軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

尖閣接近。海警上陸阻止に危害射撃!?

今頃何を言っているのだろう?自国の領土に侵攻された場合には、「竹槍」でも阻止するのが国民としての自覚であり使命だろう。

2月26日の産経新聞1面トップの「政府見解=現行法で可能」と言う記事を見て慄然とした国民はいなかったのだろうか? そ~か、新聞は読んでいないから知らないか! 掲載しておくから御覧あれ!

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そういえば97年2月3日の朝6時半頃に20人以上の中国人密航者が鹿児島県下甑島に上陸、島民は恐怖を感じて自衛隊(レーダーサイトの隊員)に出動を要請したので、隊員30名が「野外訓練」と称して出動したら、「自衛隊が捜索活動に参加した」としてメディアが問題にして、当時の指揮官が首になりそうになったことがあったことを思い出す。

 

地上では警察が頑張っているから主役は警察だろうが、空中では空自は一手に防空を任されているから、1987年(昭和62年)12月9日に沖縄本島上空および沖永良部島・徳之島の上空を領空侵犯したソビエト空軍のTu-16偵察機に対してスクランブルしたことがある。パイロットは昆康弘2尉(当時)だったと思うが、気丈な彼は定められた規則通りに「自衛隊史上初となる実弾警告射撃」を行った

その後彼はF15に転換して小松基地に異動、88年6月29日に空中戦訓練中に小松沖で殉職した。

この時は「領空侵犯」に対する外務省の抗議によって、あの!ソ連が当該操縦者を飛行停止にしたと通告してきたことがあった。罪を認めたのである。

本当に処分したのかどうかは不明だが、この時は「外交戦」に一応勝利したといえる。

そのご平成8年10月に、台湾の国民党軍OB達が、「尖閣は台湾のものだ!」と息まいて、ヘリコプターで尖閣に着上陸して建造物を破壊する、と宣言した。当時は私が”責任者”だったから、三沢基地からE-2Cを5機呼び寄せ、ファントムで空中哨戒させる厳戒態勢を取った。当時の私の腹案は味方レーダー覆域と台湾空軍のレーダー覆域、それに(稼動していればの話だが)中国人民解放軍レーダーの覆域が重複する地点にSAP(空中哨戒)ポイントを設定、つまり、台湾空軍のみならず、大陸空軍へ「寄らば斬るぞ!」と「警告」したのである。従って、E-2Cには極力高度をとらせ、3方面のレーダーから捉えられることを狙った。

 こうして特に一九日から二一日までの三日間は、E-2Cは15回出動し、F-4は46回出動した。

幸い当時の李登輝総統が「ヘリの尖閣への飛行を許可しない」と発言したので、彼らの行為はしりすぼみになって沈静化したが、時の橋本龍太郎総理は、私に「武器は使うな!」と厳命した。そんな総理だから「敵」になめられるのだ。

ファントムはバルカン砲と、空対空ミサイルを搭載している。主権を守る為には武器は当然使う必要があるが、ハニートラップに引っかかった?総理は「相手を刺激するのが」嫌だったのだろう。

この時の経過は、退官後産経に公表されている。

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後輩の評論家である潮匡人君は、2月14日の産経に「緊急事態自分が良けりゃ、それでいい…」という一文を寄稿しているが、最後に「『専守防衛』と称するエゴイズム」と次のように結んでいる。

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それにしても戦後育ったお人よし?日本国民は救いがたいと思う。潮君が言うように「天罰」が下りそうな機運がますます強く感じられる…そうならないと目が覚めないのだろう・・・