軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

便利なものほど‟不便だ”と知れ!

 いきなり尾籠な話だが、ベトナム戦争時代に、米軍兵士は「トイレットペーパー」の不足に悩んだという。トイレットペーパー専用の輸送船もあったという。

 これを聞いた旧軍の先輩が、「さすがは物資豊富な国の軍隊は違う!」と呆れ、「便利なものがないとさぞ“不便”だろうな」と笑ったことがある。

 わが軍は「トイレットペーパーを戦場に輸送する手段もなかった」からだろう。

 防大の学生時代に富士の裾野で何度も演習をやらされたが、掘った穴に板を渡した筵囲いの“簡易便所”があっただけで、いっぱいになれば土をかぶせて次の穴に移動したものだ。確かわずかな古新聞氏があっただけだったように思う。  

 ちなみに戦場における日本軍兵士の排泄物の量は多量すぎたので、偵察した米軍斥候は「日本軍の部隊数を過大に報告」した例もあった。

 この土曜日から、携帯電話(メールも含む)が通じず、障害が起きていることを知らなかった私は、訪問先と連絡が取れず、電話機が古いから故障したのか?と気にしつつ先方に向かっていたが、相手も私と連絡がつかないので心配していた。何しろ「孤独老人」だから、連絡が取れないということは、寝たきりか、事故で動けないのか?と気をもんだようだが、無事に車が付くと一安心して駆け寄ってくれた。

 そのご原因がKDDIの電波障害だと分かったが、何かのテロか、外国からの妨害か?と考えたものだ。

 

 この“事件”を伝えるTVでは、青年たちが「公衆電話機の使い方も知らない」と話題になっていたが、そりゃそうだろう。事実「固定電話機」を手放した家庭も多いのじゃないか?私はFAX専用に残しているのだが…

 冗談抜きに、携帯電話を互いの「生存確認」に使用しているような家族にとっては、大いに気をもんだことだろう。

 私もやがてそうなるのだから、電話会社にはしっかりしてもらわねばならぬ。

 しかし、便利だからすべてがインターネット化した今の社会では、銀行がよくこの手の事故を引き起こして、幹部社員が“記者団”を前に、平身低頭することが多い。ところがその要である電力もひっ迫していて「政府が節電をお願い」している有様だから話にならぬ。

 どこかわが国の政治はおかしい。異常気象のせいだけではあるまい。誰かの影響で?便利さ追求にしのぎをけづっているからだろう。とにかく「儲からないものは切り捨てる」という“骨太の”政治?が「すべてをぶっ壊して」緊急事態に役に立たない社会を作り出しているようだ。しかしそんなとき、言い出しっぺである「責任者」は知らぬ顔をして平然としている。変な社会になったものだ。今更「ぽつんと一軒家」の主のような「自給自足」の生活には戻れないから、復旧するまでじっと耐えるしかない。ところが政府は「老人がいる家庭ではエアコンを切らないように」と指導する。

 実直で「欲しがりません、勝つまでは」を耐え抜いてきた律儀な老人方はそうはいかない。今回の電話網障害で、どれくらいの老人が死亡し、あるいは病状が悪化したものやら…。

 選挙前で都合が悪いからか、そんな実態は公表するまい。こうして正直者が損をする社会が増えていく。

 小泉とかいう元政治家さん、「民営化」の実害がはっきりしたのじゃないか?親子そろって「環境悪化」に取り組んであるようだが、その上「原発をなくす」と息巻いている。原子爆弾じゃあるまいに、緊急事態対処用として一時的にでも稼働させたらどうだろう?しかしあの頭じゃ”融通”はきくまい。

 

 話は変わるが、内容は同じ。熱海伊豆山の土石流災害もそうだ。

 市も県も、皆相手が悪いと責任を放棄しなすりあいをしている。とにかく「責任」を取らない官公庁や役所が増えすぎた。一定の給料をもらっているから、それを失いないたくないのだろう。やるべき「公務」もやらない癖に、責任を問われると皆逃げる。これこそ昔防大時代に叫ばれた「税金泥棒」の典型じゃないか!

 肝心な市民の「個人情報」を扱いながら、なあなあで、業者に委託し、その業者がメモリーを紛失する。しかも彼は飲みすぎで路上に寝ていたというのだからだらしない。

コロナの補助金を一青年に桁違いに送付してしまいながら、役所は自分たちのミスは棚に上げて青年をとっちめる。

まあ、ネット賭博にハマっていた青年も青年だが、この国の公僕たちはどこまで無責任で、公に奉仕するという任務を忘れて、底なしのドロ沼化したのだろう。これじゃ「“痴呆”公務員だ」といわれても仕方あるまい。

 

 こんな国柄に落ちぶれたのだから、それを知ったロシアとシナがウロチョロと隙を狙っていることも理解できる。

 とにかく「危機管理能力」がこれほど低下した国は、彼らにとっては格好の獲物に違いないから。

 国民もこれを契機に「便利は不便」といった大先輩の言葉をかみしめるがよかろう。

 靖国の英霊方の“嘆き節”が聞こえてくる。