軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

健康第一!

 安倍総理が入院先で記者会見し、体調悪化で辞任したことを陳謝した。映像を見ていた限りでは、相当体力を消耗し、連日の点滴、栄養補給中なのだろう。それにしても脱水症状はひどかったらしく、投薬のせいもあってか40回近くも唇を舌で潤していた。
 私も三沢基地司令時代に、連続14日の宴会続きで、ダウンしたことがある。中央から連日のお客様で、司令官や基地司令の出席は必須だから、無理して出かけたものだが、7日目に体調がおかしくなった。幸いにも、14日連続の予定が途中で一回分キャンセルになったので一息ついたが、その翌日帰宅して入浴した後意識を失った。
 恒例?の夕食会で飲み、続く2次会で歌わされ、下手すると3次会・・・。帰宅は深夜になるが、職務上?断れない。しかも単身赴任だから、帰宅しても誰も出迎えてはくれないから、全部自分で始末する。
 風呂を沸かし、入浴後に身体を拭いていたとき気分が悪くなり、そのまま気を失った。どのくらい経ったのか分からないが、身体が冷えてきて目が覚めた。ところが開けた目に入った「風景」は今まで見たこともない情景だった。
 異様な白壁が天に延び、何か工場の機械がそれを支えている!何とか起き上がろうとするが、腕が動かない。やっと正気を取り戻すと、自分が実に絶妙な倒れ方をしたことが分かった。気分が悪くなってそのまま倒れていたら、風呂場の上がり口のタイルの床に、もろに後頭部を打ち付けて重傷だったろう。
 足腰から力が抜けて?順に崩れたからだと思うのだが、奇跡的に体を“ひねりながら”くずおれて、洗濯機と壁の間に倒れこんだのである。目に入った「天に延びる白壁」は洗濯機の側面で、「工場の機械」は洗面器の裏側であった!
 幸いなことに打撲もなく、身体が冷え切ったのでその後風邪を引いたくらいで収まったが、一番気になったことは、そのまま逝ってしまっていたら、全裸だったことである。こんな情けないことはない!翌日出勤時に迎えに来た副官に発見されていたら・・・と思うとぞっとしたものである。

 朝の会議終了後三沢病院で診察を受けたが、脱水症状がひどく治療のため点滴を受けた。皆が心配してくれて恐縮の極みだったが、それでも私の副官室では、常々私の健康状態を気にしていてくれたから助かった。私には空中戦のやりすぎで、椎間板ヘルニアという「名誉の負傷」がある。これが季節の変わり目には必ずぎっくり腰となって表れたから、私が「傷痍軍人」であることを部下達は心得ていたからである。しかし、このときだけは「単身赴任」の抱える盲点であった。
 私の指導方針は「任務第一」「健康第一」「修養第一」であったが、この日から当分「健康第一」を一番に掲げたものである。沖縄では、ほとんどの幹部は単身であったから、それに「家庭第一」を追加した。

 安倍総理周辺の、健康管理体制はどうなっていたのであろうか?と気にかかる。
 万一、我が国が核保有国であったら、こんな空白事態は国家そのものの危機であったに違いない。国家危機管理体制の充実を叫ぶ意味がそこにあるのだが、さて、福田内閣ではどうなることか。

 ミャンマーの暴動が危惧される。シリア空爆を実行したイスラエルは、「イランの核・ミサイル施設を空爆する可能性」があるとニューズウイーク誌が伝えている。産経によると「イスラエル政府筋は、イランがウラン濃縮活動の年内停止に応じない場合、『2008年は行動を取る年となる』と警告した」という。私が案じる2008年危機に更に一つ加わった!
 シリア攻撃、イラン空爆計画などは、北朝鮮の核開発と連携しているから、27日にはじまる6者協議と、来月早々に始まる朝鮮半島南北首脳会談、その後の中国の第17回全人代にどんな影響を及ぼすか、我が国としては、全てが『金で解決できない問題』であるが故に、冷静な監視と分析が大事になろう。

 ところで、今朝の産経新聞第3面に、著書『反転』の筆者・田中森一誌のインタビュー記事が大きく出ていたので驚いた。『伝説の鬼検事』田中森一氏:「検察は謙虚になるべきだ」「真の『正義』とは」と見出しにあるが、今何故この記事が掲載されたか、大いに関心がある。
 国内の諸問題については『WiLL11月号』が特集している記事が面白い。
 何はともあれ、孤独な最高責任者は、健康管理を怠ってはならないと思う。「若い」安倍氏は、若いと自覚したこと、周辺がそう捉えた事、そしてご自身が若さを売り出したが故に「弱音を吐けない」と無理をしたことがたたったのだと思う。まだまだ先はある。十分充電して、健康を取り戻し、再起を図ってもらいたい。

 私はこれから「老骨に鞭打って?」仲間と共に94歳の門脇王を訪ね、終戦前後の大陸の情況などに関するお話を伺ってくる。門脇翁の前に座ると、年齢や健康問題について語れる資格はないのだが、この際健康管理の秘訣も伺ってみたいと思っている。

反転―闇社会の守護神と呼ばれて

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