軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

シナは戦争モードに入りつつある

起床してウッドデッキに出ると、電柱で妙に小鳥たちが騒いでいる。10数羽のシギや雀たちが取り囲んでいたのは、大型のカラスであった。
トランスの底に、シギが巣をつくっていたのは知っていたが、どうもカラスに襲われたらしいのである。そこでただちにスクランブル!して、カラスを追い払ったが、ゴミを荒らすカラスは、世田谷時代もここでも憎まれ者だが、町内のごみ管理が行き届いているのでついに小鳥の巣を襲い始めたらしい。
人類にもこんな輩がいる。平和な我が家周辺もなんとなく南シナ海の状況に似てきた。

今朝の産経にこんな記事がある。
≪資源開発は“口実”「中国の狙いは南シナ海の支配」元ベトナム首相顧問≫

「【ハノイ=吉村英輝】ベトナムのファン・バン・カイ前首相の経済顧問を務め、経済改革ドイモイ(刷新)を進めたレ・ダン・ドゥアイン元中央経済管理研究所長(72)は27日までに産経新聞と会見し、中国が強行する石油掘削などの資源開発は“口実”で、「真の狙いは南シナ海のすべてを支配下に置くことだ」などと主張し、地域の安定と航行の自由が脅かされる危険を訴えた。

 元顧問は、中国が石油掘削を強行した理由について、オバマ米大統領が日本やフィリピンなどの同盟国と海洋安全保障で連携強化を確認するなかで、「南シナ海におけるベトナムの相対的な力が弱まったと中国が判断したため」との見方を示した。

 また、係争海域での中国の資源開発は、南シナ海全域を支配下に置くための第1ステップだと警戒感を示し、ベトナム政府は「紛争を含め、あらゆるシナリオを想定している」と述べた。中国がちらつかせる経済制裁については、輸入品は他国のもので代替できるとして、「脱中国を進める良い機会になる」と語った。

 さらに、問題はベトナムだけではなく、「地域で自由な航行を享受する全ての国の問題だ」として、日本に対して「集団的自衛権の行使を早く容認すべきだ」と主張した。

 ベトナム反中感情が暴動に発展したことについては「中国におわびする」と述べたが、「中国の侵略を押し返してきた歴史」があり、「反中世論は抑えきれない」と述べた。暴動が起きた地域では「中国人経営者への不満が募っていた」とし、経営側が工員の練度が低いと罰則を強め、1日のトイレを2回に制限していたといった事例を挙げた。」


相手がおとなしいとみるや、嵩にかかって襲い掛かるのが、匪賊の国である。

先日は、SU-27がわがP3とYSに接近してきて威嚇した。すでに書いてきたことだが、一旗揚げようと意気込む≪軍幹部≫と、その弟子の合作だろう。

≪やっと出てきたシナのSU-27=産経から≫


2005年、北京の会合で、2001年に海南島周辺海域で米海軍のEP3と接触して墜落したシナ海軍のF8戦闘機パイロットの元上司である元海軍少将と激論になったのだが、彼は「領海も領空」も知識がなかった。公海上で起きたにもかかわらず、自国の領空を侵犯した!と息巻いた。

あなたのような非常識なものが司令官だから、部下があんな事件を起こすのだ!と厳重注意したのだが、実は勝手に自国の「領海法」を根拠にしていたことが分かった。

国際常識なんぞ通用するはずがないと痛感したのだが、案の定他国領土を含んだ「防空識別圏」を設定し、進入する際は通報せよとのたまった。
あきれた米軍がB52を進入させてあざけったが、これでメンツをつぶされたシナ空軍(海軍航空隊を含む)は、警戒態勢についていることを示そうとした。多分共同演習中のロシア艦艇から情報をもらって、しかも相手が非武装のP3とYSだから安心して接近した。F15だったら、怖がったに違いない。
勿論こちらもミサイルを積んでいる。しかもメイドインジャパンだ!

この同じ年、上海に移動して夕食会に参加したF7の現役空軍パイロットの大佐らと話し合ったことがある。
彼は開口一番「将軍はファントムのパイロットだそうですね」といい、飛行時間を聞いた。飛行時間を聞くのは各国空軍パイロットの名刺代わりみたいなものだが、私は中佐(2佐)時代にすでに3000時間に達していたが、彼は大佐なのにその半分も飛んでいなかった。
「君らが沖縄に侵攻してきたら、私の後輩たちが直ちに撃墜するから覚悟しておくがいい」というと、「将軍、私のF7では沖縄には届かないことはご承知でしょう」と言って笑った。
「もちろんだが、今訓練中のSUで来ても同じことだ。よく覚えているがいい」といって乾杯した。

あれから約10年、やっと出てこれるまでに成長したようだ。


それはそうと、この程度の事例でわが政府は大騒ぎするものじゃない。
≪ミサイルを積んでいた!≫。当たり前だろう。わが方もミサイルを積んでスクランブルしているじゃないか。

接近しすぎ?。我々は、領空侵犯の恐れがないと思われる時は、むやみに刺激しないように、2000フィート(約600m)以内に近づかないように指導されていたが、相手機の状況によっては「粛々と」任務を果たしていた。

あんまり興奮して問題にすると、自分で自分の手を縛ることになりかねない。だから「シビリ・アンコントロール」だと私は揶揄するのだ。


集団的自衛権」問題で宗教団体が後援する政党と神学論争をする暇があれば、現にスクランブル対処任務に就いているわがパイロットが、国際基準で対処できるように法制度を速やかに整備すべきである。正当防衛と緊急避難じゃとても主権は守れないのだ。


ところが同じ産経トップに、「離島への不法上陸や民間船襲撃に防衛相命令で自衛隊出動 閣議決定省略、政府が新類型検討」とある。


何を寝ぼけて…といいたくなるが、やっと気が付いただけましだろう。
陸自は2ノット、海自は30ノット、空自は500ノットで移動する組織だから、スクランブルは瞬時の判断が後の問題を左右するのだ。
従って方面隊では、即応できるように武器の使用権限は司令官と幕僚長、それに防衛部長が委任されている。
国籍不明機が接近したと報告を受けてから閣議を開いていたのじゃとても間に合うまい。だから栗栖先輩は≪超法規≫で対処せざるを得ないといったのだ。彼を首にした金丸とかいう老人こそ、村山同様、問題を認識していなかったのだが、ようやくその意味が理解できつつあるらしい。


ああだ、こうだと「想定文」を書いている間に、「想定外」の事態が起きるのが世の常、とりわけ軍事には相手があるから、これほど手の内にかかわる情報を“公開”していれば、有事に“後悔”することになるだろう。


SU接近ごときで大騒ぎするよりも、わが最高指揮官には、敵も“オノレ”も熟知しておいてほしいものだと思う。
記者さんたちも真剣かつ真面目に取材してくるが、軍事知識欠落には、ほとほと疲れる。特に電話取材は、画像で説明できない分余計疲れる。

しかし、国防に大いに関心を抱いている若い記者が増えたことはうれしいことだ。
月曜夜には、チャンネル桜で井上君と恒例?の≪防衛漫談≫を収録してきたが、彼のような知識豊富なものとの対談は、むしろ爽快感を覚える。


何はともあれ、安倍首相、カラスの様なギャングが身辺に迫っていることをお忘れなく。雛を殺されてからでは遅すぎる!



話は変わるが、高円宮典子女王殿下と出雲大社禰宜、千家国邦氏のご婚約は、息が詰まりそうな閉塞感がある最近の情勢を打ち破る快挙であった。
記事を読んで、お二人の話の内容に良き日本の伝統を感じたのは私一人だけであろうか。

≪心温まるご婚約の記者会見風景=産経から≫


私には、日本人がトウの昔に忘れさせられてきた「男女の出会いはこうあるべきだ」という、人間としての基本的在り方改めて教えられた気がしてならない。
若き青年男女の交際と、親を含めた家族の在り方を、“日本人”はもう一度見直す必要があるのじゃないか? 素晴らしい出来事だった。

それにしてもNHKはじめ報道関係者の無教養さには改めて失望した。彼らの言葉遣いが実に品がないからだ。特に敬語については、意図的に発言しているとしか思えない。

≪高学歴・無教養≫とは昔堕落した官僚につけられた言葉だったと記憶する。
国民に影響力を持つ、液晶画面登場者たちよ、少しは教養を高めたらどうだ?


沈みゆく隣国については、次の雑誌が面白いから、ご紹介しておきたい。

大東亞戦争は昭和50年4月30日に終結した

大東亞戦争は昭和50年4月30日に終結した

日本を守るには何が必要か

日本を守るには何が必要か

ある駐米海軍武官の回想

ある駐米海軍武官の回想