軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

バイオテロ、直接侵略に対応できるのか?

連日「コロナコロナ」で国民は食傷気味だが、問題は正確な情報がもたらされず、専門家と称する人の“個人的意見”がTVなどで垂れ流されていることだろう。

私が注目しているのは“信頼性に欠ける”とはいえ、中国政府が公表する数字だが、それによると「死者は9日時点で97人増え908人、感染者は3062人増の4万0171人に達した」という数字である。

北京政府が世界に発信している情報という点でが眉唾物だが、現時点でほかに頼れるものがないからだ。マスクやアルコールが品切れだ!などという話題はどうでもよい。しかもマスク生産の8割が中国製だというから漫画である。

その昔、「CBW兵器とその使用の影響」という国連事務総長報告が公表されたが、そこには「細菌剤が戦争兵器として使用された軍事的経験はこれまでない」とされていた。せいぜいギリシャ戦争で敵の井戸に細菌を投げ込んだとか、インディアンを絶滅しようという指揮官が、毛布にペスト菌を塗り込み、宿営地に運び込ませたとか、その程度の“戦歴”だったが、化学剤となるとWWIでドイツ軍が使用した悲劇がある。その後各国はそれに対処するために化学剤を研究開発していたが、最近では遺伝子組み換え技術が進化したため、ウイルスの遺伝子組み換え技術、特にがん撲滅の研究分野の研究が盛んになっている。つまり、この技術を応用すれば人工的に抗ウイルス剤の利かない、人類が全く免疫を持たないウイルスの開発が可能だといわれてきた。

勿論、テロ目的の開発は禁止されているが、強制措置が伴わないものには必ず違反するものが出てくるのは世界の常識である。だから今回も、兵器としての開発というより、抗がん剤開発目的で開発していたものが、“手違い”で漏洩することもあり得るだろう。何よりも、「新兵器」を開発したら「試したくなる」ものだ。とりわけ中国の研究者にはその傾向が強く、クローン技術も勝手に続けている。何よりも“倫

理”という観念がこの国民には欠落しているからだ。

 

それに関連しているかどうかわからないが、「大紀元日本」に次のような記事が出た。

【中国軍の生物化学兵器防衛の最高責任者である陳薇(54)少将が、最近、武漢のP4ウイルス研究所の責任者を引き継いだと報じられている。公式発表はない。

中国軍機関紙・解放軍報は1月31日、陳薇少将が湖北省武漢市に入り、市の新型コロナウイルスによる肺炎の防疫対策に当たっていると報道した。

ポータルサイト微博豆瓣2月7日によると、陳薇少将は10日以上武漢に滞在している。陳少将は、中国の生物化学兵器防衛の第一人者で、軍事医学科学院生物工学研究所の所長。陳氏はまた、SARS期間中に専用の防疫スプレーを発明し、1万4000人の臨床医療従事者の感染を回避させたという。

さらに、陳氏はエボラウイルスと炭そ菌の治療において「顕著な成果を上げた」と軍広報紙は伝えている。

武漢発の新型コロナウイルスの発生以来、中国科学院武漢国家生物安全実験室、通称武漢P4実験室(バイオセーフティーレベル4研究所)は、特別な注目を集めている。同研究所は、ウイルスの発源地とされる海鮮市場から約30キロ余りの地点に位置する。一部の医学論文では、コウモリ由来のコロナウイルスを研究する科学者が、人体に適応するように遺伝子操作されていると指摘した。

武漢ウイルス研究所の石正麗氏は2月2日、ソーシャルサイト微信で、「新型コロナウイルスは実験室と無関係であることを命をかけて保障する」と書き込んだ。

しかし、武漢P4研究所は、2018年ネイチャー誌の研究報告をはじめ、ウイルス漏えい事例が報告されていることから、管理姿勢がずさんであると問題視されている。中国のソーシャルサイトには、匿名の人物が「実験用動物をペットとして転売したり、死体処理が不適切だ」と告発している】

 

 

今回の件では、日本政府の判断は非常に甘すぎる!コロナウイルスごときでこの体たらく。これで直接侵略に対応できるのか!

それもこれも政治家にも国民にも「軍事的素養が欠落している」からだ。

ところで「NEWSポスト」に米軍関係者が「日本は甘すぎる」と苦言を呈しているそうだから、参考まで概要を引用しておこう。

新型コロナウイルスが蔓延する湖北省武漢から政府チャーター機で人々が帰国する中、政府の対応のまずさがあらわになっている。検査を拒否した帰国者を帰宅させてしまい、用意した施設は個室が足りず、相部屋になった人の中から感染者が出てしまったり…

「あの対応は隔離の定義から外れている。隔離は個々別々が基本中の基本。日本の政府も行政も隔離の定義が甘すぎる」

「政府も行政もなっていない。米国は飛行機を降りた後、そのまま家に帰すことはない。体調が悪くても自己申告しないやつもいるからだ。アメリカは広いから、1回外に出してしまえば取り返しがつかなくなる。だから発症していない人でも最低2週間は隔離する。抵抗力が強い人も弱い人もいる。発症するかどうか見極めるには、それぐらいの期間が必要だ」

「施設を提供したのはいいが、風評被害などその後はどうするのか。関係者のメンタル的な問題やPTSDの可能性もある。そういうリスクまで日本政府は考えたのかどうか」

「基地内に収容施設を置けば、後日発生するだろうこの手のリスクは回避できる。・・・日本ではチャーター機の旅費8万円を個人負担することが報じられて世論が騒ぎ、結果的に首相が国側が負担すると発言したが、米国では搭乗者にエコノミーのチケット代を請求するのが当然だ」

「日本人は甘えている。彼らは中国に勝手に行ったんだ、会社なら営利目的で行っており、費用は会社が負担する。旅行客は遊びに行っただけだ。彼らは政府や軍からの命令で武漢にいたわけではない。自費負担は当然だ」

 医療のレベルや衛生面での意識が高い日本で、新型肺炎が中国のように猛威をふるい死者が増えることはないだろうと米軍関係者は語る。だが彼はこうも示唆した。

「日本は米国と違い人口密度が高い国だ。感染が広がってしまうと、その確率は高くなる。感染拡大、パンデミック対策に必要なのは最悪のケースを想定することで、段階的に警戒レベルを上げるような計画ではない」

国民には耳が痛いが、当事者である政府関係者にはいかが聞こえるだろうか?