軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

トランプ大統領の“本音”

ブルームバーグ通信によると「トランプ氏が最近、日米安保条約をめぐり米国だけが日本の防衛義務を負っているのは不平等だとして、破棄に言及した。日米の同条約は日本が攻撃されれば米国は援助することを約束するが、米国が攻撃されても自衛隊は支援することを義務付けていないことから、不公平だ」というのである。

ブルームバーグは「事情に詳しい関係者3人からの話として、トランプ米大統領が側近との私的な会話の中で、日米安全保障条約は不公平だとみなしている」と伝えているから、恐らくこれがトランプ大統領の“本音”だろう。

早速菅義偉官房長官は、これらの報道に関し「米国の大統領府からも米政府の立場と相いれないと確認を受けている」と報道内容を否定し、同時に「条約に基づく日米安全保障体制は同盟の中核をなす」と強調した。

河野太郎外相も米国政府から報道内容を否定する連絡があったと述べ、明らかにした。「ホワイトハウスから『日米安保条約の破棄、見直しといったことは全く考えておらず、米国政府の立場とも全く相いれない』と報道を否定する話がきている」と述べた。

一方米国の政権当局者も「非現実的な話」と伝えており、米国側が破棄に向けた措置を取る用意はないという。

現下の国際情勢を見れば、勿論そうだし、そうあるべきだが、情報によると、トランプ大統領は、同盟国を含む他国との条約について、米国の負担を見直す広範な検討を行っていて、24日にはホルムズ海峡における米国軍の他国の輸送船の保護負担についても疑問を呈し、「自国の石油タンカーは自分で守るべき」と主張した。

この事件は「安保ただ乗り論」の象徴的出来事であったと言える。

日本のメディアは「トランプ大統領は2020年に控えた大統領選挙の最中であり、報道は、日米貿易交渉のカードとして取り上げた可能性もある」と軽視している?が、果たしてそうか?

生命線であるシーレーン防護に自国海軍を派遣する気もなく、全て“同盟国”におんぶにだっこなのだから、相手が如何に大国だといえ、疲労するに違いない!

何時も言うことだが、独立を回復した時点で、自らの防衛力を整備するため、押し付けられた憲法を破棄して、一旦帝国憲法に戻り、そして現状に適した新憲法を整備すべきであった。しかしそうして来なかったのだから、その後の政府・政治家らの罪は極めて重いと言わざるを得ない。

ある意味、彼等こそ真の”戦犯”だと言えよう。

 

今年の年初めに、産経新聞論説委員長の乾正人氏は、ある財界人の「平成は『敗北』の時代だったな」と言う発言を聞き、「年の初めに」の欄に「さらば『敗北』の時代よ」と題してこう書いている。

*平成31(2019)年1月1日

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そして『日米安保さえあれば大丈夫だ、と言う思考停止の時代は間もなく終わりを告げる。この国自らが厳しい選択をその都度迫られる新しき時代こそ、日本人は戦後の呪縛から解き放たれる、と信じたい』と結んだ。

トランプ大統領の“本音”記事はその鏑矢である。

政府関係者らは、自分に都合の良い解釈で誤魔化そうとしているだけだ。

 

次の記事は矢板明夫外信部長による「中国点描」欄だが、国が納税者たる自国民を外敵から守らないことを実例で示している。

平成31(2019)年2月20日

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頼りにしている国が、国民を見捨てる行為ほど怒り心頭に発することはない。

千葉県野田市で10歳の小学生が父に虐待されて死亡した事件で、裁判長は母親に「心愛ちゃんが頼るべきはあなたしかいなかったのに、母親のあなたが勇一郎被告に協力した責任はとても重い」と異例の説諭をしたと言うが、今や国に護ってもらえない日本国民は、どうしたらいいのだろうか?

 

話は変わるが、平成30(2018)年5月28日の産経新聞に、「米艦に突入したゼロ戦特攻隊員の氏名が分かった」として、最後が特定された西口徳次郎中尉の写真と突入時の映像が出ていた。出撃時23歳だった西口中尉は、昭和18年9月に13期海軍飛行予備学生となり、昭和20年4月29日午後2時42分に神雷特攻隊第9建武隊として鹿屋を出撃、午後5時34分に「われ敵艦に必中突入中」と打電し、米駆逐艦「ヘイゼルウッド」に見事突入した。

突入するまで機銃掃射をしていたことから本人である事が判明したと言う。もとより家に届けられたのは「名前が書かれた紙が入った箱」だけだった。

ご遺族は『いつも兄を思い出して[負けたらあかん]と自分を奮い立たせていた。最後が見られてよかった』と話したと言う。

平成30(2018)年5月28日

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平成は「敗北の時代」だったと財界人は言う。

では今年から始まった「令和の時代」はどうなるか?

大東亜戦争で散華した英霊方のことを、ご遺族以外の日本人のほとんどが気にも留めていないようだが、戦地では現地の方々が供養してくれているという。次の「声」欄を見るがいい。

平成30(2018)年12月25日

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日本人は、何か人生で大切なものを見失っているのではないか?

何時からこんな「ヤワな民族」に落ちぶれたのだろう?

資本主義だと称しているが、財界人らは「拝金主義」に陥ってはいないか?

最近のニュースを見ていると、特にそう思われてならない。