軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

大震災から何を学んだか?


≪ご無理なさらず御静養を=産経から≫

畏れ多くもご退院間もない天皇陛下は、11日の東日本大震災一周忌追悼式に皇后陛下とともに出席され、追悼のお言葉を述べられた。
ご高齢のうえ、ご退院直後、どうかご無理なさらぬようにお願い申し上げたい。


ここ数日、3・11にかかわる≪記録動画≫などがTV各局によって公開された。それを見た限りの所感だが、国民に危機感が消滅していることを痛感した。
今回直接犠牲になった2万人は、我々に尊い教訓を残してくれたように思う。
のど元過ぎれば熱さ忘れるのが人間の常、2度と同じ悲劇を繰り返したくなければ、これほどの貴重な資料があるのだから、教訓に学ぶべきであろう。そうでなければ犠牲者の無念やご遺族、被災者方の無念は晴らせまい。


防衛大を出て34年間、戦闘機のりとして3次元の空間で緊急事態を想定した過酷な生活をしてきた私には、生き延びたかったら「自分の命は自分で守る以外にない」事を身につまされているから、津波が押し寄せてくる海岸で撮影を続けている「気丈な方々」の神経が理解できないのだが、未だに収容されない犠牲者の中にも相当含まれているのではないか?と思う。
「逃げろ!」と避難誘導していた警察官や、消防団員、マイクを離さなかった未来さんの努力が報われなかったのは、そんな「他人事」的感覚麻痺が戦後日本人の心の隅にあったからだろうと思う。


何度も書いてきたことだが、その根源をたどると、敗戦で軍隊を解体され、占領軍に反軍思想を植え込まれ、独立?後は日教組や左翼勢力に「洗脳」されて【玉抜き】になったわが国の男どもが、戦い(闘争心)を自ら放棄したことにあり、国防の重要性を忘れたからだと思っている。
その典型が「占領憲法」だが、皮肉にも未だに“左翼勢力”によって後生大事に護持?されているのを見れば明らかだろう。

地震洪水津波など自然災害に備える知恵は、国防を学ぶことがその基盤になっていることを忘れてきたのである。


今回の自衛隊の活動は賞賛されたが、整斉と遂行できたのは人災の極限である『戦争』に備えた訓練を日々継続してきたからであって、何も特殊な出来事ではない。
日本政府の決断力が頼りにならないことを熟知している同盟国軍が、第一報で直ちに行動を起こし、政府が“お願い”した時にはすでに被災地に進出していたことを、初めて知った国民も多かったのではないか?それほど政治は鈍感であり鈍重なのである。


普段だったらマスコミは、日米安保条約無視で米軍独走は危険だ!とか、自衛隊に口癖のように吠えてきた「シビリアンコントロール違反」だと大騒ぎしたであろうに、今回は≪美談≫として取り上げるのだから、報道は雰囲気次第でどうにでも変化するのだということを被災者はじめ国民の多くは再認識したことだろう。


米軍の初動の迅速さ、そして海兵隊の大島「上陸作戦」の見事さを称えているが、自衛隊だってそのくらいは十分訓練しているものの「防衛予算も聖域ではない」と宣言した総理のもとで、女性主計官が災害装備や人員をどんどんカットしたから、組織行動上齟齬が生じたのであった。肝心要のわが政界もメディア界も、米軍賛歌を繰り返すだけで自衛隊の人員装備の充実を提言することさえしない。これでは[再び過ちを繰り返す]


ところで今回、大震災と福島第1原発事故対応をめぐる議事概要から≪菅直人首相(当時)が自衛隊の「10万人態勢」について、1日で2万人から10万人へと動員数を引き上げる指示をしていたことが明らか≫になり、≪首相官邸の『危機管理センター』の機能不全も改めて裏付けられた≫と報じられている。

≪「緊急災害対策本部」の議事概要によると、震災発生翌日の昨年3月12日午前11時半すぎからの会議で、菅氏は「自衛隊は2万人態勢を組んでいるが、5万人態勢でやっていく」と発言。同日午後9時40分からの会議では「10万人態勢を目標として対応していただく」と求めた。

 当時は13日に10万人態勢を指示したと公表されていたが、実際は12日に2万人→5万人→10万人と引き上げを決めていた。周辺の安全保障環境を分析し、防衛上支障がないと判断して増強を指示した形跡はない(産経)≫
災害派遣」でこの程度だから「防衛出動」時には大混乱だろう。

自民党谷垣禎一総裁は28日の役員会で、東京電力福島第1原発事故をめぐる菅直人前首相の対応について「人災の様相も出てきた」と批判し、溝手顕正参院幹事長もこの報告書に触れ、「後進国だったら裁判にかけ、死刑という話につながりかねない大変な話だ」と述べたというが、じゃあどうする気?と聞きたい。


電力は、水流か蒸気でタービンを回転させて発電されるものだが、燃料である石炭は大気汚染、石油になったが輸入に頼る危険性と値段が高騰する。そこで無限の発熱源である“クリーンな”原子力を利用することとされ普及したのだが、もともと原子力は兵器として開発されたもの、平和国家のわが国は、軍事を飛び越して≪平和利用≫に取り組んだものの根底には「儲け主義」があったのだろう。ところが安上がりのはずが、左翼反対勢力にたたかれるたびに口封じが必要になり、安全性は軽視され始めた。

あれほど「原子力艦艇寄港」に大騒ぎして、ガイガーカウンターで米艦艇を測定する愚挙をしてきた左翼勢力も、原子力発電という≪平和産業≫にはさほど大騒ぎすることもなく「やあやあ、なあなあ」の関係でお茶を濁してきた。

ところが今回は、一気に反原発を唱えだし、基準さえ不確定な放射線を魔物として国民の恐怖心をあおりたてている。無責任極まりない。


繰り返すが、原子炉は原爆をその親として生まれたものである。原子力船[むつ]の開発事業は、地方への「ばらまきの象徴」になり何ら成果が得られなかったが、キックバックで懐を温めた代議士たちは今どうしている?
そんな中途半端な考えで原子炉を開発し原発を建設していったが、米軍のように、原子炉を艦艇の推進力としている米海軍のような危機に対処するノウハウを持たないまま、[むつ]同様にばらまきの源になっていった。
日本の原発は「地震津波」に備えればいいだけかも知れないが、軍艦は「敵の魚雷・ミサイル攻撃」にも備えるのである。空母・レーガンには5000人の兵員が乗っている。一蓮托生で…。

そして今や放射能は【怖い怖い!】という左翼勢力のPR活動に利用されている。
気の毒に、我が家周辺の温泉宿では、今まで大混雑でなかなか利用できなかった「放射線効能風呂」や「ラジウム温泉」が閑古鳥、おかげで私は貸切状態でお湯を楽しめる!


日本人は熱しやすく冷めやすい民族だといわれて久しいが、あの「成田闘争」を繰り返してはなるまい。一坪運動でお百姓たちを扇動して空港建設反対を叫んだ連中が、今や平然と成田から国外へ旅しているということを忘れてはなるまい。
普天間闘争もそうである。私は“善良な”ウチナンチュウがやがて使い捨てられる時が来るのではないか?と危惧している。


9日〜10日と、金沢で「日本を取り巻く2012年危機」と題して講演をしてきたが、250人を超える方々が、立ち席状態で聞いてくださった。
日本文化が失われゆく危機感、中国、韓国などによる土地取得の現状など、大いに危機感を募らせておられる事が感じられたが、さて、この辺りから出た大臣の中には、落下タンクが落ちたくらいでF15を全機飛行停止にするような素人がいた。
夕食会では地元では呆れ果てているそうだから、今後は浄化されていくことだろうと期待した。

公務員を削減するのであれば、その分を海上保安官、警察官、そして自衛官に採用するが良いというと、何よりも議員削減が最優先だという意見が出て私も大賛成だった!

地震津波など、自然災害に備えるためには、「国家防衛の基盤」を学び、軍事力を備え、国防意識を若者たちに高めることで十分に目的が達成できることを、野田総理は理解し、副総理案を撤回して、国家公務員特別職の充実にあててほしいものである。そうすれば「国防」と「災害」、さらに「雇用問題」が一挙に解決できると思うのだが。


東日本大震災の記録〜3.11宮城〜 [DVD]

東日本大震災の記録〜3.11宮城〜 [DVD]

河北新報特別縮刷版 3.11東日本大震災1ヵ月の記録

河北新報特別縮刷版 3.11東日本大震災1ヵ月の記録

日本人の底力 東日本大震災1年の全記録

日本人の底力 東日本大震災1年の全記録

3.11岩手・大津波の記録 〜2011東日本大震災〜 (<DVD>)

3.11岩手・大津波の記録 〜2011東日本大震災〜 ()

自衛隊員が撮った東日本大震災 内側からでしか分からない真実の記録

自衛隊員が撮った東日本大震災 内側からでしか分からない真実の記録

記者は何を見たのか - 3.11東日本大震災

記者は何を見たのか - 3.11東日本大震災