冷ややかな見方があることを示したと言える。

 同紙は、タンカー攻撃で緊張が高まる中東情勢を踏まえ「日本の指導者による41年ぶりの訪問を終え、米国とイランの対立関係は以前より不安定になった」と論評。「米イランの橋渡し」を目指した訪問と紹介したが、訪問の成果に関する言及はなかった】と報じた。

 

一方、エルサレム発時事電によると【イランとオマーンに挟まれたホルムズ海峡付近で13日に起きた日本のタンカーなど2隻に対する攻撃は、安倍晋三首相がイランを訪問し、最高指導者ハメネイ師と会談するタイミングに合わせるかのように実行された。イランとトランプ米政権の仲介を図る日本に対する何らかの警告のメッセージだった可能性もある】と報じたが、イランのザリフ外相はツイッターで【ハメネイ師の顔に泥を塗りかねない今回の攻撃は、保守強硬派の行為としては不自然な面がある】として、【イランでなければ、日本との関係を引き裂こうとする第三国・勢力の関与が疑われる。この場合も、イランと距離を置くよう促す日本への警告だったと考えられる】とツイートしたと言う。

肝心の安倍首相は共同会見で「前向きに話し合いがあった」と言っただけで内容は不明だが、ハメネイ師は「トランプを意見交換に値する人物とは考えない」と表明し、反米姿勢を鮮明にした。しかし、その意味も又不明である。

従ってこれだけでは「米国の対イラン制裁が緩和される見通しはなく、ホルムズ海峡やオマーン湾の緊張は今後も続きそうだ」とする時事の解説は当然だが、国際政治はそんなに単純に予測できるものじゃない。

蛇と出るか蛇と出るかは、今後の情勢を見極める必要があるが、我が外交能力が今回ほど試されている時はない。

今までの総理大臣は、訪米時に約束した「一千マイルシーレーン保護」を帰国後記者団に問い詰められて“反故”にしたり、「SS20」を知らなかった総理もいて、幼稚な外交で国民を失望させてきた総理が多々いたのだから、今回の安倍総理の初めてのイラン訪問の成果を性急に求めることもなかろう。

それよりも、わが国のシーレーンが、如何に脆弱なものであるかが国民の眼前に明瞭に映ったことの方が重大である。

飽食気味の国民は、既に日本のシーレーンの実態を忘れかかっているようだが、その生命線の真っただ中にある他国の領土を不法占拠して、軍事基地を造成している国がいることを忘れてならない。

この国の支配に危機感を持った香港市民が、頑強な抵抗をしたので【香港政府トップの林鄭月娥行政長官が、香港から中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正の延期を決めたと伝えた。林鄭氏が15日にも発表するとしている】と香港発共同電は伝えるに至ったのだ。

近隣にある台湾もそれ相応の態勢をとっているようだが、台湾は、国共内戦に敗れて逃げ込んできた国民党一派が武力で占拠した島なのであって、彼らを追い出せば本来の平和な島に戻るのである。

そんな不都合な中で、何よりも今までと異なっているのは、米国大使館が新たに建設され、海兵隊が守備しているという安心感がある事だろう。

香港島では、人民解放軍の戦車部隊が仮に進出してきたとしても、国際世論は中国政府の行動に否定的だから、逆に習近平主席がG20を欠席せざるを得なくなり、中国としては米中“経済”戦争でも、不利な立場に追い込まれかねない。

北京政府は困惑しているのではないか?

世の中、きな臭くなってきているのに、「新元号」に浮かれた日本人はどこを向いているのか不思議だが、沈滞してきた戦後日本外交の歪みを払拭する成果を、今回の国際的な”外交活動”に期待したいものである。

 

届いた本のご紹介

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盟友・黄文雄氏の新作である。島国出身の黄文雄氏ら台湾人と、大陸に毒された半島国家人とはこれほど差があると言う実例であるが、同じ島国の日本人としては、そんな”特殊性”がある国民に、何もこちらから手を指し延ばすことはないだろう。

昔、わが国はこの国に対して温情をかけたが故に痛い目にあったことを素直に反省すべき時だろう。

彼らの動きは丁度、おもちゃ売り場にしゃがみ込んでねだる“ガキ”同然に見える。

駄々をこねて泣いているからと言って、親が駆け寄って抱き上げることはない。そのまま無視していれば、いつの間にか泣き止んで戻ってくるはずだから、手をつないでやることも無かろう。

異邦人にやたら優しい、若い方々にご一読をお勧めしたい。