軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

「拉致事件」が動き出した!

WBC優勝ムードが消えやらぬ中、26年間も放置されてきた、北朝鮮による「拉致事件」が大きく動き出した。大阪市のラーメン店員だった原さん失踪事件で、警視庁公安部が、ラーメン店の経営者で「在日朝鮮人の男(74)が、犯行を手引きしたとして、(辛光洙容疑者と)共犯の容疑で、自宅や店、男が理事長を務めた在日本朝鮮人総連合会傘下の大阪府商工会など6箇所を捜索」したという。
今更・・・という気がしないでもないが、正義を追求する公安部の姿には大いに共感する。
昭和60年頃、この事件について、産経新聞などが、日本国内のスパイ網の動きなどとともに、大々的に報じた事があったが、なぜかその後尻すぼみになり、消えていった。
北朝鮮で不法にも拿捕された富士丸の船長達のことも、何か、船長達のほうが「北朝鮮の脱走兵」を運んだかのように扱われ、北朝鮮の「裁判」で15年の刑が確定した、と報じられても、国は全く手を出す気配がなかった。その後、北朝鮮と極めて親密な関係にあった自民党の政治家と、社会党の政治家が、二人揃って北朝鮮を訪問して、金日成将軍様」にお許しを乞い、船長達は“解放”されたものの、帰国後は彼らは勿論、家族達にも厳しい緘口令が敷かれ続け、一連の経過は「なぞ」とされてきた。
これが「人権を尊重する自由な民主主義国家・日本」の実態であった。だからこれら政界の「ドン」達が存命の間は、公安も動けなかったといわれている。当時からの国家公安委員長や其の系列を調べてみるといい。
更に、横田めぐみさんの拉致が濃厚になり、有本恵子さんが北朝鮮に連れ去られた事が判明し、家族達が救援を求めて各政党に懇願したとき、最も冷血で非人道的態度をとったのが、当時土井たか子氏が率いる社会党だった。今、インターネット上で彼女の実名や出身など、其の背景に関する真贋合わさった情報が乱れ飛んでいるが、最大公約数をとってみても、彼女と「当時の社会党」が北朝鮮と密接な関係にあったことが覗える。極言すれば「日本の政党」としての資格が疑われる?存在だったともいえる。
そんな奇妙で不可思議な事が、「民主主義」政治というだけで、どうして今まで放置されてきたのだろうか?社会正義はどこに吹き飛んでしまったのだろう?というのが、「事に臨んでは身の危険を顧みず任務を遂行する」と誓って制服を着た私たち自衛官には不思議でならなかった。同じ「制服組」である警察の友人に聞いたのだが、彼らが「やる気」をなくしたのは、同僚が命を懸けて捕まえた赤軍派の凶悪犯人達を、当時の首相が「人間の命は地球より重い」という“迷言”を吐いて「盗人に追い銭そのまま」釈放した、有名なダッカのハイジャック事件だったというから十分に理解できる。
我々自衛官も、某社の新聞記者が、勝手に幕僚室に“侵入”して演習「秘」文書を盗み出し、当時の社会党代議士と共謀して、国会で「シビリアンコントロール」問題として取り上げて政府を追及した、いわゆる「三矢事件」以降、真剣に国を守る研究や計画なんぞ、ばかばかしくてやってはおれない、という機運が蔓延し、「サラリーマン自衛官」が増加した、と私は分析している。
そう仮定すれば、この「拉致問題」が、全く信じられないことに30年近くも「放置」されてきたのは、その間のわが国の政治の「裏社会」が深く関与しているように思えてならなかった。
官僚の一部の不祥事が続いたので、役人全部がマスコミなどから非難されている感があるが、勿論、まじめな官僚のほうが多いのである。特に国家の屋台骨は、最終的には軍事と法の運用にある。“新憲法”の制約下にある自衛隊という“軍事”の実態はともかく、法治国家である以上、法の番人たちが「崩れ」た時は取り返しがつかなくなる。それは警察官であり、裁判官に代表される法務関係者達の愛国心と正義感である。
今朝の報道を見て、26年間「やり場のない怒り」を胸に秘めて、こつこつと地道な捜査を継続していた「正義感溢れる、頼れる法の番人たち」がいた事を知った。
荒川選手の素直な愛国心WBCで燃えた愛国心、そして今回の「諸悪を許さないとする」警視庁公安部関係者の勇気ある決断に敬意を表する。是非とも、次世代を受け継ぐ「若者たち」に、私たちが子供の頃に憧れた正義の味方「鞍馬天狗」のように「最後には正義が勝つ!」という社会正義を示してやって欲しいと思う。

****史料調査会「4月の研究会」のご案内****

日時:18年4月20日(木)1330〜1600
場所:渋谷区神宮前1−5−3  (財)水交会(TEL:03-3403-1491)
議題:1.日本と中東・・・・・中東調査会上席研究員  大野元裕
   2.世界軍事情勢のブリーフィング・・・史料調査会会長   田尻正司
会費:1500円(資料代、珈琲代)
申し込み:史料調査会(TEL:03-3441-5330)・・・締め切り4月17日