またまた台風が北上して、本土を直撃する気配になった。まるでB29による「本土空襲」の様相だが、私にはその進路から、先の大戦で広大な太平洋で散華された英霊の御帰還のように感じられる。
国家の危機に臨み「後に続くを信じて」勇躍戦地に向かった多くの将兵が、その後送り出した国の無責任さに対する不満と怨念が本土帰還の熱望となり、台風に乗って「襲来」しているように見えるのである。
台風進路図(ウエザーニュースから)
処で、香港で「逃亡犯条例」改正案に反対して起きた“騒動”は4か月を過ぎたが全く収まる気配はない。政府も、裏で糸引いた北京も予想外の進展に慌てているに違いないが、現代日本青年たちと比較して、香港青年たちの気概の強さを支えている物はなんだろうか?
今日のデモ
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」によると、現地を取材した宮崎氏は
【最大の関心事は香港の新しい世代が物怖じしないという人生観、その世界観の異変(というよりグローバル化)、共産党の暴力を怖れずに、民主主義のために戦うとする姿勢を崩さないことである。拘束された若者らには裁判が待ち受け、法廷闘争が長引くだろうし、就職には不利になるだろう。それでも彼らが立ち上がったのだから、そこには或る決意があったことになる」が、一言で言えば、「自由への意思」の強さだという。
「天安門事件から三十年の歳月が流れ去ってまた世代が交替した。いまの高校生、大学生は感覚的にも教養的にも狭隘な中華思想などに拘泥せず、国際化され、高層ビルの近代都市となった香港を生まれたときから観てきたし、・・・欧米の自由な制度に比べると規制が強く、息の詰まるような香港の政治制度の矛盾を掌握しており、広東語を喋ることは軽蔑され、北京語という広東人にとっては外国語が学校で強制されたことにも反感を強めてきた」が「大陸からやってくる『太子党』のこどもたちは大学に裏口で入り、コネで企業にあっさりと就職し、カネにあかせて豪勢な生活を営んでいる。「特権階級のいいとこ取り」と映り、かれらは怨嗟の的となる。すなわち植民地の宗主国が英国から中国に変わっただけではないか。若者達の怒りは深く堆積していた。この点で旧世代の香港人の意識とは異な」っていて、「六月以来、香港での抗議集会やデモ、署名活動に参加している若い世代は、共産党の押しつけた歴史教育を否定した。中国共産党が流すフェイクニュースをすぐに見破り、共産党製のプロパガンダはまったく受け付けなくなった。
アンチ共産主義の精神土壌が自然と築かれていた」のだから、「中国が目論んだ香港市民の洗脳工作は、みごとに失敗したと言って良いだろう。
だから「生きるか、死ぬか」と悲壮な決意を以て全体主義と戦うのである。欧米はそれを支援する。資金カンパ、応援部隊、プロパガンダのノウハウが学生らに供与され、自由世界の知識人は香港支援に立ち上がった。沈黙しているのは日本のエセ知識人くらい」で、「日本のメディアは中立が賢い行き方とでも思って、民主主義を守り共産主義支配と戦っている香港の若者を全面的に支援しないのだ。日本が西側の自由民主人権法治を価値観とする陣営にあるという自覚がないからであり、これが「中立幻想」に取り憑かれた現代日本人の知的劣化、あるいは一国平和主義というエゴイズムの露骨な態度表現である」】と喝破している。
我が国に垂れ流されているフェイクニュース?でみる限りにおいても、自由への希求と人間の尊厳を守るために、連日立ち上がる彼らの熱気と比べて、現代日本青年たちの大義とは何か?を考えさせられてしまう。
70余年前の同じ青年達には確かにあったものだが、今や“草食系”と言う言葉に代弁されるようにひ弱な“男”に成り下がり、弱い者いじめにうつつを抜かしているだけのように見える。
さてその香港デモにはリーダーが不在だと言う。そのことは北京が言うような『外国勢力の扇動』を否定する、香港青年たちの必死な思いが伝わって来るし、米国の中国語メディア「新唐人テレビ」のコメンテーター、蕭茗氏によると「香港の若者は国際社会に対して、中国当局および香港政府へのさらなる制裁を求めている」と言うから、今期の“暴動”は、北京が言う外国勢力の扇動とは程遠い。
それに、彼らが熱唱している“テーマソング”の賛美歌「Sing Hallelujah To The Lord」」はミュージカル「レ・ミゼラブル」で歌われる有名な劇中歌であり、承知のように「レ・ミゼラブルは1832年にパリで起きた6月の民衆暴動までを描いた作品」であるから、将にフランス革命の現代版だと言える。
勿論中国政府はこの歌を本土で禁止しているから、これは香港市民の熱烈な『独立闘争』だと言えまいか?
これは2014年の香港の反政府デモ(雨傘革命)でも歌われている。
次はクリスチャン団体のHPに紹介された香港デモで「Sing Hallelujah To The Lord」
を歌う人々の動画であるが、1832年の六月暴動時のパリ市民の熱気が伝わってくる。
それにしても、平和と人間を愛するはずの総本山が、無言だというのは偽善に思えるが…。
https://www.christiantoday.co.jp/articles/26952/20190621/sing-hallelujah-to-the-lord-hong-kong.htm
中国共産党の狼狽ぶりが想像できるが、来年安倍首相は、習近平主席を“国賓”として招待する予定である。
この行為が、天安門事件で世界中から非難された当時の共産党政権を“復活”させる役割を果たすことになり、”天皇の政治利用だ”として顰蹙を買った愚かな政権の二の舞にならない事を祈りたい。
それともそれまでに北京政府の方が“崩壊している”と読んでいるのだろうか?
新着任の国家安全保障局長に伺ってみたいものだが・・・
届いた書籍のご紹介
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ジャパニズム51号
民団系の組織に迫害されている青林堂だが、淡々と事実の裏付けを進めている。
私も「日韓関係」をコラムに書いたが、それよりも、「日本民族に求められる霊性への回帰」に関心がある。マ、霊性が見られない国には無関係なことだが…