軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

海上警備行動は”不審船限り”に適用?

尖閣に不穏な空気が漂うと、「上陸阻止に危害射撃を加えることは現行でも可能」だと政府は強がりを言うが、現場に対して実行せよ!とは指示しない。

可能だが一応政府の了解を得てから」と言うのだろうから、単なる「自己満足」に過ぎまい。”敵”はとっくの昔にそのからくりを見抜いているぞ!

平成11年3月に、日本海に逃げた”不審船”を海保が追跡し、不審船近くの海面に向けて46年ぶりの威嚇射撃を実施したが逃げられた。

そこで政府は海自に「海上警備行動」を発令してP3Cなどで追跡させたが、停船命令を無視して逃走した。そしてロシアの防空識別圏に近づいているとのある幕僚長の進言で追跡をやめたので、まんまと逃走を許したことがあったが、その後ロシアの警備担当司令官は日本側の追跡を「黙認」する気でいたという。

当時海上を逃走する漁船を追跡するのに、なぜ「防空識別圏」が適用されるのか?と疑問を持ったが、政府は「引き際」を模索していたのでこれ幸いと‟進言”を採用したのだ、と後で聞いたが納得できなかった。

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平成13年12月に「九州南西海域不審船事件」が発生したが、不審船を海底 から引き上げてみた結果、北朝鮮工作船であることが判明したので、「九州南西海域工作船事件」と称されている。

この時は在日米軍の情報により海自機が喜界が島近辺海域で発見したものだが、この時も不審船は逃走を続け、排他的経済水域日中中間線を超えてなおも西進を続けたので威嚇射撃を実施したが不審船はいずれも無視した。そこで「船首を撃つから船首から離れろ」と警告した後射撃を行ったが、この際、発射された曳光弾が船首の甲板上に備蓄されていた予備燃料のドラム缶に命中したため火災が発生、これで不審船はようやく停船したが、その後抵抗した後自爆して沈没した事件である。

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時事ドットコムから)

有名な事件だから政府関係者はよもやお忘れじゃないだろうが、この時も武器使用に「及び腰」であったものの、相手が自爆したから証拠をつかむため不審船を引き揚げた。そして強力な”武装船”であったことが判明したので世論は緊張したものである。

 

しかしあれから既に20年余、領海警備の必要性は元の木阿弥状態に戻った感がある。それとも相手が「北朝鮮」だと実弾射撃をするが、人民解放軍もどきだと”躊躇”するとでもいうのだろうか? 対中行動は親中派議員の顔色で決まるのだとしたら、彼らは国会議員の姿をした「工作員」と言うべきかもしれない。

事程左様に、この国の政治家には勇気がない。飲み屋の女性たちの前では‟強がる姿?”を見せるのだろうが、そんなものは「内弁慶」のしぐさに過ぎず「真勇」とは言わない。

 

3月1日の産経新聞の「美しき勁き国へ」の欄に櫻井よしこ女史が尖閣防衛攻めに転じよ」と書いた。

そして「我が国の年来の受け身外交では眼前の安全保障の危機は乗り越えられない。あらゆる意味でわが国は攻めの姿勢に転じる必要がある。憲法改正を含めて、国家としての自立体制確立を原点とし、前向きの攻めの姿勢をとる時だ。菅首相よ、そのことを国民に語りかけよ。他国に頼りきりの国家の在り方の異常を、国民に向かって説け」と菅首相を叱咤して締めくくった。

森元首相からはいささか不適切な表現をされた感があるこの国の女性たち(一部の白服議員は除く)には芯が通っていて頼もしい。

男性たちよ、少しは桜井女史を”見習ったら”どうか?と思うのだが、戦後、玉抜きにされた男どもが頼りないのは「軍事訓練」抜きで育ったからだろう。

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今月の雑誌「正論」には「軍事忌避の異常」として特集が組まれているが、戦わない?戦えない?男どもがどうして生まれてきたか?に関してその一端が解説されている。

これじゃあシナのみならず、弱小国からも身勝手ないいがかりをつけられても「反論」も「反抗」もできないのは当然だというべきか!

まず自分は男だ!と言う自覚を持つことから始める必要がありそうだが、とにかく現状の”男社会”を見る限りでは頼りない国になり下がったものだ。情けなくて涙が出そうだから、今後は、ストレス回避のため、軍事評論よりも宇宙や精神世界に目を向けようかと思う。まもなく3・11から10年を迎えることだし・・・