軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

暗雲漂う日本の航空、宇宙産業界

大方の国民が期待していたJAXAの最新ロケットH3初号機は、2月17日に、電源系統の異常を検知して補助の固体ロケットブースターの着火が出来なかったため、中止されたが、今回は発射されたものの何らかのトラブルがあって2段目エンジンに着火せず指令破壊され、打ち上げ失敗に終わった。 

2月17日にも発射直前に中止して一端整備塔に格納され整備されたが、JAXAは異常を解消できたとして今回の発射に臨んでいたのだから、今回の失敗は大変残念だったろう。そこにはエリート集団だとはいえ、人知を超えた何かがあったのだろう。

7日のロイター電は【7日の東京株式市場で、三菱重工業が急落し、2%超安で推移している。宇宙航空研究開発機構JAXA)と共同開発している新型ロケット「H3」初号機が発射されたが、その後、第2エンジンの点火が確認されず、指令破壊信号が送信されたと伝わり、売りが先行した】と、ロケットの組み立てなどを担う三菱重工業の株価が下落したことを報じた。

一応技術畑出身?の私にすれば、このような場合には原因追求が第一なのだが、巷ではそうはいかないのだろう。「損したのはJAXA(企業)のせいだ」ということになるのだろうか?…

「先進光学衛星「だいち3号」を搭載し、打ち上げられた新型ロケット「H3」1号機=7日午前10時38分、鹿児島・種子島宇宙センター© 時事通信 提供」

 

しかし三菱重工と言えば、かってはゼロ戦戦艦武蔵を建造した、我が国軍需産業のトップであり、戦後の長い技術的空白と「軍事を忌避」する政治的制約がもたらしのではないか?と私などは考える。

そういえば、これまた航空ファンが期待した、MRJもついに日の目を見ることなく消えていったから、なんとなく「その関連性?」が気にかかる。

MRJ90(現: SpaceJet M90ウィキから

私は戦後の戦闘機乗りとして、航空自衛隊では三菱のライセンス生産ではあったがF86Fに長い間お世話になり、その後永らくF104などの生産を手掛けてきた三菱を応援してきたものだ。「国産」戦闘機と鳴り物入りで開発したT2高等練習機の改造型のF1支援戦闘機にも乗ったが、その前に、飛行隊長として米国製のF4EJファントムに乗っていたせいか、あまりにもパワーが違いすぎ、その”華奢な”形態から旋回性能が鈍く、貴重な(数少ない)我がパイロットを、終戦直前のように「マリアナ七面鳥狩り」に”劣勢機”で差し出す気か!と憤ったほどであったが、その後のFSX(F2)の基礎研究的存在だったから、その責任は「政治にある」と納得していたものだ。尤もこれだって”政治的駆け引き”で、F16もどきの機体にされてしまったが・・・

しかし今回のH3ロケット打ち上げ失敗と、MRJからの撤退とが時期的に重なったので、三菱重工社内に何かしらの“隙”が生じているのではないか?思わざるを得ない。

これでわが国の宇宙事業は数年?以上遅れを取ることになる。

マ、政府が航空自衛隊の看板を「航空宇宙自衛隊」と改名したのがよかったのかどうなのか?

自衛隊は「研究機関」ではなく「実行機関」であるから万一の時に「失敗は許されない」のだから看板に負けないように頑張ってほしいが、どうなのだろう?