軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

「10代の声」に微かな希望!

 ミニコミ紙から依頼された原稿17枚を書き上げた。タイトルは「仏作って魂入れず・・・戦えぬ武力集団の悲哀」としたが、過去の自衛隊に関する報道などを点検しつつ、現在の防衛庁自衛隊の問題点を分析したのだが、何と無く「この国は長くはない」と悲観的になった。
 周辺情勢を列挙するだけでも「この国はやばい!」と感じる昨今だが、そう思っている読者も多いように感じる。
「不安定の弧」の動きはますます危険状態に近づいていて、中近東諸国、イスラエルの状況は非常に気になる。中国の膨張主義からも目を離せない。中国国内も決して安定しているとは言いがたく、全人代では北京五輪の「最大の不安定要素はチベットのダライ・ラマ集団だ」と同地区幹部が記者会見で発言したという。
 過去の日中安保対話での「台湾問題」でも、「台湾・・」という表現が次第に「陳水扁一派と台湾独立派」となり“攻撃目標”が明白になったが、今回は彼らにとって、周辺の少数民族に潜む危機に対する“攻撃目標”も明白にされたことになる。
 そんな中国内では、上海住民がリニア反対で「決起」したという。米国下院もダルフール抑圧に抗議して、米国政府職員の五輪参加を禁止する法案を提出する動きがあるという。インフレとバブル崩壊も危険水域に達しているらしいから、中国の今後の動きからは目が離せない。
 インターネット情報には、日本で起きた「毒入りギョーザ事件」の報告が、胡錦濤主席に届いていなかったらしく、主席が激怒したというから、4月の訪日が5月以降にずれ込むという報道の裏には、こんな問題があるのではないか? ギョーザ問題の解決を抜きにして来日したら、日本国民からブーイングが起きることは必至で、福田首相が大好きな「日中友好」が裏目に出ることは確実だから、胡錦濤主席訪日は「大失敗」になり、江沢民主席訪日の轍を踏むことになる。そうなれば政権維持もおぼつかなくなるから、五輪どころではなくなるだろう。
 今月22日には、台湾総統選挙が行われるが、この結果も注目に値する。台湾は「熟し柿」のように手に入ると中国政府は予想しているようだが、その結果台湾国内で何が起きるかは予断を許さない。これも見届けるとすれば、訪日は5月以降にずれ込むのは自然であろう。
 福田首相のスケジュールの都合で・・・などという理由はありえない。自分の都合を相手に押し付けるのがこの国の外交の基本にある。
 ロシアのプーチン体制にも動きがあったがこれまた油断できない。英国は、ロシアのスパイ事件が絡んでいて、ロシアとは犬猿の仲になり、戦略上、ロシアの背後の中国と手を結ぼうとしている。そして中国の積極的な外交の成果もあり、フランスと共に対中態度を軟化している。
 米国は大統領選挙一色、よほどのことがない限り動きはしないだろう。
 こんな国際情勢をポーラ図法で読めば、孤立しているのは日本だけだが、その日本では「日銀総裁」の後継問題で国会は空転、駄々っ子たちが視野狭窄症に陥って、世界情勢を見抜けないでいる。
 ところが、そんなこんなで「この国は長くはない!」と悲観的になっていた私の目に、嬉しくなる“意見”が飛び込んだ。8日土曜日の産経新聞「談話室」の「10代の声」である。
 大阪府の高校生・浜根都香紗さん(18)は、「甘えをなくし輝く社会人に」と決意を書き、東京都の中学生・布施伸之君(13)は「厳しさない教育では国滅ぶ」と次のように書いた。短いので全文転載しておこう。

「今、日本では大人も子供もルールを守れない人が増えているような気がします。授業中にガムをかんだり、遊んだりする中学生も一部にいるそうですが、なぜこうなったのでしょう。「ちょっとぐらいいいだろう」と自分に甘く、自分を律することが出来ない人が増えているからだと思いますが、その原因は、今の日本の甘い教育にあるのではないでしょうか。学校や教師に厳しさがないから、厳しさに慣れていないわがままな子供は注意されただけで簡単にキレてしまうのです。このままだと、学校も社会もまとまりがつかなくなり、やがて日本は崩壊する危険さえあると思います。
 人間にとって最も大事なのは教育です。教師や大人が、子供達への接し方を変えるだけで、生徒も学校も変わると思います。その積み重ねこそ、誰もがルールを守る、すばらしい国になる道だとおもいます。」

 今朝のテレビでは、高校校長が昔“付き合っていた”教え子の女性に脅迫くメールを送って逮捕された、と報じられていたが、こんな薄汚い教師たちがいる「学園」に、浜根都さんや布施君のような純粋な子供達が「義務教育」として入れられるから穢れるのである。狼が住む学園に「赤頭巾ちゃん」を送り込むようなもの、これじゃ子供達の犠牲は防げない!
 私を含めた「大人たち」の「教えざるの罪」は非常に大きいと思う反面、永田町の“大人たち”の子供っぽい喧嘩騒ぎを、浜根都さんや布施君のような10代の子供達がどう見ているか、少しは意識して行動した方がよいのではないか?と議員諸侯に忠告したくなる。
「談話室」の10代の声を読んで、日本の将来に微かな希望を見出した気分になった。
 今週はまた講演会や研究会、チャンネル桜の収録などで都心に出かける機会が多いが、こんな全うな子供達の将来に、少しでも貢献できるなら、苦労はいとわない。渋谷や竹下通りで見る少年少女以外にも、こんな健全な少年達がいることを胸に我慢して「見て無ぬふり?」してやり過ごそうかと思っている!

福田恆存評論集〈第12巻〉問ひ質したき事ども―言論の空しさ

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