軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

自民党は甦るか?

 東北自動車道は、比較的混雑も少なく、計画通りに行動できたが、昨夜の北関東地方の“豪雷雨”はひどかった。徐行渋滞が続き、大幅に遅れたが、無事深夜に帰宅できた。そんな悪条件下でも、信じられないことに大型トラックの異常な「あおり行為」には、正直腹が立った。時速100Kmで走行中にもかかわらず、後方3m以内に接近して蛇行する。場所と時刻とナンバーは控えてあるから、いつでも公開できるが、運転手には猛反省を促したい。
 
 さて、この2日間は新聞・テレビなし、全く騒音なしの時間が持てて休養できた。29日にお礼参りに参拝した神社で神主さんが、地球の環境変化は想像以上でこれからは、地震津波・雷・火事・オヤジ?何が起きても可笑しくないから、しっかりした心構えで過ごしなさい、と助言してくれた。
「来年は世界的に政情が不安定になるので周辺情勢が気にかかる」と言ったところ、「来年は大陸で大きな災害が起きるからそれに備えることが大事だ」とも言った。
 ところで宿の売店で面白いものを見つけた。(写真)
 有名な仙台の奥座敷の温泉宿のロビー売店に、戦闘機の玩具がたくさん並んでいるのも珍しかったが、松島基地に近いからか、日の丸をつけた国産のF-2戦闘機が並んでいたのである。しかし「ファルコン」と書かれた名札には落胆した。韓国からの客が多いらしいので、良いお土産になる?のだろうが、せめて「国産戦闘機F−2」と書いて欲しかった。あえて宿には「忠告」はしなかったが、何と無く我が国民の防衛に関する知識が伺えた様な気がした・・・。

 さて、コメントが盛り上がっているが、今回の参院選挙はメディア情報の予測どおり?自民党の“大敗”であった。今朝のテレビも色々分析していたが、結果は政治の専門家にお任せしよう。個人的な予想では、自民党は40議席前後か?と思っていたのだが・・・。
 息子たちサラリーマンに言わせると夏のボーナス時期に合わせたように「手取りが減った」から、政府は大負けすると思っていたという。せっかく昇給しても、昇給分以上に手取りが減ったというから、勤め人の反発は意外に大きいのではないか?タイミングが悪すぎる!と不評だった。
 給与所得に無関係な年金暮らしの私なんかも住民税高騰によって老後の生活に危機感を持ったのだが、現役サラリーマンは敏感に感じていたらしい。その反感票が一斉に民主党に流れるだろうから、自民党は大敗するよ!と分析していたのだが、結果はそれに近かったわけである。
 老後生活の危機?を無視して、あえて愛国的発言をするとすれば、遥か以前から私は今回の夏の参院選は、自公連立解消の芽が出るかに着目していた。そのためにも自民単独は無理だとしても、本来の保守主流の一部が、政権に協力する基礎が築けるか?自公解消なくてはこの国の将来は危ない、と考えていたからである。
 憲法に違反した「政教癒着」政党との野合はいかにも不自然であり、自民党党是に反するではないか。村山政権時代ほど異様ではないにしても、本来保守政党が徐々に“健康を失う”ことは目に見えていた。そして事実「不健康体」になっている。
 しかし、安倍政権成立後に頻繁に起きた自民党内の人事に代表される異常事態は予想を裏切るものであった。いや、自民党内の体制が、旧態依然として、変化(国民の意識)に対する自覚が欠如した人事だったことに危機感さえ持っていたのだが、とうとうその通りになってしまった。「獅子身中の虫」という表現を私は使ってきたが、“虫”が蔓延りすぎていたのである。
 今回の選挙は参院の改選だが、それでもその「虫たち」の一部が始末されることになったのは評価できる。落選した虫もいて、この現象こそ、自民党の思い上がり、無反省、お粗末さを象徴するものであり、今回のショックで、幹事長や参院の責任者などが引責辞任するらしいことは良いことである。いかんせん、若い安倍総理は気がつくのが遅かった。それほど取り巻きが情報コントロール?をしている証拠だろう。
しかし、今回の結果は、民主以外の政党は軒並み「議席を減らして」いる。自民党幹部は、公明党との連立の必要性をどう受け止めているのだろう?
 数年前、自民有志に招かれて、議員会館で軍事についてお話したことがある。30数名が集まったが、金バッジをつけていたのは7名だったと記憶する。お昼休みのわずかな時間だったが、欠席した議員の代わりに若い秘書達が軍事について勉強しようという姿勢に感心したものだが、例えば世界情勢判断に「メルカトル図法」で見る間違いを指摘し、「地球儀」から判断すべきという私の話が理解できない議員がいたから少々落胆したものである。
 自衛隊幹部としての自民党観を質問された私は、「現役時代は、少なくとも自民党は“腐っても鯛”だと見てきたが、村山政権を担いだことから見方を変えた。そして退官後は自民党は“腐った鯛”どころか、“腐った鰯”だと認識するに至った」と言ったところ苦笑が漏れたが、一人の議員が「先生!鰯は今じゃ高級魚だ!」と言ったので会議室は爆笑となった。その程度の“受け狙い”しか出来ない議員で構成されていたのだから、今回の結果は「当然」で、遅きに失した感さえある。
 一部識者が今回の結果を見て「国民を馬鹿にし続けてきた自民党政府の“無責任”政策の結果、放置され続けてきた問題が一気に噴出し、その責任を一身に負っている安倍総理は、ある種気の毒でさえある」と擁護論を唱えていたが、いずれにせよ戦後政治を担ってきた過去の自民党政権の責任を現安倍総裁が一身に背負っているのは間違いなかろう。そしてそれを「解消する」責任もある。
 ところで皮肉なことに、大勝した民主党のリーダーも昔は自民党幹部であった。「公明」「共産」「社民」以外の政党は、元はといえば自民党「脱党派」である。
 政権運営上、政界シャッフルは避けられないだろう。ゆっくりとお手並み拝見といきたいが時間はない。安全保障、特に日米関係の変化、中台関係、中国国内事情は急変しつつあるからである。
 
 高級魚を自負する“腐った鰯”に何が出来るか?今回の「敗戦ショック」から、今度こそ自民党は甦ることが出来るのかどうか? 安倍総理の手腕が注目される。