軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

独自に「テロ国家」に指定せよ

 昨日は王子まで出かけて、シーボルト(小シーボルト)展に行き講演を聴いてきた。東京の西はずれから1時間半以上もかかった上、会場も分かりにくいところで難儀したが、内容には大いに考えさせられた。
「明治初期の日本に降り立った一人の青年・・・彼の名はハインリッヒ・シーボルト」とパンフにあったが、「日本考古学の父」で外交官・民俗学者、大シーボルトの次男である。
 私は1853年に大シーボルトが編纂した「日本」をロシア皇帝が改竄して間宮林蔵最上徳内樺太島発見の業績を抹殺した(「日露領土紛争の根源」長瀬隆著)事実関係に関心があったので、何らかの手がかりが得られるかと思ったのだが、ヨーゼフ・クライナー法政大学特任教授の講演はハインリッヒの業績を解説したものであった。
 ただその中で考えさせられたのは「国籍」についてであった。当時の欧州情勢からいえば、ハインリッヒの国籍は「ヨーロッパ人」というべきだとする教授の言にである。
 確かに今のように国境が画定していなかった時代に生まれた場合はそれが正しいのではないかと思う。フランス皇帝だったナポレオンもコルシカ島の生まれだったし・・・。
そういう意味では島国日本は昔から「単一国籍国家?」といえるのかもしれない。


 ところで米国が北朝鮮の「テロ支援国家指定」を解除したことで、メディアはそれ見たことか、とばかりに米国不信を強調しているが、米国にだって都合があることを忘れるべきではなかろう。日米間の離間を画策しているメディアにとっては愉快かも知れないが、横田滋氏が言ったように、もともとこれは「日本国」の問題であって、日本が独自に行動して奪い返すべき事案である。それを30年以上も「放置」しておいて、小泉訪朝で金総書記が「拉致を認めた」ので一気に世論が反発したものだ。
 そこで直ちに処置すべきことだったのだが、「拉致事件」そのものを否定してきた政治家や有名人、関係機関の役人達も放置したままであった。

 その上、国力、特に軍事力の使用や外交力にも自信がない日本は「6カ国協議」の中にこれを含めた。そうなれば「核問題」が重視されるのは当然で、それが最重要課題の米国は何時拉致問題から手を引いてもおかしくはなかった。
 拉致被害者家族達は、自国政府があまりにも無関心なのに業を煮やして「同盟国」である米国に出向き、大統領に「直訴」したが、これはいかに日本政府が無力であるかを世界に暴露した。自分の国は自分で守り、自国民が拉致された場合には、実力でこれを取り返す、それが全うな国のやり方である。それもしなかったからその後はこれに味を占めた「諸外国勢力」から、舐められっぱなしになってしまった。

 昨日の産経はトップに湯沢記者が「日本がテロ支援指定せよ」として、「日本は独自にテロ支援国家の指定を肩代わりする十分な理由と能力があると思うがどうか」と書いたが、至極当たり前のことである。
 何で今まで米国にべったり依存することなく「独自」に北朝鮮を「テロ国家」に指定しなかったのか? 日本は被害者である。

 その昔、リビアカダフィー大佐謀殺のために爆撃を強行した時のような自信と実力は、イラクで苦戦している今の米国にはありえない。しかもブッシュ大統領の任期はあと2ヶ月余である。

 湯沢記者は「国家テロの拉致事件を抱える日本としては、独自に北をテロ支援国家指定に処する時期が到来したといえる」とし、「融資を断て」と書いているが、あらゆる手段を講じて北への援助を断つべきである。
 
 経済危機については麻生総理は次々に手を打っているようだから、何もしなかった前任者の時とは違って、安定感が市場に戻ってくるのではないか?戦争だって、不利な時には蛸壺の中で「持久戦」に耐えるものである。麻生総理には、ここで拉致問題に真剣に取り組んで欲しいと思う。


 ところで今月の「祖国と青年」誌に「海洋国家日本の島嶼をいかに守るか」という平間氏の論文と、「対馬の『韓国化』を阻止せよ」という東京都会議員・吉田康一郎氏の詳細な対談が出ていた。

 紙数がないので中見出しだけをご紹介するが、危険は放置できない水準に来ている様に思う。
対馬の漁場を荒らす『特攻船』」
「韓国人観光客の驚くような『犯罪行為』」
「韓国資本が自衛隊基地の周囲を買収」
「『国境地域特別措置法』『防人の島法』の制定を」
 

 はるかヨーロッパからわが国に渡来して、考古学や民俗学を研究した「青い目の外交官」はこよなく日本を愛して去ったが、同じアジア人たる近隣諸国は、散々悪さをして反省することもない。
 かっては「武士道の国」「侍が住む国」として世界の注目を集めた小国・日本だったが、今や国民が拉致され殺され、国内を我が物顔に荒らされ、国土を侵害されていても、「人類、皆兄弟!」とばかりに“おおらかに”見逃し、かっての大戦では、勇敢に戦った自分のご先祖様を「悪者扱い」して何ら愧じることもない。

 それどころか、中国人妻が目立つと報じられた海自内部でも「特訓」と称する暴力行為がはびこり、まるで麻薬と暴力に犯された“国技”相撲界の様相を呈してきている。そこに共通しているのが「外人勢力」が入り込んでいる組織?という現象ではないのか?

 何も人種“区別”をするつもりはないが、せめて「悪意」と「善意」を見抜く眼力だけは失ってはならないだろう。「四方の海皆同胞・・・」というのは立派な考えだが、それも時と状況による。それに反した最たるものは北朝鮮による「いたいけない少女を含む拉致事件」である。核問題を重視する米国が「諸般の事情」から北に対する締め付けを緩めたとしても、当事者であるわが国だけは降りてはならない。いや、降りることは絶対にできないはずである。
 湯沢記者が言ったように、北朝鮮を改めて「テロ国家」に指定し、融資を断ち、国内の支援グループを排除すべき時が来た様に思う。

日露領土紛争の根源

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