今朝の産経抄氏は、一般的な「軍隊」を想像している日本人に“警鐘”を鳴らした。つまり、ソ連(ロシア)の軍隊の指揮系統は、一般的な民主主義国家と大きく異なっていて、軍人の指揮官を“指揮する”共産党員がいるということを知れ!ということである。政治局員として派遣された“指揮官”は軍事能力は全くと言っていいほど”素人に近い”のだが、権力は軍人以上であり、軍隊は共産党の“指揮官”に盲従することになっている。だから局面によっては、軍隊の指揮官は、「軍事的合理性」に合わない決断もせざるをえなくなるから、軍隊は敗戦を喫することが多い。
この伝統は「共産主義という人間性を無視した集団」のもたらすもので、スターリンによって「開発?」されたと言っても過言ではない。
ロシア革命の時以降、共産主義者が各種の残虐行為を繰り広げたが、第2次世界大戦開始前に、スターリンがソビエト軍将官の大量粛清を行い、それを体験した将校と兵達の間に反スターリン(反ソ連)感情が芽生えたこと、将官の大量処刑によって軍本来の指揮系統が機能しなくなったこと、それ以降「イエスマン」しか昇進しなくなったこと、それによって前線兵士の戦意が極端に低下したこと、を無視してはなるまい。
世界史を紐解くと、モンゴルの侵攻により欧州広域は占拠されたが、モンゴル撤退後の地域には小国が林立しては消えていった。しかし、残ったロシア帝国は勢力圏を南に伸ばし、豊かな穀倉地帯であったウクライナを併合する。併合されたウクライナの住民は自分らの意に反して、帝政ロシアの先兵として酷使されて来たが、革命でロシア帝国は滅び、今度は政権を取ったソビエトに併合され一共和国となる。
このようは歴史的変遷によってもウクライナの民族主義は逆に強まったと言ってもよかろう。これを気にしていたスターリンはウクライナの民族主義を根絶やしにするために農業の集団化と厳しいノルマを課し、大戦前の1年間で500万人が餓死したと言われているから、これらロシア(ソ連)による圧政の記憶はまざまざと残っている事が明白で、今回の“頑強な抵抗作戦”を見ていても頷けるだろう。だが、世界史は本題外なのでこれまでとし、軍事的“欠陥”について見ておこうと思う。
ここまで書いたところで、黒海艦隊の旗艦である「モスクワ」内で“事故?があり、大損害を受けたという未確認情報が流れた。
状況があまりにも酷似しているので、驚いたが、それは日露戦争終結後、当時のロシア海軍のなかでも最も強力な艦であったといわれるポチョムキンで水兵たちの反乱が起きた「戦艦ポチョムキン」の反乱のことである。
ウクライナ国時代のセヴァストーポリの様子 下方、2本煙突の戦艦が第3戦隊所属のトリー・スヴャチーチェリャで、その右舷側隣、上方が第2戦隊所属のボレーツ・ザ・スヴォボードゥ。(インターネットから)
しかもこの時、ウクライナ南部の黒海に面した港町オデッサでも反乱がおきたのだが、この反乱は街中を騒然とさせた。政府軍兵士は、騒乱を鎮圧する際に多数の人々を殺害したと言われる。(当時の映画に詳しい)
今のキーフやロシア軍占領地の惨状と合致する。
帝政ロシア崩壊直前の革命時代の事だったとはいえ、ロシア民族には共通するものがあるようだ。それとも「歴史は繰り返す」とでもいうのだろうか?
さて、ウクライナ“戦争”は新たな段階に入ったようで、このような“民族の血に流れている塊?”が消えない以上、悲劇は続くのだろう。そして今回のこの”体験”は、生き残った、また次代を受け継ぐ子供らの血に「怨念」として流れていくのは避けられないから、モンゴル占拠を経験した欧州の悲劇?とでもいうものだろうか。
ところで、一歩離れたアジアの”平和な”島国からこれを見ている日本人は、そのような“残酷な体験”はない(満州、樺太を除く)から、お茶の間のワイドショウの一環としてしか見ていないように思われてならない。
隣国はせっせと核を開発しているし、シナでは、明らかなコロナ対策での失政によって、上海の市民は飢餓の模擬体験をさせられているように見える。
こうして各地で市民の絶叫が始まり、一向に納まりそうにないから”第3次世界大戦”を予感させられるのだが、わが国はそれに対して備えは万全なのだろうか?
以前のある総理は「万全、万全!」と叫ぶのが好きだったがどこにも万全の体制は取られていなかった。
まず、北方領土を抱える日本人は、ソ連(ロシア)とはどんな国なのか?と歴史に学んでほしいものだが、それに好都合な広告があったからご紹介しよう。ロシア問題の権威であった木村汎氏の「プーチンとロシア人」も緊急重版されているようだ。